平成23年(2011年)三重県産業連関表を公表いたします。平成23年三重県産業連関表からみた本県経済の概要は下記のとおりです。
1 平成23年(2011年)三重県産業連関表について
平成23年三重県産業連関表は、平成23年の1年間(暦年)において、三重県内で行われた財・サービスの産業間取引を統計表としてまとめたもので、県の経済構造を明らかにする統計として、経済波及効果分析などに利用できます。
産業連関表は全ての都道府県において、国の産業連関表(全国表)の作成に合わせて、西暦の末尾が0と5の年次を対象に5年ごとに作成していますが、今回は経済センサスの実施時期の影響により全国表と同様に前回の平成17年(2005年)から6年後となる平成23年(2011年)を対象に作成しています。
また、平成23年表では、基礎資料に初めて経済センサスが使用されたほか、部門分類の改変など前回表までと比べ推計方法に変更がありました。
2 平成23年(2011年)三重県産業連関表からみた本県経済
平成23年(2011年)はその3年前のリーマンショックによる落ち込んだ県経済がようやく元の水準に戻るタイミングで3月には東日本大震災の発生、9月には紀伊半島大水害による被害、11月にはタイの大洪水による生産拠点への影響など県経済にとって厳しい状況が続いた年となります。
そうした中、県内生産額は前回より1.4%減少となりましたが、全国(前回比3.3%減)より減少幅が抑えられました。以下に平成23年産業連関表からみた本県経済の特徴をいくつか記載いたします。
(1)県内生産額は前回比1.4%減少、県経済のサービス産業化が進む
平成23年の県内生産額は輸送機械や電子部品などの製造業を中心に17兆6,174億円(全国の1.87%)となり、前回(平成17年)と比べ、1.4%減少しました(図1参照)。
なお、県内生産額のうち前回と比べ第1次産業分(18.7%減)、第2次産業分(7.1%減)は減少した一方で、第3次産業分(9.2%増)は増加したため、県経済のサービス産業化が進みました(表1、図2参照)。
今回、第3次産業が増加し、第2次産業の減少幅も全国より抑えられたのが県内生産額の減少率が全国の減少率(前回より3.3%減)を下回った理由と考えられます。
(2)粗付加価値額は前回比3.3%減少
産業連関表では、粗付加価値額(7兆6,027億円)が国内総生産(GDP)に概ね相当します。なお粗付加価値額は前回の平成17年と比べ3.3%減少しましたが、全国(前回より5.7%減)より減少幅が抑えられました。
(3)三重県においては中間投入率が全国と比べ高い傾向
中間投入率(※)は56.8%(前回より0.8ポイント上昇)で、全国表の49.2%より高くなっており、製造業の割合が高い本県の産業構造の特徴を表しています(表2、図3参照)。
※中間投入率:県内生産額に占める原材料などの経費の投入割合
(4)移輸(出)入率が上昇し、県内自給率は48.7%に低下、県際収支は黒字
前回から移輸出額は0.5%減少、移輸入額は0.1%減少し県外や国外との取引はわずかに減少しました。なお、移輸入率(※)は前回の平成17年から0.5ポイント上昇し51.3%となりました(一方、県内自給率は48.7%となり前回より0.5ポイント低下)(図4参照)。
また本県経済は移輸入率が近隣県よりも高い(県内自給率は低い)一方で、移輸出率(51.4%)(※)も近隣県よりも高く、県外および海外からの財・サービスの出入りが比較的大きいのが特徴で、移輸出額から移輸入額を差し引いた県際収支は415億円の黒字でした(前回は819億円の黒字)。
※移輸入(出)率:県内需要(県内生産額)に占める移輸入(出)の割合
(5)生産波及力(全産業平均)は前回比0.03ポイント減の1.26倍
県内自給率が前回より低下したことなどから、生産波及力(全産業平均)は前回の1.29倍から0.03ポイント減少し1.26倍となりました(図5参照)。
(6)雇用者所得はプラスを維持
前回と比べ、雇用者所得額は、全国表が4.0%減少したのに対し0.1%増加(3兆8,831憶円)とプラスを維持しました(表3参照)。
(7)消費は増加
前回と比べ、民間消費支出(3.0%増)は、全国(0.7%増)を上回る増加でした(表4参照)、また政府消費支出(11.8%増)も全国(8.5%増)を上回る増加となりました(表5参照)。
3 その他・特記事項
三重県と三重県外(三重県を除く46都道府県)の2地域で行われた財・サービスの産業間取引を表す平成23年三重県地域間産業連関表の公表は平成29年3月を予定しています。