平成22年度食の安全・安心フォーラム 基調講演概要
演題:「お父さんからはじめる食の安全・安心」
講師:パパ料理研究家
株式会社ビストロパパ代表取締役
滝村雅晴 さん
こんにちは。パパ料理研究家の滝村雅晴と申します。1時間ほどお話をさせていただきます。
私は、今日ご紹介いただきましたとおり、パパ料理研究家という肩書きを名乗っておりますが、日本で唯一のパパ料理研究家として活動しています。
それでは、「パパ料理研究家というのは何だろう?」と思われると思いますけれども、私の仕事は、今日はお父さんが来ていらっしゃいますけれども、世の中のお父さんが日常のご飯をつくる時代にしたいというような活動をしております。
なぜそのようなことをしているのかというのは、今日のお話の中でいろいろとさせていただこうと思いますが、最初に、私の活動を知ってもらうのに、私がずっとしゃべるよりも映像を見てもらった方が早いと思いますので、早速それでは見ていただきましょう。
今からご紹介するのは、私が大分県でお父さん向けの料理教室をしに行った、今年の9月ですから2ヶ月くらい前ですね。その時の模様です。最近、世の中では「イクメン」というように言われていたりしますけれども、そんなお父さんに料理を教えに行きました。
それでは、私は「パパ料理と言っているけれども、それは何か。」ということで、VTRで、今、世の中の流れ的にお父さんが料理をする時代になってきている、この辺りを映像でご紹介します。3分間くらいです。それでは、お願いいたします。
~VTR再生中~
ありがとうございます。ということで、実は、今日の私のお話のテーマ的には、最初のこのVTRで、すごく私の言いたいことも言ってしまったのですが、お父さんの料理、いわゆるちょっとはじめるとか、例えばお父さんは豚の角煮を煮込むのが大好きですごく得意だとか、いろいろな得意わざがあるかもしれませんけれども、私の伝えたい料理というのは、自分が大好きなものをつくるということではなくて、誰かの相手がいると。その相手ありきの料理です。
これは、赤ちゃんが産まれて、産み育ててこられたママとかお母さんにしてみれば、とても当たり前のことなのですけれども、実は、そこを気付くまでに男性、及びお父さんというのは、なかなかわかりにくいような状況なのではないか。それを私はわかりやすく伝えたいと思って、このような活動をしております。
それでは、徐々にそういうパパ料理について、どのように活動及びメッセージを伝えていくことができるのかというお話をしたいと思います。
今日、来られていらっしゃる方もいろいろな立場の方がいらっしゃると思いますので、ぜひ今、現役でバリバリ子育てをやっていらっしゃるお父さんの場合は、今から家族のための料理という視点を考えていただいて、奥様もしくはお母さんがいらっしゃる方で、自分の旦那さんなりお父さんが、「本当は料理をしてほしいのだけれども、なかなかやってくれない。」と言われる方は、どのようにやっていけば料理をするようになるのか、そういう視点で聞いていただければ良いかと思います。
まず最初に、今日のテーマが「お父さんからはじめる食の安全・安心」、そして全体のテーマが「家庭から考える食の安全・安心」、そのような「家庭」というところを考えた時に、おそらく今まで子どもたちに対しては、小学校とか学校が、いろいろと安全・安心について話をする。ママたちもお母さんも、子どもが産まれてからきちんと健康に育つために日々いろいろな食生活も考えているのですけれども、多分、家の中で食の安全・安心について一番無頓着なのは、唯一残っているのは、お父さんなのではないか。
お父さんは、やはり日頃、仕事で頑張っていると。もちろんそうですし、そうなのかもしれないけれども、お父さんは実際に家に対しての影響力もすごく持っていますから、そのお父さんの意識が変わるということが、より家族に対して食の安全・安心に繋がるのではないかというのが、私のひとつの考えでもあります。
ということで、私は地元が、前は京都なのですけれども、京都の小学校の修学旅行の定番というとお伊勢さんだったので、お伊勢さんにもちろん行きました。その小学校6年生の時に買った私の伊勢のおみやげが、お伊勢さんの神殿のレプリカでした。何かすごく神様好きだったのです。小学校6年生の頃から家に神棚があったのです。いまだに、その小学校6年生の時に買ったお社が、私の今のマンションの神棚にも置いてあるくらいです。
それくらい信心深くて、ここに来られて嬉しいのですけれども、いろいろと調べると4つのキーワードがあります。いちご大福、たいやき、みそカツ、天むすという、この4つを並べた時に、何か共通点があるかと思うのですが、何かわかる方はいらっしゃいますか?はい。わかられた方もいるかもしれません。
これは、私がネットで簡単に検索しただけなので間違っているかもしれないのですけれども、何かというと、三重県の発祥の食べ物らしいのです。間違っていたらすみません。みそカツとか天むすというと名古屋のイメージがあるかもしれないのですけれども、どうも発祥は三重らしいのです。しかし、何か押されて名古屋に持っていかれたというようなことが書いてありました。
定かがどうかというのはあるのでしょうけれども、そういう意味では、やはりこういう地元の食文化というものを、いろいろとPRすることによってご当地になるでしょうし、また、もうひとつ何が言いたいかというと、どちらかというと、みそカツとか天むすというのは何か関係があるのだとすると、みそとか天ぷらとかというと、えびとか魚介類が豊富な土地だからかもしれない。そういうことがあったからこそ、こういうご当地の食べ物ができたとすると、やはり私は、地元に住んでいる人たちが、こういうものを楽しむ方が良いのではないか。
私は現役のお父さんなのです。今、私には上が7歳で下が4歳の娘がいるお父さんなのですけれども、そういうお父さんが興味を持って、お父さんが例えば家でみそカツをつくって、「うちの地元はみそカツなんだよ。」ということを子どもに教えるとか、やはりそのようなことをしていってほしいというくらいです。
実際にお店に行ってものを食べるということは、とても簡単だと思うのですが、お店でつくられているものというのは、何か機械が自動的につくっているという部分も中にはあるかもしれないけれども、ほとんどがやはり人の手を借りて料理ができていると。それはお母さんができるから、おじいちゃんおばあちゃんができるからではなくて、「お父さんもできるんですよ。」ということをやはり伝えたいと思います。
なぜこのようなことを言うかといいますと、食材の名前と物が一致しないお父さんが、やはりたくさんいるのです。私も一緒に仕事をしている会社の人がいたのですけれども、ものすごく食に無頓着なのです。
仕事はバリバリできます。仕事はバリバリできるけれども、食にはものすごく無頓着で野菜を食べない。どれだけ野菜を食べないかというと、レタスとキャベツの違いがわからないのです。レタスとキャベツの違いがわからないお父さんというのは、やはりいるのです。その人が悪いかどうかというのではなくて、やはり日常の自分たちが食べるもの、安全・安心を追求するために、そもそも何を食べているのか。実際に出来上がったものを食べたら、これは親子丼だとかカレーライスだとかあるのだけれども、カレーライスに入っている何かきのこっぽいものがあるけれども、これは何なのか。
やはりそういうものがわかるということが、食の安全・安心の大前提ではないかと。自分が口の中に入れる、ましてや自分が守るべき家族の食べるものが、わかるわからないというのは、これはとても大事なのではないかと思いまして、みなさんのところに書いてあります。
まずきのこ編です。これは食感がすごく良いきのこです。わかりますよね?これはお鍋などに入れると良いですよね。束になっていて結構安くてボリュームがあるので、私は豚バラの煮物などによく入れたりします。
その次。これもわかりますよね。これは少し絵が見にくいですけれども、これは一塊になってフサフサしている感じですよね。これは何か。大体わかりますよね。
そして、今、みなさんの手元の6分割されている真ん中の2つですね。一番右側の2つが、わかりますね。これもなかなかよく、炊き込みご飯などに入れてもおいしいですよね。これはおみそ汁などに入っていると、ツルツルしておいしいです。ということで、よろしいでしょうか。この6つ。それでは正解は、エリンギ、しいたけ、しめじ、えのき、まいたけ、なめこ。全部正解の方は手を挙げていただけますか?大体正解でしたね。少し影があって見にくいかもしれません。
例えば、本当にこれも私が料理をしなかったら見分けがつかなかったかもしれない。私もすごく料理をたくさんするようになってきたので、どれが昔はわからなかったかというのがマヒしているのですけれども、すごくそういう意味では、料理を日常する人と全くしていない人では、ものすごく差が出るような気がします。
その差がある一人に、お父さんがいるのではないか。そのお父さんが、やはり実際に、えのきとまいたけの違いがわかるとか、しめじとまいたけというものがわかりにくい人がいるかもしれない。「エリンギって何?きのこの名前なの?」みたいな、そういうこともやはりお父さんにわかってほしいと。
ということで、もうひとつわかりにくいシリーズです。青い葉野菜系です。これは何か?これは一番左側の上の2つです。これは少し根元を見てもらったらわかりますね。すごく栄養があって、右側のこれは少し細いものです。よく炒め物とかギョウザなどに詰めたりします。
その次、真ん中の段。少し見にくいですけれども、これはかなりギザギザになって、鍋などによく使われます。少し味に特徴があります。これもこの辺りを見てもらったらわかりますね。そういう意味では、この左上とすごく似ています。最後に一番右側。これはわかりやすいかな。茎の部分と上の葉っぱの部分が大分違いますけれども、洋ものですね。私はミネストローネとかつくる時によく入れます。
これはもう葉っぱです。これは和食によく使います。親子丼の上などにポンとよく乗っていたりします。すみません。現物ではなくて写真なのでわかりにくいかもしれません。小松菜、春菊、セロリ、ニラ、ほうれんそう、みつば。こちらも6つとも正解された方は?ありがとうございます。三重の食の安全・安心はもうバッチリですね。
というように、要は、これは写真ではなくて実際に見たものでないとわかりにくいと思いますけれども、例えば、ほうれんそうと小松菜。これはやはり少しわかりにくいかもしれません。けれども、やはり全然味も食感も違うし、料理の仕方も違う。そういうものを、やはりお父さんたちにすごくわかってほしい。
特に、こういう青い葉っぱ、大体こういう葉野菜というものは、サラダにして食べずに煮たりすると思うのですけれども、お父さんがたまに料理をするということも多い時に、やはり食卓に緑が並ばない。緑の食材の料理の方法というのは、なかなか思いつかなかったりするので、定番でも良いので小松菜とかほうれんそうの煮物などをお父さんにつくってほしい。
こういう最低限の、自分の口の中に入るというものを、やはりお父さんがわかる。お父さんがわかった時に、次に何をしてほしいかというと、お父さんと子どもで買い物をする。そういうことをしてほしいというように思っています。
料理に凝るお父さんというのもたくさんいます。私も非常に凝ったのですけれども、こういうことをやりがちになります。じっくり買い物をして、買い物も本当に「今日はフルコースをするんだ。」と気合いを入れて、帰ってきたら夜の7時半。あと年に1度しか使わない道具の購入。
私も「すきやきをつくるには鉄鍋が必要だ。」というように本を読んで、「鉄鍋がないとすきやきがつくれないんだ。だから肉を買いに行く前に鉄鍋を買いに行く。」という、そういうことをやはりやってしまったことがありました。そして気合いを入れすぎて、フルコースをつくってデザートが夜中の12時くらいになるとか、料理をつくって食べて寝るという、洗ったものはゼロだったという。料理をつくったので妻が褒めてくれると思っているのです。
全部私の事例なのですけれども、こういうことをやり続けたことで、「料理をすることはとても良い。とても良いかもしれないけれども、やはり趣味でやることと日常でやることというものは、すごく違うのだ。」というように思いました。
そこで、先ほどのVTRであったように、お父さんが食について興味を持ってもらう。料理について興味を持ってもらうので、つくるのは良い。けれども大事なのは、食べるということ。これは本当に生きているかぎり食べ続ける。
家庭料理も一生つくり続けるということは、急に興味を持って趣味で終わらせて飽きてしまうということは許されないわけです。ですから、男の料理。一番最初に私がやってしまった料理というのは、自分の食べたいものを自分の都合でつくる男の趣味料理だったと。自分はお腹が減ったからご飯にしようかと思う。
でも、お母さんたちがどうしてきたかといったら、まさにこのパパ料理で、わざわざ言っていることなのですけれども、自分のお腹が減っていなくても家族のためにつくる。これがお父さんの家庭料理。今までお父さんとお母さんのいろいろな役割というものがあったかもしれません。あったのかもしれないですけれども、その次にいきましょう。
今、世の中は大分昔と変わってきて、みなさんの資料にもあるかもしれませんけれども、今から20年から30年くらい前で、この下の赤いグラフですね。これが何かと言いますと、下が共働き世帯。この青いグラフ、これは専業主婦の家庭の世帯です。これが10何年前くらいから逆転をして、もはや共働き世帯が1,000万世帯以上。そして、専業主婦の世帯が825万世帯ということで、この差はこれからもどんどん開いていくと思います。
さらに、結婚をする前の男女の話です。この間、日経新聞の数字で20代の働く男女の給料が、いろいろな統計の切り方があるので、それが全てではないかもしれませんが、20代の給料は女性の方が上回ったそうです。
ということは、結婚する時に、例えば家に入る入らないといった時に、「いやいや、私の方が稼ぎが良いのよ。だからあんたは家で家事育児をしてよ。」ということが言われなくもない。ですから、時代の流れ的に男性が全て稼いできて、女性が家の中にいて家事育児を全部するということは、やはり今の雇用状況とか世の中の流れも含めて、かえってリスクのある時代かもしれないということもあります。
別に、どちらの世帯が良いのか悪いのかというようなことを決め付けるわけではありません。私は1970年生まれで、ちょうど40歳になったのですけれども、自分の親父世代というのは、もちろんうちの母も専業主婦をしていましたが、やはり父親が働いて母親が子育て育児をする。父親は日常の家事育児はそんなにしない。たまたま私の親父は酒が好きなので、酒のつまみを自分でつくっていましたけれども、別に家族のために料理をつくるというのではなく、自分がやはり何かつくりたいものの時だけつくるという、そんな感じだったのですが、全く料理をされないお父さんももちろんいるわけです。
そういう世代を見て育ってきた今のパパ世代が、そのまま自分の父親の姿を見ながら、日常の家事育児をやろうと思うと、おそらく共働きになっていたとしても、家の家事育児とか料理というものに興味を示さない。もしくは、役割ではないと思っているかもしれない。ということは、それはやはり全体の世の中の流れも変わってくるし、いわゆる2人で共に働き稼ぐのだから、家事育児をするという時代の流れにもなってきていると。
これは社会の背景であって、このグラフを見たから、お父さんが、「そうか、そういうことか。じゃあ料理をしようか。」ということではないのです。社会背景的にも、やはりお父さんが家で家族のために、自分がお腹が減ったからということではなくて、家族や子どもたちのためにご飯をつくるということがあっても良いのではないかと、私は思うのです。
もうひとつ。そういう意味でいくと。実際に共働きをするということの世代が増えていったら、自ずとやはり奥さんに成り代わって家の家事育児をする。その時に子どもたちの食事もする。そういうものの面倒を見るということになった時に、自分が食べるものだけではなくて、子どもたちに何か食べさせるものというものをわからないといけない。
ということは、実際にお父さんたちが「何を食べさせたら良いのか。」ということも含めてわかる必要がある。例えば、子どもたちに甘いものを食べさせると喜ぶので、はちみつを与えます。はちみつを幼児や乳児に与えたら良いのか悪いのかというのは、お母さんたちなら知っているのです。いわゆるボツリヌス菌でしたか。殺傷されていないので、乳児とか赤ちゃんによくない菌が入って病気になる可能性があるというので、実は、はちみつは赤ちゃんに対してはNGの食材だったとか、そういうことがわかってくる。
もうひとつ。子どもたちにいろいろなご飯を食べさせるという行為をしてくる時に、なるべくやはり苦いものとか酸っぱいもの、ピーマンとか、そういったものは食べられないとか、にんじんが嫌いだとか、そういうことがあるじゃないですか。その時に無理矢理食べさせるか食べさせないかという時に、食についてのことをいろいろと勉強していくと、これも私は後で勉強して知ったのですけれども、味覚には五感があるじゃないですか。甘味とか苦味とか酸味とか辛味とか。その五感があるうちの酸味、酸っぱい味と苦味、この2つに関しては、小さな子どもにはおいしいというように感じないようにできているらしいのです。
これはなぜかというと、酸っぱいものというのは、腐っている可能性がある。苦いものというものは、毒が入っている可能性がある。それと、大人は苦いも酸っぱいも毒があるかどうかも、自分の経験の判断で口の中に入れたり食べなかったりするということができます。けれども、小さな子どもにはそれを判断する力がない。だから、酸っぱいものとか苦いものは、これはおいしく感じないように生き物としてできていると、こういうことを知りました。「ああ、なるほどな。」と。そうすると、子どもたちが酸っぱいもの、大人は好きなので、例えばサラダにフレッシュな生のレモンをぎゅっと絞って食べるということをしますけれども、あのピシュッとする最後の一かけの酸っぱさが、子どもたちにはやはり酸っぱすぎて嫌だと。
「野菜は食べなさい。」と言うのですけれども、なぜかというと酸味、酸っぱいものというのは、子どもの味覚的にはおいしく感じられないということがわかる。そういうことを知っていくと、やはり無理に子どもたちに食べさせるということもなく、長い目で付き合うようにもなっていけるのではないかと。そういう子どもたちにおいしく食べさせるようなことも、大人になってお父さんが子どもたちに食べさせたり、「なぜ食べないのだろうか。」ということを調べだすと、そういうことがわかってくるかもしれません。
というように、私自身もひょんなことから自分が料理を楽しむようになったのですけれども、もしみなさん、これからお家に帰られてインターネットとか見られる時があったら、ぜひご覧いただきたい。
これは私のビストロパパ、「パパ料理のすすめ」というブログを書いております。このブログは、テーマが「お父さんの家庭料理」ということで、ずっとこのようにブログに写真とレシピを載せ続けて、12月か来週くらいになったら、毎日連続で書き続けて今1,600になっています。次に1,700日くらいになります。毎日毎日一日も欠かさず、お父さんの家庭料理についてのレシピの紹介とか、そういうものを書き続けていました。
それを私が前の会社で働いている時に書き続けていって、「もっとこれからは世の中のお父さんが家族のために料理をしないといけない。」と。だったら、本業が別でありながら、こういう活動をするのではなくて、「パパ料理研究家を専門に独立起業しよう。」と思って、私は本当に去年の3月まで、クリエイター育成のデジタルハリウッドというところに勤めていたのですけれども、それを辞めて、株式会社ビストロパパを立ち上げて、パパ料理研究家として活動しています。
その前は何かというと、本当にベンチャーの企業で働きっぱなしで、食の安全・安心どころか、家でご飯をつくったことがない。米も炊いたことがない。外食ばかりだったというような極端な人生を送っていました。けれども、娘が産まれたことがきっかけで、「少し料理してみようかな。」と。それはなぜかというと、赤ちゃんができると、レストランなどに行けないじゃないですか。だから、「家でおいしいものが食べたいな。」という時に、そんなに毎日弁当ばかり買ってきても飽きるので、「じゃあ自分でつくりましょう。」ということで、つくったのがきっかけです。
いろいろな、多分これからお料理を楽しまれるお父さんが増える時に、多分きっかけがたくさんあると思います。そのきっかけのひとつになるのではないかと私が思うのは、やはり子どもが産まれる時というのは、すごくポイントなのではないかと思います。
特に、私の妻はつわりが激しかったこともあり、なかなか食事も、自らも食べられなくて、吐きっぱなしでどんどん痩せていく。もう匂いがダメなので、料理も何もできないというようなことになりました。その時に、たまたま私が料理をはじめたこともあったのですけれども、ゴーヤチャンプルーをつくったのですが、そのゴーヤチャンプルーがつわりのひどかった妻には唯一食べられたと。よく食べてくれたりしたというようなことの思い入れが、私にも妻にもあります。
それは私が、たまたま料理を楽しめるということがわかったから良かったのですが、そういう料理をするということに全く興味がなければ、ひょっとしたら何かお惣菜を買い続けていたかもしれない。
これは事例なので見ておいてください。そのように活動してから、いろいろなところにご縁があって、お父さんの料理ということで、全国を回ったりお話をしたりしています。特に、地方で料理教室をする際に、これは沖縄です。沖縄で料理教室をしてきました。沖縄のお父さんに「滝村さん、沖縄料理を教えてください。」と言われたのです。「私は京都出身で神奈川に住んでいるのですけれども、沖縄のお父さんに沖縄の料理を教えてもいいんですか?」と心配になったのですが、「いいです。いいです。」と。
ゴーヤがやはり苦いということがわかって、この日はお父さんと子どもの料理教室でした。だから、わざわざ苦いゴーヤをつくって子どもたちが食べられないということではなく、「じゃあ、地元の食材で、地元のお父さんたちに覚えてもらいたい料理は何がいいかな?」「でも、やっぱりチャンプルーがいいなあ。」と。チャンプルーは非常に簡単なので、食材を地元の大きい瓜、冬瓜を使った冬瓜チャンプルーというものをつくりました。それと、沖縄では豚がおいしくて、アグーという有名なブランドがあるのですけれども、それではなくて紅豚という地元からの食材をスポンサーにしてもらって、豚と冬瓜のチャンプルーなどをつくりました。
そういうことをすることで、改めて「地元の食材がこんなにおいしいのだ。」ということをお父さんたちが知る。それを実際に料理をつくっていく時に、「豚って炒めていたらこんなに油が出てくるんだ。」と。そうすると、最初の油などは少量でよかったりする。そのように自分が実際にやってみることで、「こんなにたくさんつくっているのだ。」というものをたくさん知ることができます。
やはり私が一番「すごいな。」と思ったのは、プリンです。プリンというのは、家でつくってみるとものすごい砂糖を使いますよね。大さじ1、2、3、4杯などガサガサ入れてつくるので、「あ、こんなにプリンって砂糖を使ってたんだ。」ということが、すごくよくわかったりします。
そのように、やはり自分がつくってみるということで、どれくらいの塩、砂糖を使っているのかということもわかってくるのではないかと思います。
今日は、せっかく蕎麦を打たれている方がたくさんいらっしゃって、あえて蕎麦を打つということがわかっているのに、お話をしますと、やはり蕎麦を打つということが、ものすごく簡単で、日常にやられるご飯だったら、それはそれで良いと思います。良いと思うのですけれども、例えば普通のご飯をつくるかつくらないかというのがあります。それと、蕎麦しか打たないとか蕎麦だけつくるというのは、これはまた別だと思うのです。
だから、日常の家庭料理と趣味というものは、やはり違う。だから、実際にお父さんたちには、日常の料理というものがある、それプラス趣味の料理という、この2つをぜひ覚えていただきたいというように思っています。
これはもうひとつ。「お父さんたちが料理をするのかな。」というのがあるのですけれども、これは私自身が、「入って良かったな。」と思ったのは、ファザーリング・ジャパンという、父親の子育て支援のNPOにも私は少し参画をしたりします。
先ほど、冒頭に私が少し言ったかもしれませんけれども、最近「イクメン」と言われている部類なのかもしれませんが、「イクメン」という言葉を聞かれたことがある方は手を挙げてもらえますか?大分浸透していますね。
「イクメン」というのは、「イケメン」ではないのです。大いなる違いなのですけれども、「イケメン」ではなく「イクメン」というのは、育児を積極的にする男性のことを「イクメン」と言います。それを女性からしてみれば、「そんなの私、昔から言われているけれども、ちやほやしていないわよ。」と非常に怒られるのですけれども、そこはいろいろとお父さんたちの意識とか、いろいろな文化が変わるきっかけとして今は言われるかもしれない。けれども、これが5年10年後に言われ続けるものではなくなる最初の第一歩なので、「少し大目に見ておいてくださいよ。」とは言っています。
この「イクメン」、昨日でしたか、発表されたユーキャンの今年の流行語大賞のノミネートに入っています。私は「結構、上位に入るのではないか。」と思っているのです。育児家事を含めて、そういう意識が高いお父さんたちが、大分増えているように思っています。それは仕事をないがしろにしているのかということではなく、仕事も一生懸命にやりながら家事育児も一生懸命にする。
そしてもうひとつ。これはNPOですから、いろいろと社会活動的なこともします。私たちだけではなくて、これからお父さんになる、もしくは今、お父さんとしてそんなに家事育児をやったり、子育てを楽しんでいないお父さんたちに、「いや、楽しいんだよ。」「仕事以外に、お父さんとしてだけの友達というものがあった方が良いよ。」と。
これも、お父さんの友達のことを「パパ友」と言っています。ママがママ同士の友達のことを「ママ友」というように「パパ友」がいます。これは私の「パパ友」で、これは私がつくったエプロンをみんなが買ってくれたので、みんなが同じようなエプロンになっていますけれども、この人たちも、もちろんいろいろな仕事をしています。名古屋とか三重の人が多いのです。
今日、本当はこういう三重のパパ友仲間がたくさんいたので、「来たい。」と言ってくださっていたのですけれども、ちょうど同日に津市の方で、「フレンテみえ」というところで男女共同参画イベントをやっておりまして、残念ながら来られないということです。
こういうお父さんたちがきている、お父さんたちは仕事に対して自分の社会の先輩とか、例えばその会社の社長とか、上司を見て仕事の仕方とか、というようなモデルケースはたくさんあるので、それをどんどん理解していきます。
けれども、家事育児に関しては、自分の妻とか自分の母親とかとの考え方というものは見たことがあるけれども、同じ世代の子育てとか育児とか家事とか、そういう情報というものは本当に入ってきません。入ってこないということは、自分自身が何を参考にしたら良いのか、何もかもわからない。
そんな時に、仕事ではないつながりでお父さんの仲間がいて、そのお父さんの仲間同士、いろいろなメールで情報交換をします。この間、メールが飛び交っていて、ものすごく「ああ、真剣にお父さん同士で議論して良かったな。」と思うのは、あるお父さんが、「小学校2年生の次男が、うちの中からお金をこっそり持ち出して、そして買い物をして、その買ったものを近所の友達と一緒に食べたということがわかった。」と。「そういう子どもに対して、どうしたらいいのか。」ということを、「自分なりに、こうやりました。」「こうやった。」という話です。
「それは悪いことだから警察に連れて行く。」と言って、実際に警察まで行って、でも「息子の責任はお父さんの責任だから、お父さんが一人で警察に報告をしてくる。」といって演技をしたのです。そして警察まで入って、警察のトイレでしばらくじっと待っていたらしいということで、子どもがすごく反省して、「ごめんなさい。」といって、言っていなかったことをいろいろとしゃべりだしたと。
私の娘がそうなのかどうかはわかりませんけれども、やはりそういう子育てについてどんなことをしているのか。
日常の家事育児で、例えば365日、自分と奥さんに弁当をつくっているお父さんもいるのです。どんなに奥さんが大好きなのか、どんなに奥さんが怖いのか、どちらかはわかりませんけれども、そういうお父さんがいると。お弁当をつくるということに対してどうだとか、お父さんがお弁当をつくるという情報交換が、お父さん同士でなされると。
これは多分、会社の上司とそんなことはしないし、そういうネットワークというのは、地元のお父さんたちとかとお知り合いにならないかぎりはなかなかない。けれども、私がなぜこういうつながりが良いかというと、やはり母親と同じように家事とか育児とかをきちんとする。その中で、今までにはないお父さんなりのいろいろな家族の守り方というものがあるのではないかと。
そういう時に、「あのお父さんは土日も含めていつも料理をつくっている。」「自分と家族の分のお弁当を毎朝、自分の分、幼稚園のお弁当、妻の分、3つもつくっているお父さんがいる。」とか、そのようなことを知ることによって、「何か自分もやってみようかな。」というように意識の中がだんだん変わっていくのではないかというように思います。
ですから、今日の話のテーマである「家庭から考える食の安全・安心」とか家庭という部分で、お父さんがやはり自分の家族に対して、いろいろな食の安全だとか安心だとかを気遣う。
その時に日常の家庭料理をするという、そのようなことに気付くためには、たくさんのそのようなお父さんが増えて、さらにそのお父さん同士で情報交換できるということが必要だと。
男性は、自分の中で考えるより、わかりやすいロールモデルがあると、俄然それに対して意識が変わって「あ、俺もこうやろう。」という影響を受けやすかったりします。だから、そういう意味では、この「コラボエプロンを着たおっさんがしゃべっているな。」というのが、ひょっとしたらパパ料理をするきっかけになるかもしれないし、そのようにお父さん同士で、自分たちで何か仕事とは違うことで気付ける情報がたくさん出てくるのではないかと思っています。
それと、もうひとつ。お父さんが料理をはじめた時に、これは小さいお子さんたちがおいらっしゃる時には一番良いのですけれども、お父さんと子どもでの料理というものを、非常に私は広めたいと思ってやっています。それの言葉が上になります。
「父子料理のすすめ」「トノサマの子手伝い」というように出していまして、これは私の次女です。これは私の長女のユリカです。これは自分でおにぎりをつくって、自分で食べて「おいしい。」という顔をしているのですけれども、これは鍋でアクを取っているシーンです。これは何か洗いものをしてくれています。
できるだけ子どもに料理のお手伝いをさせるということをしているのですが、2歳3歳とか、小さければ小さいほど丸っきり役に立たないのです。役には立たないのだけれども、すごく喜んでやるのです。
みなさんも記憶があるかもしれませんけれども、3歳4歳くらいの子どもというのは、大人と一緒のことをすごくやりたがります。例えば家に帰ってきて親が電気を点けようとすると、その電気を点けたりとか、もしくは家の鍵を開けようとすると、「私が鍵を開ける。」とか、エレベーターのボタンを押したりとか、バスに乗っていて誰かが降車ボタンを押したら「押したかった。」と言って泣き叫ぶとか、そういうボタンを押したりするような些細なこと、そういうものにものすごく興味を持ってやりたがるような時期に、あえてとても簡単だけれども、良い食育コミュニケーションになるものがあるのではないか。それをぜひお父さんたちにしてほしいと。
お母さんも本当はこういうことをゆっくりやりたいのですけれども、やはりパパよりもやる仕事がたくさんあって忙しいのです。わざわざ子どもたちを巻き込んで料理をするというのは、やはり大変ですから、お父さんたちに料理をしてもらう。料理をしてもらって、こういう子どもと一緒に料理をつくる。その料理をつくっている間に、奥さんは時間が空くので掃除をするとか、今だったら冬物の服を引っ張り出してくるとか、羽毛布団を出さなきゃいけないとか、そういうことをやれるのではないかと。
どんなことを奨励するかといいますと、「トノサマ」の「取る」。枝豆のヘタを取る。えびの背綿を取る。それから「覗く」。鍋を覗いたり、電子レンジを覗いたり。アサリの砂抜きなどをするのにピュッと飛んだりしますから、そういうものを一緒に覗いて観察したりとか。
あとは「触る」。ここだったら、ひょっとしたら日常家庭料理に伊勢えびを使われているかどうかわかりませんけれども、そういう魚介類とか、調理をする前に、気持ちが悪いかもしれないけれども一緒に触ってみるとか。
そして「回す」。とき卵をかき混ぜたり、水切り器でクルクルと回して水を飛ばしたりしますけれども、ああいうことをしたり、あとは一緒に買い物に行く。これは先ほど食材テストをしたみたいに、子どもたちに何の野菜なのかということを、やはり見分けられるようなことを、小さい頃からしたいと。
元気な野菜と元気ではない野菜と、そんなにスーパーには腐っているものを置いているわけではないですけれども、その中でもどれがおいしそうだとか、やはり自分がいきなり食べるのではなくて、スーパーに売られているところ、もっと言って遡っていけば、農家さんがつくっているところをもらってきたりするのが良いかもしれませんが、買い物に行くというところからやっていきたいと。あと、ハンバーグをこねたり、いろいろなものを剥くということもやってほしいと。
安全・安心の中で、一生に関わってくるかもしれませんけれども、こういう時には包丁とか火というものを使います。すると、最近ではIHなどになって火を知らない子どもたちがいるらしいですけれども、やはり生きていくために、包丁や火というものが必要なのです。
そういうものを実際に小さな頃、大人になった時に、知らない間に包丁を使っていたとか、火を使っていたとかではなくて、全く使えなかったところから使えるようになる最初のきっかけを、お父さんが一緒に台所に立って教えてあげるというようなことを、すごくしてほしいと思います。
お母さんの方が、子どもと接している時間が多かったりすると、あっという間にどんどんいろいろなことを覚えていくようになります。だから、ぜひお父さんにはこういう親子のコミュニケーションを、料理を通じてしてほしいというように思います。
これはもうひとつ私がしたいことなのですけれども、やはり母親のつくった味というものは、男も覚えています。その時に、「おふくろの味」という言葉があるのですけれども、私は、その「おふくろの味」を妻が覚えてつくらなくても、それぞれの子どもたちが継続すれば良いのではないか。だから、母の味を私がつくります。
そして、私がつくったものを子どもたちに食べさせる。ですから、必ずしもこれからは「おふくろの味」というところだけではなく、お父さんが日常の家庭料理をつくるようになれば、おそらく私は「おやじの味」というものが出るのではないかと思っています。
この「おやじの味」という言葉が、子どもたちが普通にしゃべれるようになった時、これはやはり文化として根付いて、そしてお父さんたちの食の安心だったり、安全な部分の意識というものが、非常に高まったことになるのではないかというように思います。
あと、例えば子どもたちが幼稚園で今だったら、お芋ほりに行っていると思います。さつまいもなどは、今年は大きいらしいですね。そのようなものを採ってきた時に、「よっしゃ。じゃあ、お父さんがさつまいもを揚げてあげよう。」ということで、子どもたちの採ってきた食材を実際にお父さんがつくって一緒に食べるということをやると、やはり旬のこともわかるし、お父さん自身も、子どもたちがつくってくれたものをおいしそうに食べるという、非常に良い思い出になるのではないかというように思います。
時間になってきましたので、この辺りはおいしく料理をつくれるポイントなので見ておいてください。
今日のひとつのテーマで、パパ料理、私が言うお父さんの家庭料理を通して、どんな食の安全・安心が出てくるかということを振り返ってみると、大きく3つ整理しました。
まずひとつ。お父さんが知る。お父さんが実際に料理をすることで、どんな食材があるのかということがわかる。もともとどんな食材が入って何が入っているのかという、それがわからないかぎりは、大体、これは食べても良いのか悪いのか、体に良いのかどうかということが気付けません。
そして、調味料を知ったりつくり方を知る。これを実際に知るということで、まず自分たち、自分の食べるもの、自分が食べるのは自分の責任ですけれども、子どもたちとか妻とか、ひょっとしたら最近、私たちの世代は育児と介護が両方やってくる時代になってきていますから、自分たちの両親に何を食べさせたら安心なのかという、自分だけではない誰かに食べさせてあげるという責任を持つためには、やはり知ることが必要だと。
あと、それを通して気付くことです。自分の健康管理をしないといけない。妻の健康はどうなのだろう。子どもたちはどうなのだろう。先ほど言いました親の健康もどうなのだろう。
趣味でつくっている分には、自分が楽しみます。でも、誰かのためにつくっているという、これはその人のお腹が減っている、その人の体のことまで責任を持つ必要があるわけですから、だんだん何かを知ることで、いろいろな人たちの健康管理をしないといけないということに気付いていく。そういうことを繰り返しながら、実際に料理をはじめる時に、自分の料理、自分が食べるもの、妻が食べるもの、子どもが食べるもの、子どもが食べるものなどは年齢とともに変わっていきます。
離乳食と、その後の乳児食とか幼児食というものは違ったりします。何が食べられるのか食べられないのか、どういう大きさのものだったら喉を詰まらせるのか、そういうものを妻任せにするのではなくて、父親がわかると。
そしてその次に、親の介護食というものになるのかもわかりませんけれども、自分と妻、2人ともに両親はいます。すると、最大4名いるわけですから、その4名をいろいろと看るというような時に、やはり妻だけではなくて、実際に、自分自身が親世代も含めた料理にきちんと目を向けられるようになる方が良いのではないかと思います。
そして、それらを通して、こういう三重などに来ると、地方というのはすごくおいしいものがあったりするので、そういうものはなかなか地元にいるとわからない。
私が遠くから来て見ることで、「こんなおいしいものがあるんですね。」というように思うのですけれども、それらをやはり地元のおいしいものがあるのだということを知って、実際に消費するという地産地消を、お父さんが意識するというのを、私はすごく食の安全・安心につながると思います。
そして、この先に、私は最近すごくインターネットとかツイッターとか、いろいろな人と人とのつながりも含めて、ご近所さん以外に知り合う機会が増えてきました。
そうすると次に、私は、地産地消の少しかたちが違う新しいテーマができているのではないかと思っています。すみません。これは後で追加したので、みなさんのレジメには書いてありません。
「知産知消」、知っている人がつくっているものを、知り合いが消費するということ。つまり、地元の人がつくっているものというのは、もちろん応援するのですけれども、地元でも、例えば近所でも良いのですけれども、「何々さんがつくっているらしいよ。」という、そういう自分のちょっとした知り合いがつくっているものというのは、その人が一生懸命につくっているし、その本人も応援をするので、やはり何か買ってあげたかったりするじゃないですか。
すると、そういう知っている人、知っている人のものを消費するという時に、何かその人を応援している気にもなると。やはり、自分が応援しているような、そういう人たちのものを消費するということ、これはものすごく食の安全・安心という部分でも、より何か良いのではないかと。
自分たちの体でやってきているいろいろな食材であったり水だったり、そういうものをきちんと誰かがつくっているのだと。そのようなことをしながら、日常の消費をしながら、知り合いのものを消費することで豊かになっていくというようになるのではないかと思います。
これは、そういうお父さんの料理というものを通して、私はもっと広がると。このような自分のいろいろなところの成長につながるし、妻のメリットもあるし、子どものメリットもあるし、お父さんが料理をするから、いつもいなかったお父さんが料理をするので一家団欒が増えるということにもなる。それを通して、お父さんの料理によって、さらにいろいろな社会的な意義がたくさん増えていきます。
これは、今日の食というところの部分でいくと、食料自給率のアップというものをお父さんが、自分自身が良いものを選ぶ。良いものをきちんと、良いものというのは値が高いというだけではなくて、安全・安心なものをきちんと選ぶ目があると。そういうことをするのは、結果的には食料自給率のアップにつながると。
これは、私がお父さんたちに伝えるひとつのテーマなのですけれども、やはりお父さん自身が生きていく際に、いろいろな興味のあるフィールド、ここだったら仕事というところ。ここだけではなくて、よくワークライフバランスと言われますけれども、仕事みたいに家庭というものを守らなければいけないのです。
家庭を守らなければいけないという時の、もうひとつその先に、私がNPOの活動なども含めて出会ったのが、地域とか社会に対する貢献だったりします。ですから、家族を持つ、守るべきものが増える、責任を持った方が良い、もしくはそのかたち、突っ込んでいろいろととっかかった方が良いというのは、仕事だけではなくて自分たちの家族、家庭、それといろいろな地域と社会、このそれぞれに私はお父さんたちの活躍するフィールド、やらなければいけないことというのはたくさんあるのではないかと。そのようなことを通すことで、実際に仕事から生活、生活から地域社会、この辺りの活動がまた自分の仕事にどんどん戻っていくという、こういう循環があるのではないかと思っています。
お父さんたちの役割というものは、本当に今までの働いていくだけということではなく、これから広がっていけると思います。
そのそれぞれのお父さんの立場というものがあるとは思うのですけれども、一番大事なものというのは、やはり自分が健康で元気になる。それを支えてくれる家族がいる。その家族を支えるひとつに、日々食べるご飯がある。
そのご飯をつくるという、食べるということを任せるのではなくて、自分が実際にやってみる。自分が食べるものではなくて、何か家族、人を生かすために料理をつくる。その料理をつくることで、その人たちが元気に幸せになっていく。それを見て自分が幸せになるということをすごく感じるようになるのではないか。
仕事ということだけではない、いろいろなところでお父さんの居場所、活躍するフィールドがあり、私がパパ料理研究家という立場からすると、ぜひそれを生きるために必要な「食べる」、食を通じて家族そして地域社会を守っていくことができる、そんなお父さんをたくさん増やしたいというように思っております。ということで、お時間になりましたので、これで私の今日の話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(司会)
滝村様、どうもありがとうございました。せっかくの機会ですので、わずかな時間ではありますが、滝村様に対する質問等をお受けしたいと思います。ご意見ご質問のある方は、係の者がマイクをお持ちしますので、挙手をお願いします。
(会場A)
おいしく料理をつくるという中で、自分が食べたいものをつくると。一方で、客が食べたい料理をつくると。男の料理ですね。男の料理は、まず趣味ではじめて、どうせつくれば誰かに食べさせたくなるという。イコールパパ料理ではないかという気がするのですが。
(滝村雅晴氏)
私がよくなかった例なのですけれども、趣味に走ったことで、洗い物も何もせずに、自分がつくりたいものばかりをつくっていたのです。今日は中華、来週はイタリアン、また中華、またイタリアンというように油ばかりだったのです。私が食べたいものが妻が食べたいものだというように勘違いしていたところがあったので、それをやり続けてしまうと、やはり趣味に走って家族は喜ばなくなる。
だからその先は、やはり家族が食べたい、誰かが食べたいものをつくった方が良いのだけれども、全く料理をしない人、これがはじめのきっかけの時に、妻が大好きなのだけれども私が大嫌いというものをつくると、やはりきっかけとしてもつくりはじめられないと思うので、きっかけとしては、私は自分の食べたいもので良いのではないかという意味での「好きなものをつくりましょう。」ということで書きました。
(会場A)
わかりました。ありがとうございます。
(司会)
他に質問はよろしかったでしょうか?それでは、ここで一旦休憩に入りたいと思います。