三重の木づかい人
第10回 宮原良雄建築設計事務所 平成27年9月11日
「三重の木づかい人」第10回は、宮原良雄建築設計事務所(紀北町紀伊長島区)の宮原良雄さんにお話を伺いました。
宮原良雄建築設計事務所では、住宅をはじめとして、学校等の公共建築物、店舗建築など、幅広い建物の設計をされています。「身近な材料で造られた建物の中で生活する事が人にとって最も自然」という考えのもと、三重の木材を生かし、地域の風景に馴染む建物を多数設計されています。また、木のすまいづくりに携わる人たちが「木造」を学ぶ場である「みえ木造塾」の運営委員としても長年ご活躍されており、魅力的な木の住まいづくりに熱心に取り組まれています。
仕事へのこだわりやコンセプトを教えてください。
「休む」という漢字は人と木が寄り添う形でできていますが、人は木に寄り添って生活するのが自然な姿だと思っています。そのため、木の良さを生かし、地域の気候や風土に合わせながら、住まう人のニーズにあった設計をしていきたいと思っています。
また、住まう人、職人さん、設計する人、それぞれが納得のできる建物をつくりたいと思っています。3者の力を合わせて住まう人が求めるものを『かたち』にし、お互いに喜びを共有できることが自分自身の喜びであり、そのために設計者としてどのような提案をしていくかをいつも考えています。
スギやヒノキの良さや特徴について教えてください。
スギやヒノキなどの木材に含まれるフィトンチッド(=森林の香(かおり)成分)には、リフレッシュ効果やリラクゼーション効果があるため、木の建物は落ち着くことができる空間になります。ストレスの解消や脳の活性化といった効果についても、科学的な検証が行われており、このような木の良さを生かした設計をしていきたいと考えています。
また、木材は同じ重さならば、鉄やコンクリートと比べて圧倒的な強さを持っており、強度面でも大変優れた素材です。構造材などに木材を使用した建物は自重が軽いので、地震時に建物にかかる力が小さくなり、地震に強い建物をつくることができます。三重で生産されるスギやヒノキは年輪が緻密で強度的にも信頼がおける材料なので、私たちの地域の資源を生かし、災害にも強い建物をつくっていきたいと思っています。
今後の抱負を教えてください。
身近にある材料の中で生活することや、自然と密接に関わりながら生活していく事が人にとって大切だと思っていますが、現代では、人が自然に触れる機会が少なくなってしまいました。そのため、子どもたちが小さいときから、木や山にふれあうことができる機会づくりや場所づくりに関わっていきたいと思っています。このような取組が、木の良さを知る事やものづくりをはじめとする「木の文化」の継承にもつながっていくと考えています。それと同時に、私たちにとっても、貴重な学びの機会になっていくのだと思っています。
宮原良雄建築設計事務所の詳細については、下記よりお問い合わせください。
yoshio.miyahara@ivory.plala.or.jp