3 地方債の発行
地方公共団体が地方債を発行するためには、総務大臣又は都道府県知事(以下「総務大臣等」)に協議をしなければなりません。(なお、団体の財政状況等により、許可を受けなければならない場合もあります。)
(1)予算への計上(地方自治法第230条)
地方債を発行するためには、起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を予算で定めなければならないことになっています。
(2)地方債の協議等(地方財政法第5条の3)
- ア 協議
地方公共団体は、地方債を起こし、又は起債の方法、利率、償還の方法を変更しようとする場合は、原則総務大臣等に協議をしなければなりません。 - イ 公的資金の充当
地方公共団体は、協議において総務大臣等が同意をした地方債についてのみ、当該同意にかかる公的資金を借り入れることができます。 - ウ 地方財政計画への算入
総務大臣等が同意をした地方債の元利償還金について、地方財政計画に算入することとなります。 - エ 同意のない地方債の発行
総務大臣等の同意を得ないで地方債を発行するときは、地方公共団体の長は、原則としてあらかじめ議会に報告しなければなりません。 - オ 届出
地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、財政状況が良好な団体が基準額内の民間資金債を発行しようとする場合は、原則として、財政状況の良い団体の協議を一部不要とし、事前届け出とすることなどを内容とする地方財政法の改正が行われ、平成24年度から実施されました。実質公債費比率の基準により、平成28年度以降は18%未満の団体が、協議不要団体(届出団体)となります。
(3)地方債についての関与の特例(地方財政法第5条の4)
次に該当する団体が地方債を発行する場合は、総務大臣等の許可を受けなければなりません。
- ア 財政健全化法に定める健全化判断比率のいずれかが早期健全化基準以上である団体
- イ 前年度の赤字が一定以上の団体
実質収支の赤字額が地方財政法施行令第8条第2項の規定により算定した額(標準財政規模の額に応じ、2.5%~10%までの間で段階的に設定)以上の団体。 - ウ 実質公債費比率が18%以上の団体
実質公債費比率(当該年度前3ヶ年の平均)が18%以上の団体。
また、実質公債費比率が25%以上の団体については起債が制限されることとなります。 - エ 不適正行為を行った団体のうち総務大臣が指定したもの
下記不適正行為を行った団体のうち総務大臣が指定したものが、許可団体となります。- 元利償還金の支払遅延団体
- 協議又は許可を受けず起債を行った団体
- 虚偽記載等不正を行った団体
- オ 資金不足額が一定以上の公営企業
地方公営企業のうち、地方財政法第5条の4第3項(資金不足比率)に該当する団体。 - カ 普通税の税率が標準税率未満である団体
(4)地方債の発行方法
地方債の発行方法には、証券発行と証書借入れの2種類があります。
- ア 証券発行
地方債証券を発行して資金を調達する方法です。証券現物を発行する現物債と、現物を発行しない振替債とがあります。 - イ 証書借入
借入先に借用証書を提出して資金の貸付を受ける方法です。
財政融資資金、地方公共団体金融機構資金はすべてこの方法で借入れます。