むらづくりフォーラムを開催しました
平成19年3月9日(金)、むらづくりフォーラムを水産会館で開催しました。県職員約60名、市町職員約10名、地域約20名、一般公募モニター9名が参加しました。
午前の部として平成17年度より2カ年間取り組んだ「モニター交流会報告会」を開催。モニター交流会にご参加いただいたアドバイザー3名に、専門家の視点で田舎の魅力についてご講演いただいたほか、一般公募モニターやモニター交流会実施地域も交えて意見を交換しました。
その後、午後の部として、「田舎の魅力を発揮する」をテーマとして事例発表会を開催。島根県からお越しいただいた、NPO法人結まーるプラス理事長のかわべまゆみ氏と、農業法人せいわの里まめや代表取締役の北川静子氏に、パワフルにご講演いただきました。
講師プロフィール
午前の部モニター交流会報告会 要旨
かわべまゆみ氏ご講演要旨
北川静子氏ご講演要旨
午前の部 モニター交流会報告会の要旨
橋川史宏氏ご講演 ポイント
- 都市と農村の交流を促進するために必要なこと
- 現実認識⇒現実の弱み、強みを知ることで目標設定。
- ターゲットの設定⇒ターゲットを選んでいるか。
- メッセージ⇒メッセージは最大のおもてなし。「心の中の思い」
- 固定観念に囚われていないか
PRすれば人が集まる、営業努力すれば人が集まるのではなく、町が魅力的なら集客事業は実る。魅力的でないなら、まず、磨く必要がある。 - 景観を見直す時代に来ている
- もっと魅力ある地域になるために
- 人をひきつけるもの、売れるものを知る。
- かつてあたりまえにあったのに、今はないもの。⇒希少性
- さらに、日々の暮らしに取り入れたいもの。⇒時代的価値
- 希少性・現代的価値
- 人と自然がつくる文化的景観
- 農山漁村の温かさ・厳しさ
- 伝統的なもの作りの精神(職人的な精神)
森本かおり氏ご講演 ポイント
- 市民活動と行政の協働について
市民活動(NPO)は、社会の中で必要だが行政でできない活動を行い、危機感や思いから始まっている。行政との協働事業において、行政の決める枠組みが窮屈になることが多い。市民活動は行政が決める枠からはみでている事が多い。行政はあてにしてはいけない。 - 個性がある
それぞれ活動に個性がある。よその活動を見に行って体験するのが一番いい。
楠川陽子氏ご講演ポイント
里料理の魅力
- 歴史と風土に育まれた郷土の料理で先人の知恵が生かされている。
- 伝え続ける家庭の温かさがある。
- 本当においしい料理がしたたかに残っている。
- 豊かな自然と人情に厚い人がいる。
- 安全、安心、健康で新鮮なとれたての味が楽しめる。
- 人々の心にいやしを与える。
- 食の文化を次世代へつなげる
どんな僻地でも「とれたのおいしい味」「温かい人」「おいしい空気」を求めて人は来てくれる。
かわべまゆみ氏 ご講演 要旨
~笑いが止まらない田舎暮らし 今、田舎こそ夢と可能性がいっぱい!~
田舎の宝物
- 田舎の人は何もない何もないと言うが、宝物がいっぱいある。町の中心にある「無人の駅」がもったいないと、町の担当に相談し、2年後に地域づくりができる拠点になった。無人駅でNPO活動を行い、年間2,000人が訪れる。
- 駅で活動を始めて、Iターン、Uターン、地元の人、学生など人が集まる交流の場になった。違う人が来ると、人によって「もったいない」の視点が違う。人が来るたびに、「もったいない」があってそれを生かすと「宝物」になると気づいた。
- 75歳以上の方が持つ、知恵や技が次の世代へ残らないかもしれないと都会の人が気づく。買ったほうが早い「知恵・技」に都市の感性と自然の素材が加わって、「スローマーケット」になる。「スロー」という言葉は「本来あるべき姿」と解釈している。「スローマーケット」は本来あるべき経済活動をめざすこと。スローライフは本来あるべき暮らし。山を見て美しいと思う気持ち。石見に来て、人として暮らしができるようになった。
何故NPO法人か?
- H16,10月、約3,600人の桜江町は、人口約26,000人の江津市と合併。合併後、店が閉店していく、路線バスが配線になる、Aコープの出張所がなくなるということが起こった。買い物する店もバスもない。日々食べるものも不便になる。住民に不安が募る、空き家が増える、消えていきそうな集落も出る状況になった。
- とにかく自分たちができる事をやろうと思った。行政サービスの代行なども考え、法人格が必要とNPO法人を立ち上げた。Iターン、Uターン、行政、農業、建設業など、30代と40代で構成される。
- 足元がぐらつく、マイナスに向かう流れを0に戻したいと、「まち守り活動」も行う。
空き家対策
- 空き家を放置しない。空き家に人が住めばコミュニテイが復活する。NPO法人が空き家の斡旋をできる特例措置を活用。中々、賃貸、売買してくれない空き家も、多様な主体が連携することにより活用が可能になる。たとえば市議や自治会長、市役所が家主に声をかけ説得する。宅建業者が物件を評価し、NPOが都市住民に情報発信、物件紹介をするというように、皆で役割分担している。
これから
- これからはチームだ。互いが、長所を生かし、弱いところは補完しあう。連携、協働、助け合い。
- 「消滅する過疎地」にするのか、「極上の田舎」にするのか。あきらめたときに本当の荒廃が始まる。農山村や漁村などの「生産の場」が、荒廃すれば、「消費の場」である都市の衰退にもつながる。
- 他所の成功事例をそのまま持ってきてもムリ。風土、歴史、立地条件など、地域にあった取組みがある。
- 地域の経済的自立のためには、地域をマーケティングすることが重要。内的要因(強みと弱み)と、外的要因(消費者は何を求めているか)をリサーチすること。
- 個性を知り、ビジョンを持つこと。
- 定住促進は「量より質」。団塊の世代争奪戦というが、数値的目標を追いかけるのではなく、どんな地域にしていくか、だからどんな人に来て欲しいのかを考えたい。地域にも選ぶ権利がある。お客様気分で来る移住者を、衰退しかけの集落に入れるのは疑問。
- これからの地域の力は人間の力。
北川静子氏 ご講演要旨
~農村文化を次世代へ伝える 農村料理店の事例から~
- 70代は生活の糧が里にあったが、40代50代の生活の糧は里の外にある。10年先まで里が守れるのかという不安がある。そこで「農村応援隊」というしくみを作った。農村がもっと元気になって、次の世代に引き継げるように、里以外の人に里に来てもらうしくみが動きだしている。
- 1人ではできることはしれている。35人みんなでするからできるとつくづく感じている。「ヒト」ってすごい、ありがたいと感謝の気持ちでいっぱい。
- 農村の文化をつなぐために頑張りたいと思う人はいっぱいいる。しかし、何をしたらいいか分からない。行政の支援窓口に繋いでくれるヒト、行政と住民の橋渡しをするヒトが必要。