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平成21年02月26日

三重のふるさと

鈴木輝隆氏講演 要旨
「住民主導による地域づくり」

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講演全文はこちら

(地域社会を未知化する)

地域社会をもう一度知らないという形で、未知化していかなければいけない。行政の人も地域の人も分かっていると思ってしまって、分かっていると思った途端、認識は深まらない。要するに、地域に潜んでいる力をフルに見つけ出すということですね。
自分の主観よりも客観的に自我を殺しながら、地域をもう一度見ていく必要があるのではないか。とにかく高を括らない、どんどん現実社会は変わっている。そして自分も変わろうとしているという上で、現場を見ていくということが必要じゃないかと思います。

(住民自治 3つのポイント)

  ポイントは未知化するということ。
もう一つのポイントは、地域のコーディネートということ。住民と行政との間にコーディネート機能が働くということ。住民と行政との間になるものの一つに中間セクターがあります。地域のみんなが集まって相談するという場が、地域から消えていっているというのが、今の合併後の状態です。地域の中のコミュニケーションが消えていってしまう。そして、刺激もなくなってきている。ですから刺激を与えたり、よそからのエネルギーを連れてきたり、地域の中のいろんな人を結びつけたりする中間セクターが、一つはある。
3つめのポイントは、行政の果たす役割。一番大きいのは住民の活動の認知。お金を出す前に、住民の活動を認知する。そして、活動の場所を提供する。さらに情報を提供することが、これからの行政の大きな役割となります。

(誰が主役か)

誰が主役だというともちろん住民ですが、住民とは誰かと言ったときに、定住人口という考え方だけではない。新しい考え方として出てきたのが、二地域居住。1ヶ月以上都市住民が中長期に渡って同一地域に住む。また、情報交流人口というのは、インターネットの普及とかそういうもので、コストを安く自分の町を知って貰い、観光情報、イベント情報、色んな形で流して、ファンになって下さいというものです。交流人口はなかなか力にならないですが、消費税をもっと地方税にしていけば変わります。
要するに地域は誰が、作っているのかと、その主役は誰だということで、この4つの人口で考えていこうと、議論されています。

(プラン通りを実現すると賞味期限がきてしまう)

プランを作ってプラン通りを実現するとすぐに賞味期限がきてしまう。それは、ワンオブゼムでもあるし、失敗はしないがイレギュラー(個性)ではないということですね。プランを作り、訓練をしてそこに到達した時には時代が変わっている、常識が変わっている。プラン通りやるということは、未来の可能性が入ることがない点、ある種の堕落でもあります。アイディアは無数にあり、多選択社会でもあり、一本に焦点を絞るのではなく、同時にあれもこれもやっていかなくてはいけない時代ともいえます。

(農山村風景について)

都市計画に対して自然発生的に形成されたのが農山村風景。居心地のいい場所をつくっていこう、いい品質の農産物を作っていこうとする、住まう人の感性とか景観への感受性、そうしたものが農村風景を作っていく。計画だけじゃないということ。日々の営みから自然発生的に生まれてくる独自の景観というものが、都会人の心を潤したり、癒したり、安らぎと感動を与えます。プランを作ってプラン通りやるということが、いいという時代ではないのです。

(グリーンツーリズムについて)

グリーンツーリズムは、農業をどう残すかということで、農業が主で、兼業観光なのですね。兼業農家は兼業観光になってくるのではないかと思います。地産地消は、感動のドラマが必要なわけです。みんなを感動させる、共感を受けたりするようなものにしていかなくてはいけない。
人口減の時代には観光客から、住民になって貰うというところまで考えないといけない。交流ビジネスを起こし、ボランティアかもしれない。ビジネスかボランティアかやっている人も分からない。ある意味多選択ということですね。住む所も多住となり、仕事も多業になって、こうした社会の変化が新しい経済を生み出します。

(地域の社交力)

ただ生産系でものを作っていればいいというのではなくて、才能系と結びつかなきゃいけない。そうした情報がインターネットになったり、パンフレットにもなったりするわけです。社交力が、才能系としてのIターンUターン者を呼び、才能系の人は定住しなくても、ふるさと住民としてネットワークがされていく。こうしたことができる、地域に優れたコーディネーターがいないと地域を担う人口が減っていく。

(異質性を恐れない)

既知のものを未知化する。未知からの地域づくりは、真似するのではなくて、知的財産としてむしろ守っていくべきじゃないか。ただ異質性を恐れない。色んな異質のものが入ってくるそういうことを恐れない。違った価値観の人とぶつかり合っていく。社交性がない村社会はひとつしか価値観がないです。多様な刺激がない、若い人は出ていってしまう。ネットワーク、情報や意識が変わると経済は変化します。

(人間の絆が社会関係基盤)

ローカルデザイン力と人間の絆ということについて、人間の絆が大切と、今一番言われています。社会関係資本とは人間の絆である。そこを基盤としていろんな経済が生まれてきます。

(小数点以下のまちづくり)

これまでの行政のまちづくりは正数の加算で、次は何の施設が欲しいよと、どんどん増えていってしまう。1と2の間には、無限大の可能性がある。今あるものを生かしていく、今あるものを最大限に生かしていくというのは、そういう小数点以下の発想。要するにコンセプトは一つでも、アイディアは無数に出していくことが必要だということです。住民が発想する余地を残していかないと。いろんな県や行政の施策の1、2の次は3だ、2と3の間にも、いろんなことがあるわけです。

(コミュニケーションデザイン)

情報は、地域の住民を勇気づけたり、力づけたりするパワーがあります。情報に力を与えるコミニュケーションデザインは、地域の魅力をデザインしながら品質をよくする。コミュニケーションデザインの品質が住民自治の熟成と質を良くし、地域に腹筋力をつける。
ローカルデザインとは私の造語ですが、暮らしを豊かにする人々の知恵、自然観、創意工夫や葛藤、ユーモア。文化というのは、地域で生まれ、それが広域・世界の中で認められるもの。だから、地域の文化である個性が地域再生や地域を良くしていく。そして、地域の個性をどう生かし、凝縮していくかということで、賞味期限を長くすることもできるわけです。

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