松阪地域防災総合事務所では、三重県と県内市町の職員を対象にナッジ手法についての勉強会を開催しました。
ナッジ手法とは
ナッジ(nudge:そっと後押しする)とは、行動経済学の理論の1つで、個人の選択の自由を阻害することなく各自がより良い選択を行うよう、情報発信や選択肢の提示の方法を工夫するというものです。
強制や経済的誘導によらずに、ある人の行動を望ましい方向に後押ししていく手法であり、全国の地方自治体において、住民向けの健診や予防接種の受診促進、口座振替の促進、災害時の自主避難の促進など、多様な分野で試行・導入されています。
勉強会の目的
住民に身近な行政サービスを行っている県と市町職員は、ナッジ知識の有効活用が期待できること、また、今後ますます重要となるEBPM(根拠に基づいた政策作り)においてもナッジは有用であることから、ナッジの概論と実践方法について入門的な勉強会を行ったものです。
なお、今回のように、県と市町の職員が合同でナッジの研修を行うのは、県内で初の試みです。
勉強会の内容
・日時 令和4年7月19日(火)
・内容 ナッジ入門「どうすれば望ましい行動を後押しできるのか」
ナッジの基本、ナッジの実践ステップ、チャレンジワーク、事例紹介等
・実施方法 ZOOMを使用したオンライン方式
・講師 NPO法人 Policy Garage(ポリシーガレージ)に所属する地方自治体職員
<NPO法人 Policy Garageについて>
地方自治体や中央省庁の職員、大学教員、企業などの有志が結集したチームで、官民を越えた知見の連携と共有により、公共政策のあり方を見直し、より良い社会としていくことを目指して活動しているNPOです。
https://policygarage.or.jp/
・参加者 県と7市8町の職員約50名
開催結果
「損失回避性」など、一見不合理な特性を持つ現実的な人間像を前提とする行動経済学を応用し、人々の意思決定に関するバイアスを考慮して、望ましい選択ができるようにする「ナッジ」の考え方についてのセミナーに続いて、茨城県つくば市でのナッジ手法を用いた被災者行動要支援者の同意書返送率向上の取り組みなどの事例紹介がありました。
また、ナッジの実践に向けて「行動プロセスマッピング」を用いた実習を行いました。
講師と参加者の意見交換はチャットを使って大変活発に行われ、終了後の参加者アンケートでは有用だったとの回答が多く寄せられました。