みえ国際協力大使 鈴木 慎一朗さん からの活動報告 その2
赴任国:南アフリカ共和国 職種:科学 2017年3月派遣
報告日:2018年9月3日
はじめに
サウボーナ!ンジャーニ?(こんにちは!元気ですか?)青年海外協力隊として南アフリカで活動中の鈴木慎一朗です。早いもので、派遣から間もなく1年半を迎えようとしています。今回の記事では、前回報告(2018年4月)から今日までの活動報告と、アフリカのいろいろなイメージを覆したり深めたりするテーマをまとめようと思います。記事では、滞在中に私自身が撮りためた写真も紹介していきます。
科学館の活動
前回報告の後、科学館は繁忙期に入りました。例年この時期から来館者が増加するのに加え、サイエンスフェスが立て続けにあります。5月には私の所属する科学館が企画したZulu Fest と、8月には省庁主導で南アフリカの多くの科学館で開催されるNational Science weekという2つのイベントがありました。どちらのイベントもテーマに沿って主にサイエンスショーを多く開催します。Zulu Festでは”Science of Music”を今年のテーマとして、ストローを使って簡単な楽器を作ることや、管楽器や弦楽器、打楽器の音の出し方の違いや音がどのように伝わるのかなど、学年に合わせたショーを用意しました。以前からこの科学館では、子供の理解度に差が出る要因の一つは授業が英語で行われているからだ、という考えがあり、英語によるショーだけでなく現地語であるズールー語によるショーも行われています。このイベントも学校の要望や子供の出身地域に応じて英語又はズールー語を使用して行われ、より理解度を深めてもらえるよう取り組みました。
そして、私自身の活動の一つである、展示品の新規製作もようやく一つの形になるところまで来ました。前回のレポートで紹介したBinary Adding Machineを常設できるように、サイズを大きくし素材も改善し作り上げました。
また、倉庫に眠っていたLEGOブロック製のMINDSTORMSというロボットを使った教材の整頓を行いました。そして、その教材を使ったスタッフ向けのワークショップを館長が外部講師を呼んで開催してくれました。まだ実際に子供たちへのワークショップは行っていませんが、これからスタッフがワークショップの内容を組み立てて実施してくれることを期待しています。
[1週間の期間中は多くの子供たちが来館しました。]
[鳴らすには少しコツがいります。]
[子供たちも積極的に取り組んでくれました。]
[ワークショップ向けに組み立てられたMINDSTORMS。]
[W杯でも話題となったブブゼラも使いました。]
[展示品として作成したBinary Adding Machine。前回の報告書の写真と比べてみてください。]
とても過ごしやすい気候
さて、ここからは南アフリカを中心に国の様子を紹介していきます。まずは気候について。「アフリカ=暑い・酷暑」というイメージはありませんか?この記事を書いている今は8月ですが、インターネットで見たところ、日本は大変な猛暑だと聞いています。南半球でアフリカ大陸南端の国である南アフリカは現在冬にあたります。7~8月は気温も15度を下回ることもあり肌寒く、標高がある地域ではさらに寒いと聞いています。また、南アフリカの国土に囲まれているレソト王国周辺はさらに標高が高く、雪も降ってスキーリゾートまであるほどです。海辺であるケープタウン近郊でも数年ぶりの雪が降りニュースになっていました。
アフリカは「暑い・酷暑」というイメージを持たれがちですが、必ずしもアフリカ全体で言えるものではありません。南アフリカでは日本の四季ほど繊細でなくとも季節は分かれていますし、夏は気温が高くても湿度はそれほど高くないので、立っているだけで汗をかくようなことは少ないです。私が住む家にも扇風機だけでクーラーはありません。ただ、夏に日に当たっていると、日本以上に日差しがキツイのかヒドイ日焼けをすることもあります。そこだけ少々注意が必要です。
[日本の桜のように南アフリカではジャカランダという木が春になる10月頃に紫の花を一斉に咲かせます。]
[夏のドラケンスバーグ地方の風景。緑がとてもキレイに広がっていました。]
野生動物の宝庫
さて、「アフリカ=暑い!」というイメージについて少し紹介しましたが、「アフリカ=野生動物が多い!」というイメージもお持ちではないですか?これはそのとおりです!私の生活するリチャーズベイは小さな工業地帯ですが、車で1時間も行くと保護区が点在しています。海辺ではカバやワニ、内陸に行くとサイやキリン、シマウマなどの草食動物のほか、見るのは難しいですが肉食動物も見ることができます。街中で野生動物が歩いている町もあります。歩いているのは草食動物で、リチャーズベイ北部の湿地付近では、カバが道路を横断していることもあるそうで、日本ではサルやシカ注意の道路標識もそこではカバ注意となっています。
南アフリカとモザンビークの国境には巨大なクルーガー国立公園があり、そのほか近隣の国のタンザニアにはセレンゲティ国立公園やンゴロンゴロ自然保護区があり、この二つは世界遺産にも登録されています。
そんな野生動物の多いアフリカ諸国では、「ライオン・ヒョウ・サイ・ゾウ・バッファロー」がBIG5と呼ばれていて、南アフリカ通貨ランドのお札には、BIG5それぞれの動物が描かれています。そのBIG5をすべて写真に収めるのが私の滞在中の目標ですが、最も難しいヒョウだけが残ってしまいました。肉食動物は夜明けに一番活動しているらしいのですが、その時間でも見つけるのは容易ではありません。また行く機会があればトライしてみようと思います。
[BIG5のうち、捉えることのできた4種。南アフリカ・タンザニアで撮影。]
想像以上に発展した街
アフリカと言えば発展途上国、そして開発もまだまだというイメージがあるかもしれません。私も少なからず持っていましたが、こちらで生活していてそのイメージも覆りました。もちろん、日本と同じように安定したインフラ供給ではありませんし、国によって地域によって差はとても大きいです。それでも南アフリカの都市部をはじめ、アフリカ諸国の首都などの発展度合は驚きでした。歴史上、南アフリカはイギリスやオランダ、インド等の国と深い関係にあることから、街並みもどこか古きヨーロッパをイメージさせる建物があったり、インドで見るような多くのスパイスやカレーを使った料理を多く見かけたりすることもあります。歴史のある建物など古くからあるものの他に、近代的なビルや日本ではまだなじみのない新しい欧米式のサービスなどを体験することもありました。
大陸を代表する国として、南アフリカには多くの企業がヨハネスブルグやケープタウンに拠点となる会社を置いています。また、大きな港をもつダーバンやポートエリザベスという都市には製造業が集まっています。トヨタもダーバンに主力工場を構え、乗用車やピックアップトラック、乗合タクシーになる中型のワンボックスカーを製造しています。
そしてこの国には、前述した多様な野生動物のほかにも観光資源を持っており、多くの観光客が訪れます。そのなかで有名な街がケープタウンです。アジアからは距離はありますが、直行便もあるヨーロッパの人々を中心に人気がある街です。魅力的なポイントとして、開拓がこの街から始まったことから南アフリカで一番古い歴史を持っていたり、多くのワイナリーや海産物から食も豊富であったり、海でのアクティビティや野生動物と触れ合える場所があったりと様々です。ちなみに、アフリカ諸国に派遣されている協力隊員からも人気があり、お寿司を食べたりワインを飲んだりと、久しぶりの観光を楽しみに休暇を取って遊びに来ています。
[ケープタウンの夜景。ビルや港が並んでいます。]
[ワイナリーツアーでの一枚。ケープタウン郊外にワイナリーが集まっています。]
[ケープタウンのシンボル、テーブルマウンテン。山肌を撫でるように流れる雲はテーブルクロスという名前もあるそうです。]
[ケープタウンから喜望峰への道中には野生のペンギンを見られるビーチがあります。]
南アフリカ以外にも、とてもキレイなビーチが広がるリゾートのタンザニア・ザンジバルや、ザンビアとジンバブエの国境にある世界三大瀑布のビクトリアの滝など、おススメできる観光地がたくさんあります。是非一度、計画してみてはいかがでしょうか。
[ザンジバルのビーチ]
[ビクトリアの滝と大きな虹 ]
今回の報告は以上です。
アフリカへのイメージが良いものになってくれたらうれしいです!