ジグソーパズル、なわとび活用報告
青年海外協力隊 ２０年度４次隊
ドミニカ共和国派遣 看護師
櫻井 芙紗（さくらい ふさ）
昨秋、皆様からご提供いただいた支援物資ジクソーパズル、なわとびは、約3ヶ月掛けて、太平洋を越え、大西洋を通り、カリブ海に浮かぶドミニカ共和国へと到着しました。そして、この度、無事に任国の子ども達にお届けすることができました。この場をお借りして、物資をご提供いただいた皆様、国際協力に少しでも関心を持ってくださった皆様、三重県国際室をはじめ、様々なご尽力をいただいた関係者の皆様に心より感謝したします。ありがとうございました。
１）ジグソーパズル
任国は、カリブ海諸国の中でも、算数力が低い国と言われており、政府も算数力向上のために対策を講じています。しかし、元々、教師達も、日付や名前を書かせて1時間が終わってしまう、問題だけを黒板に書き、教室からいなくなってしまう、問題が解けない生徒を生徒自身に能力がないからと叱責する、そのような教師から基礎教育を受けているため、教員として教育方法についての理解が乏しく、授業運営は個々の教師の努力に頼る部分が非常に大きいのが現実です。
都市の学校では、周囲の状況とは不釣合いな程、立派な家電製品が設置されていることもありますが、それを動かす電気が安定しない、教師は教材として有効に活用することができないなどの様々な問題があり、単純に物資を提供すれば、教育が改善するものではありません。
JICAでは、そのような教育現場の状況、任国政府の要請を受け、専門家、ボランティアを派遣し、「算数指導力向上プロジェクト」を行っています。今回、支援物資をお届けした学校も対象校のひとつで、ボランティアが直接、教師達に向けて、算数の授業運営の方法や授業計画の立案、教材作成の学習会などの技術協力を行いながら、指導力向上を図っています。
皆様からご提供いただいたジグソーパズルは、難易度に合わせて、低学年用、中学年用、高学年用と分けて管理され、遊びを通して、集中力の向上、指先を使うことでの神経系の発達促進、完成した時の達成感から学習意欲の向上に役立てられます。
２）なわとび
なわとびを贈呈した学校は、ドミニカ共和国の中でも現金収入が少ない世帯が多い、サマナ県にあります。その県の中心部からバスに揺られること約30分、さらに急な坂道を息をきらせながら登ること約10分、そうしてやっと辿り着くことができました。そこでは、２つだけしかない教室は10人も入ればいっぱいになる程小さく、電気もないので、窓からの明かりで授業が行われていました。
この地域で第一次医療を担う小さな診療所を拠点にした「地域保健サービス強化」のプロジェクトで活動するボランティアは、その活動の一環として、この学校の子ども達を対象に感染症や性教育、予防接種などの健康教育を行ってきました。
任国の公立学校では、体育や図画工作の授業はなく、なわとびのような身体能力の向上に役立つと思われる遊具もありません。この学校の子どもたちもなわとびの存在は知っているものの、どのようにすればうまく飛べるかが分からない様子を見かけます。農作業用の紐などを使って遊んでいても、不器用な飛び方をしたり、続けて飛ぶことができなかったりする姿もありました。そんな環境の中ではありますが、少しでも成長発達の促進、身体能力の向上を図ることができれば、との思いから、子どもでも扱いやすく、日本の小学校ではおなじみの「なわとび」を支援物資として依頼することとなりました。
橋北中学校の皆様からご提供いただいたなわとびは、校長先生の管理の元、休み時間や放課後に利用され、子どもたちの身体能力の向上、健康増進のために役立てられます。また、公共の物をひとりひとりが管理し、大切にするという意識を学んでもらうことも期待しています。
※櫻井さんより、ジグソーパズル、なわとびについて、それぞれの支援先からのメッセージや写真、子どもたちの手形などをまとめたスケッチブックを三重県生活・文化部国際室まで送ってくださいました。それらをスキャンしたＰＤＦファイルは下記からダウンロードできますので、ぜひご覧になってください。
なお、今回の物資要請は、櫻井さんがドミニカ共和国において他のＪＩＣＡボランティアと共同で行った活動の一環であり、それぞれの隊員の配属先やその周辺の学校への支援をされたとのことです。
