関西広域連合
経 緯
平成15年2月に関西経済同友会と関西経済連合会が「関西州」の設立を提言して以来、経済団体を中心に道州制、分権改革に関する議論が進められてきました。7月には、府県・政令市に参画を呼びかけ「分権改革における関西のあり方に関する研究会」が設置され、府県・政令市、学識者、経済団体が一堂に会して地方分権改革を論ずる画期的な議論がスタートしました。
同研究会の報告を受け、平成17年4月には、府県を越える広域自治組織の実現可能性を検討する、関西分権改革推進委員会が設置され、組織を変遷しつつ、関西広域連合の設置に向けた検討が着実に進められました。
加えて、近畿開発促進協議会に端を発する、関西における官民一体となった広域連携の取組が進められており、関西広域連合設立に向けた動きを本格化するため、広域連携の流れと分権改革の流れを一本化する組織編制を進め、既存の組織を統合し、平成19年7月、新たに関西広域機構が設立されました。同機構内に設置された分権改革推進本部において、地方自治法に基づく広域連合の設立について検討が行われ、平成22年11月に設置許可申請を行い、12月1日に、関西の2府5県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県)で構成される関西広域連合が発足しました。
現在は、平成24年に大阪市、堺市など4政令市、平成27年に奈良県が構成団体となり、2府6県4政令市が参加しています。
また、福井県及び三重県は、関西広域連合と密接な連携を図ることが必要と認める「連携団体」として指定されています。
【構成団体】
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市
【連携団体】
福井県、三重県
三重県の考え方
本県は、関西・中部の結節点に位置し、両圏域とも生活、経済などさまざまな分野において深いつながりがあります。そのため、関西広域連携協議会(KC)、関西国際広報センター(KIPPO)等の任意組織に本県も参加し、官民一体となった広域連携の取組を進めるとともに、関西広域機構の分権改革推進本部に参加し、広域連合設立に係る検討を行ってきました。
関西広域連合の参加については、設立案をもとに、広域連合の必要性、メリットなどを検討したところ、
① 設立のねらいとして、「関西全体の広域行政を担う責任主体を確立する」とあるが、各府県知事の間でも広域連合の将来像については意思統一されておらず、広域行政の責任主体のあり方について明確でないこと(例えば、道州制との関係、四層制の是非、政令市との関係など)
② 設立当初に処理する事務は法的権限を伴うものが一部(通訳案内士や資格試験・免許にかかる事務)にとどまることから、特別地方公共団体である広域連合を設立するまでもなく、従来の広域連携により対応できるものが多く含まれていること(例えば、観光プロモーション、災害時の応援体制など)
③ 広域連合設立後の事務の展開方向が不明確であるとともに、その事務について広域連合と府県との役割分担や責任の所在が不明確であり、現段階では本県にとってのメリットを判断することが困難であること(例えば、広域計画に基づく事業実施にかかる広域連合と府県の役割分担と責任の所在)
④ 府県を越える課題について広域的に取り組む意義がある事務もあるが、広域連合設立後も、観光や防災などに関する既存の広域連携組織や個々の府県間の広域連携は存続することが見込まれること(例えば、防災における近隣府県との相互応援協定や一般社団法人関西観光本部における観光事業など)
⑤ 従来の広域連携よりも多額の経費が必要になると見込まれること
と判断し、本県が広域連合に参加する必要性やメリットが乏しいことから、設立当初から広域連合の構成団体となることについては見送りました。
ただし、これまで実施してきた関西との広域連携の取組を今後とも円滑に継続していく必要があると考えていることから、連携団体として一定の関わりを持ちたいと考えており、将来的には、必要に応じて、特定の事業に係る部分参加等、必要性やメリットを検証し、しっかり検討してまいります。