四.改革への具体的な方策
1.事務事業の見直し関係
(1) 事務事業の見直し
簡素で効率的な行政を行うためには、先ず、県に本来求められていない役割まで県が引き受けていないかについてチェックし、次の考え方に従い、不要な事務事業を削減します。
公的関与の考え方
a: 民間部門と公共部門との役割分担
次の判断基準1~5にあてはまる場合、公的関与を行うことが適当です。
(判断基準1)
受益者を特定あるいは限定することが困難・不可能なため、市場において受益者から費用を回収することができない公共財であるか。
(判断基準2)
教育のような外部経済効果を持つものや公害のように外部不経済効果を持つものであるか。
(判断基準3)
設備面でのスケ-ルメリットが顕著であり、独占的供給によることが効率的なものについて、適正な価格形成を図る観点から公共関与が必要か。
(判断基準4)
新エネルギ-開発のように社会的必要性があるにもかからず、投資に必要な資金やリスクがあまりに大きく民間では負担しきれないものであるか。
(判断基準5)
ナショナル・ミニマム(あるいはシビル・ミニマム)確保の要請から十分な供給がなされなければならないものであるか。
b: 国・県・市町村の役割分担
地方分権推進委員会の勧告における国・地方の役割分担の原則によれば、国は次の役割を担います。
- 国家としての存立にかかわる事務
- 全国的に統一して定めることが望ましい事務
- 全国的規模・視点で行われなければならない事務
一方、地方公共団体は地域における行政を担います。
(判断基準6)
この場合において、地方公共団体である県の役割は、単一の市町村では対応できない問題やその効果が複数の市町村に及ぶ事業等に限定すべきです。
このような考え方に基づき、県の全ての事務事業約 3,200のうち、202の事務事業を廃止します。 (資料1参照)
平成9年度末で廃止する事務事業 | 125 事務事業 | 2,264 百万円 |
---|---|---|
廃止まで一定の調整期間を設ける事務事業 | 77 事務事業 | 1,229 百万円 |
廃止事務事業の合計 | 202 事務事業 | 3,493 百万円 |
(平成9年度当初予算額)
(2) 民間の自立自助
- 規制緩和の推進
経済的規制については、原則自由、規制は例外的な場合のみとし、かつ、社会的規制については、本来の政策目的に沿った必要最小限のものとします。 (資料2参照)- 経済的規制(現行 7件)を、年次計画に基づいて全廃します。
- 社会的規制(現行 768件)のうち25件について、年次計画に基づいて緩和・撤廃します。
- 住民の自立
- ボランティアや市民活動団体の交流の促進、情報提供などの機能を備えた市民活動支援センタ-を平成10年度に開設します。
- 市民活動団体とのパ-トナ-シップをつくりあげるための協働のあり方や財政支援について検討します。
(3) 民営化・外部委託化
- 民営化の推進
県印刷事業を平成9年度末に廃止します。 - 外部委託化の推進
実施部門における公共サ-ビスの外部委託化を進めることにより、効率化や公共サービスの質の向上を図ります。
具体的には、外部委託化のガイドラインを策定し、公用車運転業務や守衛業務などの現業業務、各種統計・調査業務などの定型的業務、 中央卸売市場などの施設管理業務及び農業技術センタ-の検査や試験・分析等の試験研究・検査業務などの各業務毎に、 ガイドラインにより年次計画に基づいて外部委託化を進めていきます。(資料3-1、3-2参照)
(4) 市町村への権限移譲
- 10件の事務を年次計画に基づいて市町村へ移譲します。 (資料4参照)
また、一定の事務分野における包括的な権限を市町村へ移譲することを検討します。 - 市町村への権限移譲を円滑に進めるため、必要な財源措置、市町村担当職員に対する研修会の開催、事務処理マニュアルの作成等を行います。
(5) 事務処理方法の見直し
- 行政手続条例により、行政運営における一層の公平の確保と透明性の向上を図ります。
- 各部にまたがる類似の業務について、整合性をとりつつ行うため、業務取り決め書による事業遂行制度(実施例:三重県生活排水処理施設整備計画)をさらに充実します。
- 押印の廃止、添付書類・記載事項の簡素化、提出部数の削減など申請手続きの改善についてその一層の改善を図ります。
- 定期的な人事異動や研修などの辞令を平成10年度から廃止します。
- 庁内だけで通用する「役所ことば」を見直し、平成10年度に条例や規則についても県民にわかりやすい表現にします。 (資料5参照)
(6) 事務事業評価システムの定着
引き続き、事務事業目的評価表により、全ての事務事業を見直していきます。(資料6参照)
(7) マトリックス予算(部別・課題別予算)の編成
従来の縦割り行政の弊害を打破し、総合的に政策を進めていくため、縦割りの部別予算に、「情報化」「いじめ対策」などの横断的な視点を取り入れた予算編成に今後とも取り組んでいきます。 (資料7参照)