三重県教育委員会では、人権学習教材「わたし かがやく」、人権学習指導資料「気づく つながる つくりだす」、いじめの問題を解決するための指導資料「ともに つくる あした」の活用促進のための講座を実施しています。
これらの講座においては、「性的マイノリティ」「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」等、指導資料等には掲載していないテーマについても、取り上げています。
ここでは、2015(平成27)年度に実施した講座の概要をお知らせします。
1 人権学習教材「わたし かがやく」活用のための講座
○8月5日 午前
「性的マイノリティの人権」
「LGBTとは?」等、性的マイノリティに係わる基礎的な事柄について、電通ダイバーシティ・ラボ等の調査結果を紹介しながら解説しました。また小グループでの話し合いを通じて、各学校の取組状況や課題について情報・意見交換をしていただきました。
【参加者アンケートより】
- 知らないことがとても多く、また、それらすべてが知っておくべきことだと思いました。数年前、性同一性障がいだと思われる生徒に関わりましたが、不充分な対応しかできませんでした。これから勉強するきっかけや発想を教えてもらいました。
- グループ討議の中でいろいろな先生の意見、出会ってきた子どもたちのことが聞けてよかったです。子どもに対する取組も必要ですが、教職員も含めたPTAを巻き込んで、おとなの知識・意識を高めることが大切だと感じました。
○8月5日 午後
部落史を学ぶ意味を確認した後、「学んだことを他者に伝えるスキルを身につける」ことをねらいとした模擬授業と、「私たちの身近にある部落差別を振り返る」ためのグループワークを体験していただきました。
【参加者アンケートより】
- 具体的にどう授業を展開するのかを示してもらったので、2学期の取組を考えるのにとても役立ちそうです。後半に部落問題に対する自分の立ち位置をグループで話し、確かめ合ったことも有意義だと感じました。また参加したいです。グループが異校種で構成されていたのもよかったです。
- 部落問題を具体的にどのように学習していくかということを、スキルの面とそのベースとなる考え方の面でしっかり掘り下げてもらえて、とてもよかったと思いました。
2 人権学習指導資料「気づく つながる つくりだす」活用のための講座
○7月30日 午前
「障がい者の権利保障」2016(平成28)年4月に施行される障害者差別解消法について、その基盤である障害者の権利に関する条約(日本は2014年に批准)の内容も含めて解説しました。その後、学習展開例「障がいってどんなこと?」を活用した模擬授業を体験していただきました。
【参加者アンケートより】
- ワークシートの使い方など、実際に人権LHRで使える手法などを紹介していただき、参考になりました。グループ討議でいろいろな人の意見を聞くことができたこともよかったです。
- 冊子のワークシートだけでなく、実際の事例をもとに話し合いや気づきができたことがとても役立ちました。今まで気づかなかった考え方や立場、発想など、学ぶことが多く、とても参考となりました。
○7月30日 午後①
「デートDV」
デートDVに係わる基礎的な事柄に加え、「すべての生徒に必要なこと」「加害者にしないために必要なこと」について、グループでの話し合いを交えて研修していただきました。
【参加者アンケートより】
- DVについてどのような観点を持って授業などを行っていくべきかを整理できたように感じました。「自分はDVなどしないだろう」と感じている子ども・おとなが、「こういう気持ちが自分の中にもあるかもしれない」と気づくための働きかけができればと感じました。
- デートDVについての基礎的知識が学べました。加害者にしないためのアプローチについての話し合いが今後の本校での取組の参考になりました。
○7月30日 午後②
「性的マイノリティの人権」宝塚大学看護学部教授の日高 庸晴(ひだか やすはる)さんによる講演会を実施しました。講演概要
【参加者アンケートより】
- 文部科学省からの文書により、性的マイノリティに係わる学習の必要性は感じていましたが、不登校や自殺にまでつながっているとは思っていませんでした。また、教職員の何気ない言葉から生じる問題にも気をつけなくてはいけないと思いました。全教職員に伝えるべきことが多くありました。本日の内容は必ず全教職員に知らせたいと思います。
- 性的マイノリティであるがゆえに差別される現実があることや、テレビなどを通して誤った知識が入ってしまうことが分かりました。差別をしない自分になり、差別をしない社会をつくるために、正しく学んで正しく伝えていきたいです。
- 「どの子どもが当事者か見極めるというより、困ったときに言えるような人間関係を築くことが大切」という言葉が心に残りました。いじめのない学校づくりといっしょだと思います。クラスづくりの基本ですね。
3 いじめの問題を解決するための指導資料「ともに つくる あした」活用のための講座
○7月31日 午後(三重県人権センター)
○8月21日 午後(三重県熊野庁舎)
「教職員研修プランの活用」教職員研修プラン「子ども理解のスキルアップを図る」を活用し、「どんな子どもが気になるのか」「気になる子どもの理解をどうやって深めるのか」「学校ぐるみの取組にするために大切なのはどんなことか」等について、グループでの話し合いや、子どもについてのレポート作成をとおして研修していただきました。
【参加者アンケートより】
- 具体的な事例をもとにお話をしていただけたので「子ども理解」の深め方がよく分かりました。「具体的に」書く、考える、行動する、取り組むことの大切さを改めて感じさせていただきました。明日からの実践につなげていきたいと思います。
- 子どもの問題行動の裏には何があるのかを探り、子ども理解を深めていくことが大切だと思いました。レポートを書いているときに書けないところがあり、そこが子どもの関わりにおいて不足している観点だと気づくことができました。9月からその部分を中心に取り組んでいこうと思います。
○12月24日 午後
「学習展開例の活用」「聴き上手になろう」「相談する? しない?」「あなたにできること」の3つの学習展開例を活用して、模擬授業等を体験していただきました。その中で、付箋紙や「マンダラ」と呼ばれる発想法を使った学習展開も例示しました。
【参加者アンケートより】
- 授業形式での研修だったので、生徒の立場に立って考えることができました。相談できる関係づくりがとても大切だと感じました。
- 同じ学校の先生の意見や考えだけでなく、いろいろな学校、校種の先生の考えや思いを聞けてとても有意義な時間でした。3学期、学級で取り組んでみたいこともありました。職員の研修でもぜひ参考にさせていただきます。日頃の学級での悩みも聞いてもらえてよかったです。気持ちが楽になりましたし、励みにもなりました。
参加者からいただいたご意見を参考にしながら、日々の教育活動に役立つ講座を今後とも開催していきたいと考えています。多くの先生方にご参加いただければと思います。