整形外科・小児整形外科(リハビリテーション科)診療内容
医師:リハビリテーション科(整形外科)医師3名(常勤1名、非常勤2名)整形外科医師7名(常勤2名、非常勤5名)
理学療法士:9名、作業療法士:4名、言語聴覚士:3名
公認心理師(整形外科・リハ科担当):1名
運営理念
当センターは、整形外科・小児整形外科、児童精神科を中心とした医療法に基づく病院であるとともに、児童福祉法に基づく福祉施設(医療型障害児入所施設)です。18歳未満を主な対象に、三重県における身体障害や発達に課題のある子どもの専門医療・福祉機関として、小児の医療体制・療育体制の充実を図るとともに、子どもの「からだとこころ」の発達支援の拠点となっています。整形外科・リハビリテーション科では、身体の不自由なお子さんに対して、それぞれの能力に応じて、身体機能の発達を促し、生活する力を身につけることができるよう、最適な医療と最善の療育環境を提供します。
対象疾患
脳性麻痺、二分脊椎、脊髄疾患、筋疾患、先天性奇形など乳幼期からリハビリテーションなどの治療が必要な疾患入所(入院)
長期に入院治療の必要な18歳未満のお子さんに、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの医療だけでなく、日常生活の指導を行います。お子さんの状態により、短期間のリハビリテーション入院(特定目的入院)や親子入院で集中的にリハビリテーションを行っています。小学校・中学校・高校就学中のお子さんは併設の県立かがやき特別支援学校草の実分校に通学し学習することが出来ます。さらに、隣接の総合病院である「国立病院機構三重病院」と緊密に連携し必要な医療を提供します。外来
整形外科的治療としては、四肢体幹の痙縮による上肢の巧緻性障害、変形拘縮および下肢の変形、歩容異常などに対し、装具療法、ボツリヌス療法、手術(三重病院整形外科)などを行うとともに、四肢体幹装具、座位保持装置、車椅子、杖、歩行器などの補装具の処方、適合の確認を行います。摂食機能障害のあるお子さんには嚥下造影検査を行い、嚥下・咀嚼機能を評価し、言語聴覚士と検討し訓練を行います。福祉支援として各種診断書、意見書を作成します。ボツリヌス療法
2001年から痙性斜頸に対して認められ、2009年には2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して保険診療が可能になり、当センターでも積極的に治療を行っています。リハビリ入院と組み合わせて初日に注射する場合と外来リハビリ前に注射する場合を患者家族に選択していただき予定を組みます。下肢痙縮や上肢痙縮による運動制限、股関節亜脱臼・脱臼などが対象ですが、下肢痙縮に対する治療が最も多く、痙縮が緩むことで運動学習力が伸び、積極的な歩行練習が可能になり大変有用です。注射前 尖足 注射後 踵接地可能
整形外科診察
整形外科の診察では、定期的に麻痺性側弯症、麻痺性股関節脱臼の発症はないか確認します。側弯症 右股関節脱臼
また、立位・歩行状態を観察し、痙縮の程度、主に股関節、膝関節、足関節の可動域に制限がないか確認します。 足部の内反尖足変形、外反扁平足変形が起きやすいため、下肢装具や足底装具を処方し矯正します。
長下肢装具 短下肢装具
足底装具
立つことができないお子さんにはプローンボードを、座る姿勢が崩れやすいお子さんには座位保持装置を作製します。
プローンボード 座位保持装置
装具療法、リハビリテーション、ボツリヌス療法では矯正が不十分なお子さんには手術を行います。手術は隣接の総合病院である「国立病院機構三重病院」で行います。全身状態が落ち着き、リハビリテーションを希望するお子さんは当センターで入院を継続します。
嚥下造影検査
摂食嚥下機能評価のため嚥下造影検査を行います。言語聴覚士による事前の嚥下機能(喘鳴の有無、流延の量、頸の角度、増粘剤の程度など)を把握し検査を予定します。経口摂取を開始しているお子さんには硫酸バリウムを使用しますが、貯留性の喘鳴が強い場合には誤嚥のリスクが高いため、ヨード造影剤非イオン性等浸透圧造影剤を使用します。リハビリテーション
・理学療法(PT):基本的な姿勢や動作の獲得、身体機能の改善を通し、日常生活の向上を目指し、必要な運動機能への働きかけや評価、助言を行います。・作業療法(OT):日常生活動作の獲得を目指し、遊びを中心としたさまざまな作業活動を通じた訓練や適切な評価、助言を行います。
・言語聴覚療法(ST):言葉やコミュニケーションの向上や摂食機能の改善を目指し、必要な訓練、指導を行います。
・公認心理師:新版K式発達検査2001、WISC-Ⅳ知能検査などを用いて発達検査、知能検査を実施し、適宜助言指導を行うとともに適切なリハビリテーションに 繋がるように支援します。
理学療法(PT)
摂食機能療法(ST)
作業療法(OT)
児童発達支援・障害福祉サービス(生活介護)「さわやか」
重症心身障害児(者)の方の日常生活維持と改善、健康管理などの医療的ケア、食事・排泄・入浴などの生活支援を目的としています。また、未就学児の児童発達支援では、母子分離や小学校就学への移行支援を行います。地域支援事業
三重県全域の児童発達支援センター、特別支援学校、遠隔地への巡回相談などにPT、OT、STなどの療法士が赴き、療育相談を行っています。現地において、保育士、教師などの関係者に対し相談・支援を行うことで、地域における療育活動の向上に貢献しています。 ※「療育」という言葉は、障害児への早期から働きかけ、とくに医療と教育が重なる領域でよく使われており、肢体不自由児に対して行う医療、教育、リハビリテーション、心理的アプローチを含んだ総合的な働きかけを意味しています。医療連携
センターを利用されるお子さんとその家族を対象に、個人のプライバシーに配慮しながら相談支援を行っています。また、地域医療機関や児童相談所等の行政機関、各種福祉施設、併設の「県立かがやき特別支援学校」や前籍校等の教育機関などと連携し、調整や支援を行っています。教育・研修機関
PT、OT、STなどを育成する大学、専門学校の学生に対する実習、地域の児童発達支援センターの保育士、PT、OT、STなどの療法士、特別支援学校・支援学級の教師などに対して研修を行っています。また、教育研修講演などを通じて専門職の知識・技能の向上に貢献しています。外来看護
主治医・セラピストと連携を取りながら、地域の訪問看護師に連絡し、子どもが成長発達にふさわしい環境を自宅でも継続できるように支援します。外来看護師が自宅や園へ訪問し家庭や地域での調整を行っています。外来受診時に家族の要望を聴取し、病棟・セラピストに連絡し特定目的入院や親子入院・契約入院等、入院前の関係を築きケアプランを立案します。入院中の生活について病棟から情報を集め退院後の診察時に退院後の家庭での様子について聴取します。家庭での様子や今後の入院の要望について他のスタッフに伝達します。地域包括ケアに向けて個々のライフステージに沿った看護を継続します。園への訪問場面 自宅での摂食場面