「膝づめミーティング」(津地方県民局管内)の概要
1.開催日時
平成17年7月15日(金)
14:30~17:00
2.開催場所
三重県津庁舎 61会議室
3.出席者
津地方県民局管内10市町村長等
津地方県民局での「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
市町村合併、新しい時代の公の推進、文化力指針(仮称)の策定、分権型社会の実現等について
5.部局長説明
総合企画局長:「新しい時代における地域づくりのあり方」に関する調査検討について
総務局長:県民局制度のあり方について
環境森林部長:ごみゼロ社会の実現に向けて
6.意見交換概要:今後の地域づくりについて
(1)新しい時代における地域づくりのあり方、県民局制度のあり方、権限移譲の推進
津市長
(県民局のあり方)
県の施策については、本庁が先行し、県民局がついていけていないように感じる。また、本庁と出先機関の組織の能力差も感じている。難しい問題は本庁がカバーしていることから、県民局での総合調整機能や地域政策機能への期待は薄い。かつての縦割りの時代と比べると出先機関の機能が低下しているように感じられる。
具体的には、保健事業や港湾整備などは、地域のことに親身になって取り組んでもらっている。 しかし、河川事業(相川)では、地権者対応が難しいとそれが理由で予算がつかなかったり、道路事業(河芸島崎町線)では、県民局の総合調整機能が発揮されていれば県民局のあり方としてもすばらしかったと感じるが、結局は本庁対応である。縦割りの組織ならもっと責任感があったのではないかと感じる。
県に期待するのは、本庁直轄の縦割りの効率的、専門的な組織であり、あえて横断的なものは意味がない考える。また、県と市町村の業務分担は画一的なものではないと考えるので、地域の特性を活かしたものにしてほしい。
安濃町長
(新しい時代の公、みえの文化力)
哲学的思考の強い地域づくりだと思う。 新しい時代の公とみえの文化力は表裏一体であると考えるので、2つを同時平行的に進めてほしい。
(県民局のあり方)
学校現場は大変難しい状況であるが、教育事務所一元化の問題について、どう考えているのか教えてほしい。
久居市長
(新しい時代の公)
新しい時代の公の考え方について、県民はまだ十分に理解していないのではないかと思う。「新しい時代の公」を進めるため、市町村と県の役割をきちんとすることも大切だが、地域住民の意識改革が必要であると考える。
(県民局のあり方)
今まで津県民局の管内は12市町村であったため県民局は必要であったが、合併すれば1市となる。従って組織も画一的に考えるのではなく、大きな市は本庁直轄ということを考えていいのではないか。
香良洲町長
(新しい時代の公)
「新しい時代の公」という理想像はすばらしいと思うが具体的に行うのは大変難しいことである。地域でできることは地域で行うように行政が導く必要がある。今までは予算をつけて自治会などで動いてもらったが、合併して、予算なしでやってもらえるか不安・心配である。時代にはそぐわないが行財政面での援助があった方がうまくいくのではないかと考える。
(県民局のあり方)
A案、B案どちらであってもいいと思う。県議会の考えもあるが頑張ってほしい。
芸濃町長
(県民局のあり方)
県民局は不必要であると考えている。ただし、県民サービスに直結する保健所などの事務・鰍ヘ必要である。防災面においても、本庁機能がしっかりしていればいいのではないかと考える。
津市長
(業務のあり方)
河川整備計画について、現在県において策定作業が進んでいると聞いているが、なかなか市町村に話がおりてこない。計画段階であっても早く現場に話をおろしてほしい。
予算の一律カットについて、重要文化財の保護の予算の調整において、継続の補助事業の県負担予算分が削減された例がある。県と市町村はパートナーであるので、1つ1つの事業について、補助制度の変更や交付税への算入などきちんと説明をしたうえで早く展開を図ってほしい。
香良洲町長
(新しい時代の公)
ユニバーサルデザインに熱心なNPO団体について、県からの補助金のおかげで活動している。今後もこうしたきっかけ作りについての支援をお願いしたい。
<知事>
(県民局のあり方)
現在提示している2案については、議論のたたき台として提示したものであり、いろいろと意見をいただいている。今後、1つの形に集約し、9月議会に県の考え方を提示していくが、誰のための県民局なのかの視点が重要であると考えている。
基本的な考え方としては、限られた人的・財政的資源で効率的な組織にし、専門的なものは本庁で対応する。需要は少ないが専門性が高いものは本庁に集約し個々に対応していきたい。
一方、防災については、昨年度から防災危機管理局を設置し、防災と危機管理の一元化を図った。本庁機能も高めるが、現場機能も大事であり、旧来より県民局の大事な役割であると認識している。
また、建設部や保健所など、より地域に近いところでサービスすべきものもあり、一方では専門化や効率化も求められている。柔軟に考えるために意見をいただきたい。
教育行政については、義務教育費の国庫負担の中での議論もあるが、小中学校は一義的には市町村が担当し、人事、給与を県が担当している。今の状況を前提に考えると、給与問題はIT化され、合併による効率化を考えれば、必ずしも教育事務所が必要なわけではないと考える。その中で教育事務所を置くか、本庁で対応するのかは、地域での状況も考え十分検討していくが、教育委員会での検討を見守っていきたい。
(新しい時代の公)
「新しい時代の公」に対する県民の理解度については、ご意見のとおりまだ十分浸透していないと思う。これまでの中央集権的な成り立ちで進んできた社会のあり方から大きく変換するのは難しいことだと考える。
しかし、一方では地域のあり方にこだわりを持ち、行政任せではダメだと感じて自分達で動き出す人々が非常に増えてきている。補完性の原理が動き出してきている。
まずはモデル事業も含めてやってみて、県民にわかってもらうことも大事であると考える。「本音でトーク」の場においても、大切なのは個の確立であり、個人がしっかりしなければ地域主権は成立しないと申し上げている。今後、モデル事業の検証を行いながら課題を改善していきたいと考えている。
福祉についても行政はどうしても画一的になってしまいがちであるが、NPOやボランティアであれば個々のニーズに応えられる。進めるにあたっては事故が起こったときの責任の所在などが課題であるが、県ではNPOと協働で指針を策定し、必要な約束ごと、役割、支援、責任について協定書を結ぶこととしている。
新しい時代の公は、行政のスリム化のために行うものではなく、住民、地域みんなでやりましょうということである。
(みえの文化力)
新しい時代の公と文化力との同時展開については、文化力は検討をはじめたところであり、ツールができていない状況である。今年度中には文化力指針としてとりまとめていくので、今後展開していきたい。文化力は新しい時代の公を後押しするものになると考えている。
(業務のあり方)
河川整備計画については、私も聞いていないので、現在作成の途中であると思う。
予算の一律カットについては、厳しい財政状況の中で各部局に包括配分を任せている。ただ、メリハリをつけてすべきであるので、単なる一律カットになっているのであれば問題である。教育委員会へ津市が市民の皆さんに説明できるように説明責任を果たすよう申し伝える。
津市長
(新しい時代の公)
最近はNPOが注目を浴びてきているが、自治会などの地域団体の重要性は高い。地域清掃、ごみ分別、地域防災などについては、自治会、老人会、婦人会などの団体が対応している。NPOだけでなく、これらの地域団体への支援もお願いしたい。
河芸町長
(道路事業)
河芸町島崎町線については、町の経済効率、町政活動に大きな影響を及ぼすことから、重点的に整備を進めてほしい。
<知事>
(新しい時代の公)
自治会については、自治会の組織率が悪いところや体質的に古いところもあり、自治会改革の必 要性も考えられるが、新しい時代の公ではこうした地域組織が重要な役割を果たすものと考えてい る。今後の自治会のあり方は大変重要な問題であると認識している。
(道路事業)
河芸町島崎町線については、事業主体や都市計画への位置付けなどを今後を検討していきたい。
一志町長
(新しい時代の公)
「新しい時代の公」については、知事の考え方に同感である。
(県民局のあり方)
県民局ついては、小さな町では大きな存在として指導をいただいてきた。特に現場のことについ ては、本庁で調整機能は果たせないのではないかと思う。
(みえの文化力)
文化は非常に大切であることから、ひとつ提言をさせてほしい。県はセンター博物館の整備について軽視しているのではないか。センター博物館は県の顔であり、県の歴史であるので、取組みを進めてほしい。
(地方分権)
三位一体の改革において、国は地方に財源を負担させようとしている。保育所負担金が交付税へ 算入されたが、どこにどれだけ算入されたのかわからない状況である。国の果たす役割をはっきりと打ち出すべきであると思う。
美杉村長
(新しい時代の公)
県と市町村が最大のパートナーとなりうるには信頼関係が必要である。そのためには事業実施な どについては、県と市町村との協議を大切にしてほしい。
(県民局のあり方)
県民局の各部については、直接市町村住民と接する事業を行っており、必要性は高いと考える。 アンケートの結果も大切であるが、県民局は必要である。
美里村長
(新しい時代の公)
本来個人や地域が行うべきことを行政が担ってきた。このため地域の連帯感の気薄にもつながっていると思う。新しい時代の公の推進により昔の姿に戻ることを期待している。
(県民局のあり方)
県民局については、営農や保健などの業務において地域住民と密着していることから、今後も必要であると考える。住民の期待に応えてほしい。
<知事>
(みえの文化力)
センター博物館の整備については、はこもの抑制や厳しい財政事情により道路事業などと同様に 先送りされている。重要な課題だが財政状況もあり難しい問題である。
(県民局のあり方)
地域機関の機能充実や現場重視は大切なことである。また、こちらから出向いていく「動くワンストップサービス」というような考え方もある。
(新しい時代の公)
県と市町村のパートナー関係にとって信頼は一番重要なことである。県も市町村も財政面では大変厳しい時であるが、県として事業に関しての説明責任は重要であり、事前に説明を行うよう職員に周知徹底する。
(地方分権)
三位一体の改革について、国は財政改革中であり、国の財政再建を優先させている状況である。地方の自立を高める三位一体にはなっていないと感じるが、風穴は開いたと考えている。これから第2期の改革に向けての対応や取組みが大切であり、全国知事会としても積極的に取組んでいく。
(2)ごみゼロ社会の実現に向けて
白山町長
ごみゼロの方向性ついては賛同している。住民のゴミに対する意識もあがっていると感じる。
四日市の産廃問題に関連して、現在白山町では、新津市の一般ゴミ埋め立ての最終処分地としての話が進んでいるが、住民にとっては一般ごみも産業廃棄物も同じであり、今回の件で不信感があり、影響が出ている。県としては、四日市の問題について、業者等に対する処分など厳しい姿勢でのぞんでほしい。
津市長
新市のごみの最終処分場について、白山町、久居市にお願いして苦労いただいている状況である。
ごみゼロ社会の実現について、内容はよく理解できる。しかし、現在のごみ処理方法については、焼却処理、分別、リサイクル、埋め立てなど大変なコストが必要である。合併後の新市においても、ごみ処理は最重点課題として認識しており、合併特例債を使って最終処分場の整備を考えている。どんな処理方法を行っても、最終処分場は必要であると考えている。
そのような中で、住民がごみゼロプランを見て、住民からは最終処分場は必要なのかと言われ、最終処分場計画に支障がでるのではないかと心配している。
<知事>
四日市の件で不信感や悪影響がでていることについては、ご指摘として厳しく受け止める。
一方で県として何かできたのかと考えると、当時は公権力の行使はできなかったのでないかと考える。今回の件の責任について、第1の責任は業者、第2にごみ排出者、次に地主、行政となるが、大変難しい問題であると考える。全国知事会としても国にも働きかけをしている。産廃の問題については、県内でもいろいろな地域で発生しており、県としては正面からとらまえて取組んでいきたいと考えている。
最終処分場ゼロの話については、RDFがそうである。燃えカスをセメントに混ぜて利用しており、RDFの世界ではごみゼロが達成されている。
ごみゼロの定義としては、出てくるゴミを抑え、それで最終の灰かすまでリサイクルするということ。外国のように、焼却せずに砂漠に置いておくというところもあるが、三重県ではそのようなことはできない。どうせ焼却するのであればサーマルリサイクルとして活用すべきである。プラン自体は長期20年であり、その間は処分場が必要であると考えている。
森林環境部長
ごみゼロの取組みは必要、重要であり、目標に向けて取り組んでいる。県としても20年後に事業団に受け皿を作っている。ごみゼロとRDFを同時平行で取り組んでおり、この結果として、将来処分場をなくしていきたい。県民の方へはしっかり証明をし、理解いただくようにしていきたい。
津市長
ごみの最終処分場については、行政区分を超えて県が引き受けるという考え方もある。
ごみの問題については、一番の行政課題として考えている。市町村が取組みを行っていきやすいように協力をお願いしたい。
<知事>
本日は貴重なご意見をありがとうございました。
県と市町村の信頼関係を築き、最大のパートナーとして今後も協働していきたい。