「膝づめミーティング」(紀北県民局・紀南県民局管内)の概要
1.開催日時
平成16年8月12日(木)
15:00~17:30
2.開催場所
尾鷲庁舎大会議室
3.出席者
紀北県民局管内3市町村長、紀南県民局管内5市町村長
紀北・紀南県民局での「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
熊野古道の世界遺産登録、伊勢自動車道路紀勢線、県民しあわせプラン、地方分権、新しい時代の公、県民局のあり方、ごみゼロ社会、行政経営品質向上活動、文化政策等について
5.意見交換概要
(1)新しい時代の公における市町村と県の役割
鵜殿村長
鵜殿村では、今年3月に生涯学習センターが完成し、その活用を考える中で、地域の知恵と力をいただくということで、運営サポーターを募集し、順調に運営している。施設の有効活用には、地域住民の方の力をいただくことが重要と考えている。
紀伊長島町長
今年の燈篭祭の特徴は、40~50歳代に加え、20~30歳代の若者が参加し、世代交代してきたことである。今年は、小学生の参加もあった。行政はできる範囲でのみ手伝いをしているだけである。こういう活動の中で新しい時代の公を発見できるのではないかと思う。
熊野市長
熊野市では、公を担うのは行政だけでよいのか、とういう観点でいろいろな取組みを進めている。
総合計画の中で、地域におけるまちづくり計画の策定にあたって、地域自らまちづくりについて議論していただいている。行政は各地域でのサポーターとして加わっており、非常に良い方向で進んでいるところが多い。
紀宝町長
紀宝町では、健康づくりを中心に、ボランティア団体が非常に育ってきている。市町村も県民しあわせプランに基づいてやっていかなければいけないし、県も地方の行政に目をしっかり向けてほしい。
海山町長
新しい時代の公を議論する際、公が民や私的な部分に入り過ぎてしまわないか、という思いがある。十分議論する必要がある。
御浜町長
御浜町でもこれまで行政に頼りすぎてきた経緯がある。官だけではなく民も足腰を強くするためにも官と民を明確にする必要がある。
尾鷲市長
東紀州の自立が県の最大の行政課題ではないか。経済的にも遅れている地域なのでこの地域に高速道路をつくることが、自立するための県の最大の政策であると同時に、自助努力していくことが必要である。高速道路こそ命の道であり、自立への道と考えている。
まちづくりでのコラボレーションについては、経済面等で民の力が弱くなってきており、地域によって格差が出ている。このバランスをどうとっていくかが課題である。
紀和町長
紀和町は地理的にも非常に行政効率が悪いところである。そんな中で、行政がやるべきこと、個人でやるべきこと、地域でやっていただきたいことというお願いをしている。
熊野市長
今まで県は市町村に対して国のような立場であったが、むしろ国に対してものを言うような立場に変わってほしい。
<知事コメント>
三重県という舞台づくりをしていくのが行政の役割であり、その舞台で舞いを舞って頂くのは県民の皆さんである。その舞台づくりに一緒に入って頂き、自ら関わってもらいたい。
新しい時代の公は、相当の時間をかけて取り組んでいく必要があり、モデル的な取組みが示せれば、理解しやすく一緒に取組めるのではないかと思う。熊野古道は住民の活動から始まったものであり、生活創造圏づくり、紀和町の千枚田も、新しい時代の公につながるものではないか。
県としても国に言うべきことは強く言っていく。県庁職員の心構えについては、十分にご意見を踏まえていきたい。
(2)県民局のあり方
紀伊長島町長
市町村合併により、中勢、北勢に県民局がいるのかどうかという議論もあるだろうが、地域の広い東紀州ではそれらの議論とは分けて考えて頂きたい。この地域の特性、条件を考えたうえで、県民局のあり方を検討して頂きたい。
紀宝町長
地域性、利便性を考えた場合、この地域のハンディは大きい。均衡ある県政の発展ためには、県民局の機能はこの地域には必要不可欠であるということを認識してほしい。
尾鷲市長
この地域にとって県の役割は極めて重要である。地域の自立の力がつくまで県民局を置いて頂きたい。
また、たとえ、県民局がひとつになったとしても、時間距離もあり、出先は必ず二つおいてほしい。
海山町長
現在の県民局の体制だけで考えるのではなく、県民局の役割そのものがどうあるべきなのかも考えてほしい。
紀和町長
地域性を考えると、単に市町村数だけで考えるのではなく、この地域に県としてどういう体制が必要なのか、考えてほしい。
鵜殿村長
地域性を十分考慮して、箇所数を減らすのではなく、組織形態を地域にあったものとなるよう検討してほしい。
御浜町長
御浜から県庁まで約3時間かかる。会議などで県庁へ行くと地方には県民局が必要であると思う。地域からの要望を直に受けてもらえるところがほしい。県民のしあわせを考えると県民局は必要である。
熊野市長
この地域ではそれぞれの市町村の力は小さいので、県民局にお世話になっている部分が多い。県民局のあり方そのものの議論があるだろうが、維持してもらえばありがたい。
<知事コメント>
県も限られた資源の中で、専門性のある分野まで各県民局に配備するのは難しいが、東紀州地域に経済的ハンディや地域性があるということは、理解が得られるところである。
皆さんの意見をしっかり受止めて、今後の県民局再編の議論に生かしたい。
(3)熊野古道の活用と保全
熊野市長
活用という面においては、各市町村が基本だが、東紀州活性化協議会等で協力できるものは協力してやっていかなければいけない。
大きな宿泊施設もないため、個人客を相手に細く、長くやっていくことが必要であり、そのためにも来訪者に地域住民が一声かける等のもてなしの心を大事にしていきたい。
保全面では、ボランティアによる活動も活発になってきており、行政としても後方支援していきたい。
紀伊長島町長
熊野古道は、ビジネスチャンスであり、対応を的確にしていく必要があるが、経済性ばかり追求するだけでいいのか疑問がある。地道で着実な取組みが必要である。
尾鷲市長
地権者やその財産の保護も真剣に考えないと荒廃していくことになる。そういう面での国や県の役割を考える必要がある。
紀宝町長
おもてなしの心で住民が一体となって取組むことが重要である。ちょっとした気配り等そういったことが我々地域に求められるところである。
紀和町長
三重県の中で世界に認められるものが出てきたわけだが、道路や交通アクセス等の問題もあり、県政の中でどう位置付けていくのか注目している。
鵜殿村長
熊野古道だけではなく、地域全体を知ってもらうことも大事である。
海山町長
個人的見解であるが、伊勢神宮と熊野古道を結びつけて何か発信はできないものかと思う。宗教的問題もあると思うが、一定の理解は得られると思う。
御浜町長
来客は涼しくなった9月からが本番だと思う。峠を下りたところにシャワーがほしい、とういう人もいたが、2度、3度と来たくなるようなものにしていきたい。
<知事コメント>
保全ということは、非常に大変であるということを肝に命じておかなければいけない。災害発生時の地権者への補償等、保全面で検討していかなければならない点は多い。
県としては、地域の主体性を生かす中で、多くの人に参加して頂き、アクションプランをつくった。それを生かしながら県として支援、連携をとっていきたい。
伊勢神宮と熊野古道の連携については、玉城町から大内山村間にある史跡等も含めて、考えていかなければいけない。
東紀州の魅力を感じてもらう地域づくりが大事であり、文化政策そのものである。熊野古道の活用と保全を通じて創造性が生み出される地域づくりを一緒になってやっていければすばらしいものになる。
(4)ごみゼロ社会の実現に向けて
熊野市長
この問題は、地方でやるには限界がある。国としてメーカー、家庭を含む排出者責任を徹底的に追及していかなくては無理。知事も知事会で国に対して力を発揮して頂きたい。
<知事コメント>
熊野市長が言われるとおり排出者責任の徹底が重要である。知事会でも連携をとってますます強く言っていきたい。
(5)その他
御浜町長
紀南病院の医師確保が非常に困難になってきている。県も力を入れていただき、紀南病院の充実をお願いしたい。
<知事コメント>
医師不足はどこでも同じ問題を抱えており、県民しあわせプランでも医師確保のための取組みを上げている。
へき地の拠点病院としての支援も必要であり、最大の課題として受けとめていきたい。