「膝づめミーティング」(伊賀県民局管内)の概要
1.開催日時
平成16年9月1日(水)
15:00~17:00
2.開催場所
上野庁舎4階 3,4,5会議室
3.出席者
伊賀県民局管内7市町村長
伊賀県民局での「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
芭蕉生誕360年、伊賀市誕生、県民しあわせプラン、新しい時代の公、県民局のあり方、ごみゼロ社会、地方分権、行政経営品質向上活動、文化政策、情報化の推進等
5.意見交換概要
(1)新しい時代の公における市町村と県の役割
伊賀町長
新しい時代の公においては全ての住民が情報を共有し、県と市町村も同時に情報を共有できるようにならなければいけない。駅、郵便局等の不特定多数の人が多く集まるところに、行政の情報窓口を設置してはどうか。
上野市長
合併により住民自治協議会を設立するが、住民自治協議会の原則は2つで、協議会の規約を自分たちでつくる、まちづくり計画を自らの手でつくるということである。地域でできることは地域でやってもらうという考え方で、できないものが市、県の領域である。地域ごとに自らプランニングしてもらいたい。
<知事コメント>
住民自治協議会が新しい時代の公を担う主体となっていくのではないか。
地域には、自治会や婦人会、青年団等の旧来の団体と、NPO、ボランティア等地域を越えた団体がある。このような地域を越えた団体も新しい時代の公の担い手として重要である。
伊賀町長
旧来の婦人会や青年団等は人が集まらなくなってきている。地域住民団体の育成が課題となっている。
また、若い人が今後の地域自治の主体となっていかなければならず、若い人が夢をもてる社会にできるよう、これからの方向性を示していかないといけない。
また、公のあり方としては、これからは維持管理の時代である。草刈り等、地元で行うものと、一定以上の公が進める必要があるものがある。県からの指針をいただきたい。
<知事コメント>
行政は人生の舞台づくりをすることが役割だが、その舞台で舞いを舞う主人公である住民の皆さんに自らその舞台づくりに関わっていただきたい。
伊賀地方の「芭蕉生誕360年」の事業は、企画から市民等様々な団体に参加していただいており、新しい時代の公のモデルになるのではないか。
名張市長
単独自立ということで危機感をもって対応している。財政規模を縮小しつつも良質なサービスを提供していかなければならない。補完性の原理に基づいた役割分担が必要であり、自助、共助、公助の共助の部分が新しい時代の公といえるのではないか。
市では、地域に対する補助金を全廃して交付金にし、地域が自己責任、自己決定で事業を運営している。これを発展させていくことが新しい時代の公につながると期待している。
また、環境や福祉等の目的別の団体もある。これらの団体と行政は、共働、競争、時には対立することも、地域自治の発展には重要である。地域の団体とNPO等目的別の団体との協働をどのようにしていくかが今後の課題である。
<知事コメント>
先進的な取組みをしていただいていると感じる。市が新しい時代の公でどう関わっていくのか、県が広域的団体としてどう関わっていくのか、協働の場づくりのシステムをどうしたらいいのか、示していければと思っている。
名張市長
市の取組みに対する県のサポート体制のあり方を十分に考えていただきたい。県は個別法で動いており、縦割りである。これをできる限り横割りにしてサポートしてもらいたい。
<知事コメント>
県として、縦割りではなく、総合行政として取り組んでいくことの必要性を感じている。県民局、本庁のあり方についてもそういう観点で考えていきたい。
青山町長
「公」についての個人の認識の変革が求められている。町職員の意識改革が一番の課題である。住民の中でも何でも行政頼みという意識があり、今までのやってきたやり方と新しいやり方をどう説明していくのか、村落部と都市部など、地域によって温度差がある。
<知事コメント>
地域によって大きく異なるというのは、そうだと思う。青山町には、青山町にあったやり方があり、ひとつの町内でも地域によって違いがあるのではないか。
阿山町長
事業推進にあたっては県と市町村は良いパートナーとなって進めていってほしい。また、住民と行政との関係も大切である。
大山田村長
当村では地域づくりの事業として基金をつくり、地域住民、行政、企業が一体となって事業に取り組んでいる。地域のものを地域でつくるという中で、家族、地域住民とのふれあいを通して心を支えあい、地域の共同体ができている。これが地域の人材育成につながっていくと考えている。
島ヶ原村長
当村では自分の地域は自分たちで守っていくことを基本として、地域に予算配分して地域の特色を生かしながら地域で自ら事業をしている。また、各種団体についてもイベントでの参画等で活発に活動している。ボランティア団体については協議会組織にし、活動をそれぞれのボランティア団体が担い、行政は中に入らないようにしている。
<知事コメント>
何でも行政がサービスすることがいいという考え方を切り替えないといけない。自助、共助、公助や補完性の原理の中で県の行政について検討していきたい。
(2)県民局のあり方、ごみゼロ社会の実現に向けて
伊賀町長
県民局については、伊賀地方は4県にまたがる独特な文化があるので、県民局は残してほしい。
ごみゼロ社会の実現には、県の工夫も必要である。
青山町長
効率性を考えると、県民局はなくてもいいのではないか。県民局の役割については今後検討していただきたい。
ごみゼロ社会の実現にはまず、行政がごみを処理するという意識を変えて、住民が自分でごみをきちんと処理するという考え方を展開する必要がある。
阿山町長
県民局のあり方については、本当は、地方分権一括法の時点で県に考えてもらいたかった。
ごみについては、不法投棄や産業廃棄物の問題があるが、資源化できるものでも法的に廃棄物になってしまうものもある。ごみ処理についてもっと各市町村長の判断にまかせる部分があってもよいのではないか。
上野市長
県民局の業務の中で、住民と直接関係のある業務については県民局に残してほしい。機能によって地域になければならないものと、地域機関でする必要のないものと精査していただいて、検討していただきたい。
ごみについては、法律自体が地域の実態に必ずしもあったものではない。県は市町村の実態や現場の声をよく聞いて対処してほしい。法律が各地域にあっているのかという点まで検討していただいて、地域にあった制度としてもらいたい。
名張市長
合併が進んでいくと県民局は必要ないと思う。ただ、過渡期をどうしていくかという問題はある。県は将来的に必要なくなっていくのではないか。市町村への権限移譲と一緒に県からの人材派遣もセットで考えてほしい。住民と直接関わりのあるものは基礎的自治体がやるべきである。
一方、合併によって残ってしまった小規模市町村への支援という重要な役割も今後県民局にはあるのではないか。
ごみの減少については、抜本的に取り組む必要があり、従来に加えた新しい取り組みを進める必要がある。
島ヶ原村長
県民局については、地域住民に直接影響のあるものは残すことが必要である。
ごみは、家庭ごみが多く、その一因として丁寧すぎる包装がある。土に還るもので包装をするとか、企業努力が必要である。
大山田村長
県民局は、形を変えたものになったとしても残してほしい。また、エキスパートを県民局に配置して市町村からの相談にのってほしい。
ごみについては、大山田村では買い物時にスーパーの袋をもらわずに、村が全戸に配布した袋を利用するよう呼びかけてきた。
環境という関係で、新エネルギーとして風力発電に取り組んできた。地球温暖化対策の一助にもなり、自然エネルギーをどんどん取り入れていく計画である。
<知事コメント>
県民局のあり方については、皆さんの意見を十分参考にして議論していきたい。県議会でも、市町村合併がどこまで進むのか分からない状況なので、状況をよく見て判断していくべきとの指摘を受けている。合併が進むからといって、県民局が不要ということにはならない。県民向けのサービスもあるので、県民にとって便利でなくてはならない。
専門性のある職員を県民局へ配置するのは、県の人材の問題もある。権限移譲の整理の仕方にもよるので、今後の検討課題としたい。
ごみゼロ社会の実現にむけて、現在、県でプランづくりをしている。各市町村で取り組んでいただいているものについては、ぜひ今後も進めていただきたい。各家庭で本当にごみを出さないように意識改革の啓発を県としても取り組んでいきたい。
ごみに関する法律については十分ではない。今後、国に対して法の整備を要請していくが、ごみゼロに向かって皆さんと一緒に強く一歩を踏み出していく必要がある。産業界の努力も必要で、今後、要請もしていく。