「膝づめミーティング」(北勢県民局管内)の概要
1.開催日時
平成16年9月2日(木)
14:30~17:20
2.開催場所
四日市庁舎大会議室
3.出席者
北勢県民局管内14市町長
北勢県民局での「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
県民しあわせプラン、新しい時代の公、県民局のあり方、ごみゼロ社会、地方分権、行政経営品質向上活動、文化政策、情報化の推進等について
5.意見交換概要
(1)新しい時代の公における市町村と県の役割
四日市市長
当市では、市民がすばらしい事業展開をしている。例えば、住民自ら地域をパトロールする、沿道の住民が自らバスを運行する、河川のヘドロ対策を自ら行うなど、これまで、行政がするのが当然であったことに、住民が取り組み、大きな成果を上げている。市としてもこういう市民活動がまちづくりにつながるものとして、財政面でも支援している。市民でやれるものはやっていこうとすることで、公の概念が変わってきていることを肌で感じている。
桑名市長
市民、企業、NPO等、多様な主体で公を担う時代である。資源ごみのリサイクル施設の運営をNPOにやってもらうなどしているが、行政として、こういう活動がさらに広がっていくようインセンティブを与えるような企画を考えていかないといけない。
鈴鹿市長
自分たちのまちは自分たちで守るという意識が向上している。従来は、自治会中心であったが、これからは、自治会、NPO、ボランティア等が協力して、自分たちの総合的なまちづくりを考えていかなければならず、市は、側面支援していくことが大事である。
ただ、民にまかせていくという方向は大事だが、行政として行政責任をとるべき範囲を明確にする必要もある。
亀山市長
公の果たすべき役割をきっちり規定していかなければいけない。行政上、法律に基づきやるべきことはやらねばならない。行政を進めるにあたっては、コンプライアンス(法令遵守)が重要であり、守るべきところ、みんなでやっていくところなど、きっちり整理すべきところは、整理しておかなければならない。
いなべ市長
災害対策を中心に、住民自ら一緒になって、取り組んでいくという意識が出てきている。
国全体で公の意識が薄くなってきており、地域社会が担ってきた公が崩壊してきていると感じている。民間に公の部分を担っていただきたいと思うが、個人情報保護条例などでは、公の範囲をより厳しく、明確にする必要性も出てきており、矛盾を感じる点もある。
多度町長
少子化により学校運営の問題が生じている。統廃合も含めて今後、どうしたらいいか考えているが、県としても、今後の学校をどうすべきか考えていただきたい。老人問題も、こちらの対応以上に高齢化が進んでおり、県の対応も十分ではない。対応を是非、お願いしたい。
長島町長
合併の住民説明の中で、行政がやるべきこと、住民がやるべきことの区別をかなりわかってきていただけたと思っている。
河川のヘドロの問題でも行政が行えば相当の費用がかかるところ、住民が自ら浄化に取り組んでいる。昔の公と民の関係は、だんだん変わってきたと思っている。
木曽岬町長
住民に自分の町という認識をもってもらうことが重要である。町では、一人一役ということで町の仕事に関わってもらっており、これが公と民の接点になると考えている。
木曽川堤防を地域の人がボランティアで維持管理しようという取組みもある。小さい町でがんばっているところにも目を向けてもらい、協力をいただきたい。
東員町長
新しい時代の公、地方分権は、財政難から出ていると感じている。自分でできることは自分で、できないことは地域で、地域でできないことは行政で、とお願いしており、NPOの立ち上げなど、少しづつ町民にも考えが出てきたのかなと思っている。
これまで、婦人会、子供会等各種団体に補助金を出してきたが、これを地域に出す型に変え、地域で何をしてもらうか自分たちで決めてもらうという手法を考えていきたいと思っている。
菰野町長
青年団、婦人会という組織が壊れてきており、心配しているが、唯一、自治会が元気を持っており、ごみ対策等活発に活動している。不法投棄が多く苦慮しているが、それにも地域で取り組んでもらっている。昔からの組織についても温存し、リーダー育成に力を入れていきたいと思っており、それもまちづくりと思う。
楠町長
まちづくり町民会議で町民とのフリートークを行ったが、その中で自分たちでしなければいけないということに気づいてもらえたと思う。自分たちのこととして、自分たちのことはしっかりする、向こう三軒両隣の考えが大事である。
朝日町長
地区の活性化の検討委員会を立ち上げようとしており、やるやらないも含めて、まちづくりを住民の判断で進めてもらおうと思っている。住民自らまちづくりに対する将来のプランを持つことができればと考えている。
川越町長
朝明川、高松海岸、北勢バイパスなどで、NPO、ボランティアの取組みが進んでいる。また、町民防災塾を立ち上げ、自分のまちは自分で守っていくということを話している。
関町長
まち並み保存で、ボランティア、保存会等が自主的に取り組んできている。ただし、公の果たすべき役割をはっきりしておかないと、自主的な活動もうまくいかない。地域づくりに大変寄与してもらっており、これを行政がどう支援していくかである。
自分たちがやろうとしていることをやってもらい、できないことは行政にしてもらう、また、できた後は、自分たちで守っていく、そういう関係ができたらと思う。
<知事コメント>
北勢地域は、地域づくりに自ら自主的に取り組んでいる地域が非常に多いと感じた。新しい時代の公の模範的な先進事例が多く見られ、今後のルールづくりの参考にさせていただきたい。
基本は、補完性の原理であり、自助、共助、公助の区別でしっかり考えていかなければいけない。分権の時代には、「私」がしっかりする必要があり、「私」のあるべき姿をしっかり考えないといけない。分権、新しい時代の公は、財政難が原因でない。これからの国の活力、地域の力というものには、「私」の力に立脚したものが必要である。
地域づくりは、人生の舞台づくりであり、その舞台で人生の舞いを舞うのは住民の皆さんである。その舞台づくりに主役である皆さんに関わってもらいたい。
昔からの地域の組織が現実に崩れてきており、自治会の組織率も低下している。そのようなところでの地域づくりをどのようにしていけばいいか考えなけ・黷ホならない。また、地域団体とは別に、地域を越えたNPO、ボランティア団体もあり、どのように一緒にやっていくかが重要である。
行政の責任は、どこまでかというのも議論が必要な問題と思う。県としてもいろいろな考え方を踏まえ議論し、新しい時代の公について、追求していきたい。
(2)県民局のあり方、ごみゼロ社会の実現に向けて
亀山市長
県民局については、市町村との連携をもっと充実してほしい。市町村が取り組んでもらいたいと思っている事業について、一緒に取り組み、考えてほしい。
木曽岬町長
県民局か本庁一括かであるが、企業誘致の中で、手続きに津まで行かないといけないということで、立地に二の足を踏まれる場合がある。こういう対応も県民局の体制として考えてもらいたい。
鈴鹿市長
合併が進む中、県民局のあり方を検討するのは当然と思っているが、今後は、市町の調整役が県民局の大きな役割であり、今の桑名、四日市、鈴鹿という三体制でいいのかという思いもある。北勢地域全体を構築する県民局という考えが必要である。
ごみゼロであるが、一般の家庭ごみは増加しているのが実態であり、その処理に莫大な費用がかかっている。また、産業廃棄物問題について、これまで十分な規制ができてこなかった。県が責任をもって対処してほしい。
桑名市長
分権が進む中、県民局には、コーディネーター、アドバイザー的役割を果たしてもらう必要がある。県と市が一緒にものを考えていくということが必要で、県民局の権限、予算を充実して、地域に的確に対応する県民局となってほしい。エリアについては、今のままでいいと考えている。
ごみ問題については、努力をしていない市町村はない。一般廃棄物と産業廃棄物の分別、不法投棄対策等に県の努力をお願いする。
四日市市長
不法投棄の問題が非常に大きな住民の関心事である。住民と直接向かい合う市としては、現実の問題に対応していかなければならず、県としても現実の問題にまず、取り組んでほしい。
楠町長
ごみゼロ社会は、ものをごみとして排出しないのが原点である。ごみを出さないということを一般住民に説明するのは市町村の責務であるが、メーカーの負担も必要である。企業に製造者としての負担をもっと求める法制度が必要であり、国に要望してもらいたい。
関町長
県民局については、住民に直接、関連するものは県民局で、本庁で効率的に行えばいいものは本庁でというスタンスでお願いしたい。
ごみについては、例えばISO14001の三重県版というようなもの作ってはどうか。
ごみゼロ化に向けては、生産のところで、法律で作ったものに対する責任を明確化しないといけない。
菰野町長
(財)環境保全事業団からごみ処分料の値上げの問題が提示されている。市町村としても協力すべきところは協力するが、県としても尽力をいただきたいと思う。
<知事コメント>
県民局のあり方については、今日の意見を十分、参考にし、検討させていただきたい。県議会からも、市町村合併の進み具合を、もっとしっかり見極めたうえで、取り組むべきとの意見もいただいている。
(財)環境保全事業団については、経営状況が好ましくなく、県としても大きな問題と思っている。県として事業団のより健全な運営に向けて努力していきたい。
ごみ問題については、企業、メーカーの責任を法律でしっかりと制度化するよう国に要望していかないといけない。県と市町村が一緒になって要望していけるようにお願いしたい。
ごみゼロについては、なぜ、ごみゼロなのか、ということを県民に十分認識してもらえるかにかかっている。ごみゼロ社会実現プランの策定、モデル事業の実施等で、より啓発を進めていきたい。
ISO14001三重県版については、提案として受け止めたい。
産業廃棄物問題について、県がもっと責任を果たせといわれるのは当然だが、不法投棄に実際に対応するには、多額の費用がかかる。その費用を県民に負担させていいのかが問題であり、原因者に撤去させるという原則を守らないと理解は得られない。しかし、現場の住民にとっては、大変な問題であり、健康上の問題など住民に危険がある場合は、代執行も必要である。
これまで、対応の仕方が手ぬるかった、しっかりやれということと受止めている。いずれにしても深刻な問題であり、県としても重大な責任を感じている。