三重県では、子どもたちが性暴力の加害者にも、被害者にも、傍観者にもならない未来をつくるため、令和3年度県民参加型予算(みんつく予算)を活用して「子どもたちを性被害から守りたい!プロジェクト事業」を実施しました。
事業の経緯
令和3年度県民参加型予算「みんなでつくろか みえの予算(略称:みんつく予算)」において、県民から提案された320件のアイディアをもとに、各事業担当課で29の事業を構築しました。その後、29の事業については、どの事業を実施するかを県民投票により決定することとなりました。「子どもたちを性被害から守りたい!プロジェクト事業」は、県民投票の結果、見事1位に選出され、令和3年度の事業実施が決定しました。
事業の概要
事業は、大きく3つの取組を順を追ってステップアップしながら実施していく内容となっています。①全小学校への「絵本(低学年向け学習教材)」の配付
②養護教諭等を対象とした研修
③モデル校による子ども・保護者向けモデル授業の実施
また、これら事業の実施に併せて、各対象者に対してアンケート調査をそれぞれ実施しました。
Step1 全小学校へ「絵本(学習教材)」の配付
6月に、小学校低学年から「プライベートゾーン」についての知識を身につけるための学習教材(絵本)を県内の全小学校(私立含む 全347校)に各1冊ずつ配付しました。
また、配付と併せて教員対象のアンケート調査も実施しました。資料提供のページ
■配付した学習教材(絵本)
名称:「おしえて!くもくん」 (全32P、出版社=東山書房)内容:小学校での低学年児童に対する読み聞かせを想定した構成となっており、
〇プライベートゾーンとは
・水着を着ると隠れる部分のこと
・自分だけの大切な場所で、簡単に他人に見せたり触らせたりしてはいけない
〇他の人のプライベートゾーンを無理やり見たり触ったりしてはいけない
〇もし、触られそうになったら、大きな声で「いや」と言う
〇いやな目に遭っているお友達を見つけたら助けてあげる
〇困ったときは大人に相談する
などについて、お空の上からいつも子どもたちを見守っている「くもくん」が優しく教えてくれます。
▲絵本「おしえて!くもくん」 | ▲「くもくん」と「プライベートゾーン」 |
▲ダウンロード特典(指導案、ポスター) | ▲ダウンロード特典 (ふりかえりシート、保護者向け配布資料) |
■活用方法
授業において、養護教諭や担任の先生の読み聞かせの教材としたり、保健室や図書室へ置き、子どもたちに自由に読んでもらうなどの活用のほか、絵本のダウンロード教材(ポスター、ふりかえりシート等)は知識を定着させるための活用を想定しています。■アンケート結果
Step2ー1 養護教諭等研修(小学校低学年向け)
小学校低学年から「プライベートゾーン」についての知識を身につけるための予防教育等について、県内の養護教諭等を対象に小学校低学年向け「性被害防止・対応研修」を開催しました。また、研修と併せて研修参加者へのアンケート調査も実施しました。
資料提供のページ
■日時・場所(ブロック別に3回開催)
各会場とも会場、オンライン併用で開催。各回の内容は同じ。7月19日(月)13時30分から16時まで 四日市庁舎6階大会議室
(四日市市新正4-21-5)
会場21、オンライン33:合計54名
7月20日(火)13時30分から16時まで 県総合教育センター多目的ホール
(津市大谷町12)
会場21、オンライン24:合計45名
7月21日(水)13時30分から16時まで 松阪庁舎6階大会議室
(松阪市高町138)
会場26、オンライン40:合計66名
3日間合計:165名参加
■講師及び研修内容
〇慶應義塾大学総合政策学部教授 小笠原 和美(おがさわら かずみ)氏※6月21日に県内全小学校へ配付したプライベートゾーンについて知るための絵本
「おしえて!くもくん」を監修
テーマ「性暴力のない社会へ~絵本からはじまる予防教育~」
(内容)「おしえて!くもくん」に集められた知見
読み聞かせを行う際の絵本の活かし方 等
〇福岡県警察少年課少年健全育成室少年育成指導官 安永 智美(やすなが さとみ)氏
テーマ「性教育は次世代の未来に繋がる『生教育』」
~「もっと早く聞きたかった」子どもからの問題提起~
(内容)被害児童から最初に被害開示を受ける際の注意点
被害児童への支援、加害児童への立ち直り支援 等
▲小笠原先生の講義の様子 | ▲小笠原先生の講義の様子 |
▲安永先生の講義の様子 | ▲安永先生の講義の様子 |
■アンケート結果
Step2ー2 養護教諭等研修(小学校高学年以上向け)
7月に開催した小学校低学年向け「性被害防止・対応研修」に続き、子どもたちの年代に応じた必要な知識を身につけるための予防教育等について、県内の養護教諭等を対象とした小学校高学年以上、中学生・高校生向け「性被害防止・対応研修」を開催しました。また、研修と併せて研修参加者へのアンケート調査も実施しました。
資料提供のページ
■日時・場所(ブロック別に3回開催)
各会場とも、内容は同じで、新型コロナウイルス感染症感染拡大を踏まえ、各会場からオンライン(Zoom)で実施。また、各回とも、連続して地区別性教育講座(15時から17時まで)を開催しました。9月 2日(木)13時から15時まで 四日市庁舎6階大会議室
(四日市市新正4-21-5)
オンライン90:合計90名
9月 9日(木)13時から15時まで 県総合教育センター多目的ホール
(津市大谷町12)
オンライン60:合計60名
9月12日(日)13時から15時まで 伊勢庁舎4階401会議室
(伊勢市勢田町628-3)
オンライン81:合計81名
3日間合計:231名が参加。
※参加者数は申込アカウント数であるため、複数名での受講など実際の受講者数と一致していない場合があります。
■講師及び研修内容
〇思春期保健相談士 中谷 奈央子(なかたに なおこ)氏テーマ「子どもたちを被害者にも加害者にも傍観者にもしないために~今日から学校でできること~」
(内容)それぞれの年代に応じた計画的な性教育の必要性
相談体制の充実(オープンに話せる環境づくり) 等
〇三重県公認心理師会会長 仲 律子(なか りつこ)氏
テーマ「学校の管理下で起こった性暴力被害の対応」
(内容)被害児童(生徒)、加害児童(生徒)、保護者への対応
「みえ性暴力被害者支援センター よりこ」の紹介 等
▲中谷先生の講義の様子 | ▲仲先生の講義の様子 |
▲中谷先生のオンラインの様子 | ▲仲先生のオンラインの様子 |
■アンケート結果
Step3 モデル校での親子で学ぶ「性被害防止・対応教室」
6月に県内の全小学校に配付した絵本(「プライベートゾーン」の知識を身につけるための学習教材:おしえて!くもくん)を使い、親子で学ぶ「性被害防止・対応教室」をモデル校で開催しました。モデル校には次の3校が選ばれ、保護者参観と併せて実施していただきました。
また、授業の実施に当たっては、オンラインで他校の先生等にも見学できるようにしたほか、参加者に対してアンケート調査を実施しました。
資料提供のページ
■日時・モデル校
10月15日(金)13時35分から14時20分まで(5限目)津市立黒田小学校教室 3年生33人及び保護者
※保護者はZoom参観
11月 9日(火)11時35分から12時20分まで(4限目)
四日市市立三重北小学校体育館 1年生26人・2年生20人及び保護者
※保護者は対面参観
11月11日(木)10時40分から11時25分まで(3限目)
鈴鹿市立加佐登小学校体育館 1年生53人及び保護者
※保護者は対面またはZoom参観
■授業の様子
▲教室での絵本の読み聞かせ | ▲板書を活用した授業 |
▲体育館での絵本の読み聞かせ | ▲担任の先生とのやり取り |
▲体育館での絵本の読み聞かせ | ▲オリジナル教材を活用したクイズコーナー |