旬のおさかな情報
No.32 ツバス 2016年9月12日
ツバス
ツバスとはブリの幼名のひとつで、南伊勢町では小さいものから順にモジャコ、アブコ、ツバス、イナダ、ワラサ、ブリと名前を変えます。大きくなるにしたがって名前を変え、値打ちも上がるため出世魚として有名ですが、それだけ多くの呼び名があるということは、裏を返せばそれだけ多くの利用があるということ。決して小さなものの価値が低いわけではありません。今回おすすめの「ツバス」は、生まれてから1年もたっていないブリですが、成長の早い魚ですから、もう800~900gになっています。さらに1ヶ月経つと1㎏を超える魚も多くなると予想され、食用魚としては決して「小さい」部類には入りません。ちなみに、1㎏の魚なら、お刺身にしても500g程度、4~5人前は十分にとれます。
ツバス 南伊勢町贄浦 平成28年9月5日
ブリの味わいは、大きさと共に変わり、印象としては味が濃くなる方向に進みます。そういう意味でも出世魚なんですが、大型になるにしたがって血合いが発達するため、人によってはブリ特有の風味を苦手とすることもあるようです。その点、このツバスは非常にさっぱりとした味わいとなっており、「ブリよりもこっちが好き」という人も少なくありません。個人的な感想はブリよりもアジに近いのですが、歯ごたえとさっぱり感と脂の乗りは、やはり「ツバス」独特のものと思います。ブリに出世する前だからといって、決してブリに劣るというものではありません。できるだけ大きくてよく肥っているもの、そしてもちろん鮮度の良いものをお求めください。驚くほど美味しいですよ。
ツバス 南伊勢町贄浦 平成28年9月5日
夏から秋にかけてすくすくと育つツバスは、今これからが旬の魚です。近年、春に漁獲されるブリは好調が続いていますが、実はツバス、イナダは非常に少なくなっていました。今年は久しぶりにこのような大型の水槽にいっぱいになったツバスを見ることができましたので、早速おすすめさせていただきました。ツバスの美味しい食べ方は、何といってもお刺身で、しょう油にゴマ油を加えるのもおすすめです。また、お刺身を取った後のあらもごちそうになります。煮付けや塩焼きも良いですが、クセが少ないのでお味噌汁にしても美味しいですよ。
(2016年9月12日掲載 企画・資源利用研究課)