旬のおさかな情報
No.31 アワビ 2016年7月25日
アワビ
三重県の鳥羽志摩地域には現在約750人と日本で最も多くの海女がいます。海女は沿岸の磯に棲む様々な水産資源を獲っていますが、特に重要なのがアワビです。
アワビ漁の最盛期は夏場であり、春先から芽吹く海藻をしっかり食べて育った夏場のアワビは、刺身で食べるとこりこりとした歯ごたえとともに磯の香が広がり、今が最も美味しいと海女さんも言います。
アワビは、餌となるアラメ(コンブの仲間)などの海藻が生い茂る磯の隙間や転石の下などを住処としています。海女は、水深3~10m程度の海底へと素潜りで潜っていき、海藻をかきわけながらアワビを探し出し、岩に強い力で張りついているアワビを専用の漁具で傷つけないよう丁寧に1個ずつ漁獲します。1回の潜水時間は約50秒で、これを1日に50回程度繰り返します。
しかし、アワビの漁獲は近年大きく減少していて、三重県での漁獲量は、昭和61年には457トンありましたが、平成25年には62トンまで減少しました。減少原因については、海洋環境の変化やアワビ資源の再生産力の低下などの説がいわれています。減少するアワビに対して、海女は小さなアワビは獲らないことや稚貝の放流など、アワビ資源の保護増殖に積極的に取り組んでいます。
アワビは、海藻が豊かにゆらめく磯で、素潜りで漁を行う海女によってもたらされる磯の恵みです。今が旬のアワビ、磯と海女さんに思いをはせながら、磯の最高の味覚をぜひ味わってみてください。
(2016年7月25日掲載 沿岸資源増殖研究課)