旬のおさかな情報
No.27 サワラ 2015年8月31日
サワラ
サワラといえば、魚へんに春と表記される、春を代表する魚のひとつです。しかし、伊勢湾周辺のサワラは夏の終わり~秋が旬。夏に内湾や沿岸域でたっぷりとイワシ類などの小魚を食べ、しっかりと脂がのって、まさに今が旬です。
サワラ 尾叉長71.5㎝ 南伊勢町贄浦 平成27年8月28日撮影
伊勢湾のサワラが昔から秋に旬を迎えていたことを示すものに、「さわらめし」という、新米と秋のサワラをつかって作るごちそうがあります。伊勢湾内の港町、香良洲の郷土料理で、刺身用のサワラをぜいたくに使い、ちょっともったいない気もしますが、まさにハレの日にうってつけといえるでしょう。筆者も数回いただいたことがありますが、あれだけ入れたサワラの身が、炊き上がると見えなくなってしまうことに衝撃を受けたことを憶えています。サワラの身は柔らかくほぐれ、ご飯に絡みつくようになっているためで、サワラコーティングされたご飯はまさに絶品でした。
さわらめし 三重県中央卸売市場(当時)にて 平成18年10月4日撮影
また、当然ながら刺身や、皮目をあぶったたたきも絶品です。サワラを刺身にできるのは、産地ならではの特権で、しかも食欲の秋に旬になるサワラは、伊勢湾ならではの恵みではないでしょうか。
サワラ 南伊勢町贄浦 平成27年8月28日撮影
サワラは、体の高さがしりびれのやや前方でもっとも高くなる、ちょっと変わった体型をしています。また、頭は小さく、サバのような顔をしていますが、口には鋭い歯が並び、魚食性が強く、成長が早い魚です。上の小さい方は尾叉長40㎝ほどで、今年の春生まれと推定されます。半年もたたずにこの大きさですから、大きい方も、1歳か、2歳であると思われます。まさに、驚くべき成長の早さといえるでしょう。逆にいえば、サワラが生きていくためには、この成長を支える大量の餌が必要です。近年、サワラが増加している背景には、餌となるいわし類の好調があるのかもしれません。
(2015年8月31日掲載 企画・資源利用研究課)
ひき縄漁業(水産資源課へのリンク)