旬のおさかな情報
No.10 クルマエビ 2014年5月7日
宝彩えび(クルマエビ)
クルマエビ 志摩市安乗 平成26年5月5日撮影
5月5日は祝日でしたが、久しぶりに志摩市安乗地区のエビ刺網が水揚げするとのことで、市場調査に行きました。
安乗地区は、主に伊勢湾口沖から的矢湾沖に至る海域で刺網によるクルマエビ漁を操業しています。このクルマエビは特に「宝彩えび」と呼ばれ、築地市場でも指折りの高評価を得ているそうです。
「宝彩(ほうさい)」とはなんとも雅な響きですが、実は使用している「ほっそいあみ(細い糸の網)」への当て字だとのこと。いやいや、たとえ由来がどうあろうとも、淡麗な体の縞模様と鮮やかな尾の配色の妙は、正に宝彩の輝きです。
水揚げされたクルマエビの中には、地元で「ヒジ打ち」と呼ばれる特大サイズの個体もちらほら混じっていました。大型のものは大抵メスで、光に透かすと卵巣の成熟具合が確認できます。当日、私が確認した最大個体は全長27cmでした(上の写真)。
安乗市場での競りは小札による一発勝負です。市場にピリリとした緊張感が張り詰めます。
この日は安乗地区にしては比較的小型の個体が多かったのですが、1kgあたり1万円以上と、まずまずの値が付きました。ゴールデンウィークの終盤を彩る、すばらしい味覚となってくれたことでしょう。
市場の傍らでは操業を終えた漁業者が黙々と網の手入れをしていました。刺網漁は出港から片づけまで、一度の操業で20時間くらい掛かるそうです。
安乗地区のクルマエビ刺網漁は4月から9月にかけて行われ、漁があれば地元の飲食店や旅館でも賞味可能です。日頃頑張った自分へのご褒美に、天然のクルマエビなどいかがでしょうか。
(2014年5月7日掲載 企画・資源利用研究課)
栽培漁業(水産資源課へのリンク)