旬のおさかな情報
アオリイカ
アオリイカ おさかな図鑑より
ここのところ、定置網、まき網ともに振るわない日が続いています。冷え込んだ冬に漁がない時、定置網ではアオリイカ、ヤリイカ、スルメイカなど、イカ類が主役になることが多いようです。
アオリイカ 南伊勢町奈屋浦 平成26年2月5日撮影
先日、ブリが悠々と泳いでいた水槽にも、アオリイカ、ヤリイカが泳いでいました。泳いでいるイカ類は市場ならではの光景で、そのまま長時間生かしておくことは難しいとされています。したがって、入札後に締めてから発送することも多いようですが、業者によっては生きたまま活魚水槽で都会へ送ることがあり、そうやって送られたイカは希少価値もあって相当良い値段がするとのこと。特にヤリイカは、今、一番よい値がする品物らしいです。
さて、「イカ」と一口で扱われることもありますが、イカにもさまざまな種類があります。味わいは、基本は「イカ」なんですが、実は種によって相当の差があります。例えば、ヤリイカはプリッとした清冽な歯触り、ケンサキイカは柔らかく濃厚なうまみ、スルメイカは歯ごたえとほのかな甘味が持ち味といえるかもしれません。そして、アオリイカ。これは個人的な体験からですが、生きたままの状態で、冷やさないで手早くお刺身にしたもののうまさは堪えられません。一方、いったん冷やして死後硬直が始まってしまうと身が固く締まって味わいが変化します。この場合は下ごしらえして1~2日冷蔵庫で寝かせるか、一旦冷凍し、解凍すると身が柔らかくなり、ねっとりとした舌触りと甘味に歯ごたえを兼ね備えた上質の身に熟成するようです。また、アオリイカは県内でよく見るイカ類の中では断トツで大きくなる種類で、大型のものは迫力満点。イカの王様たる風格を持っています。
今年はアオリイカの水揚げはまずまずのようで、志摩以南の港町の魚屋さんであれば、たいていアオリイカはおいてあると思います。一匹買えば刺身、げその天ぷらや塩茹で、炒めものなど、豪華なおかずがいくつもできますし、イカには骨がありませんので調理も比較的簡単ですから、丸ごと味わい尽くしてみてはいかがでしょうか。
(2014年2月21日掲載 資源開発管理研究課)