ちょっと高級な鰯 ウルメイワシ
ウルメイワシは主に高級な干物などに用いられる鰯で、頭が小ぶりなこと、目がとても大きいこと、体の側面に黒い斑点がないことでマイワシと区別でき、マイワシ資源の減少と対応するかのように、カタクチイワシとともに近年増加傾向があります。ウルメイワシは鮮度低下が極端に速く、志摩などの産地でも朝に獲れたウルメイワシが生のまま夕方まで売られていることはほとんどありません。大変おいしい鰯として知られ、その身は脂が少なめで、それでいて決めが細かくねっとりと口の中に絡みつくような旨味をたっぷり含んでいます。なかなか鮮魚として店頭で見かけることが少ないですが、塩ウルメと称した塩をした小ぶりのもの、20センチ近くもある大型の生のものを発見したら、迷わず「買い」です!
ウルメイワシの代表的な食べ方は、干物です。ウルメイワシを丸干しにしたものは、小さなものも大型のものもそれぞれに味わいが深く、炊き立ての白いご飯との相性が抜群です。焼き網やグリルで焼くのが一般的ですが、プライパンで焼くのも手軽でおすすめです。
また、新鮮なウルメイワシでぜひ試していただきたいのが、刺身あるいは酢締めです。刺身には大きなウルメイワシがよいと思います。もともと脂の少ない身が特徴ですが、大きなものには皮と身の間に白いさっぱりとした脂(DHA、EPAが豊富に含まれています)が乗っているため、なるべく薄く皮を引くか、そのまま皮にわずかに切れ目を入れて盛り付けましょう。酢を使っていただく場合には、小ぶりのウルメイワシなら頭をとり手開きにしたものを盛り付け、食べるときに米酢とおろしショウガに漬けて食べましょう。大型のウルメイワシなら、3枚におろした後皮にたっぷりと塩を振り、10分程度置いた後皮を手でむきましょう。その後、酢に10分程度浸してください。ウルメイワシはショウガとの相性が抜群ですので、針ショウガを添えてほしいものです。漬けすぎてしまった時には、キュウリ、ミョウガ、ワカメと一緒に酢の物にしてみてはいかがでしょう?さっぱりとした酢の物で、暑かった夏の疲れを癒してほしいものです。
その他、醤油、味噌、塩味など様々にバリエーションをつけて煮た煮付けもおいしいですよ。
イワシの手開き
イワシを食べる季節には親指のつめは若干伸ばし気味にしておきましょう。イワシは、手開きにするのが最も簡単です。包丁を使って頭と内臓を取り除き、水洗いをした後に、背骨に沿ってつめを差込み、身と背骨を離していきます。のんびりしていると、手の体温で鮮度が落ちてしまうので、ここは一気に行ってほしいものです。このようにして開いた身は、上でご紹介したレシピなど様々に応用してください。なお、ウルメイワシを真水で洗うと、写真の上の個体のように色がくすんでしまいます。下から1、2番目のウルメイワシは、真水のしぶきがかかったところが変色してしまっています。刺身にするなど、色合いを大事にしたいときには、先に塩水を作っておいてそれを洗い水にするとよさそうです。