おさかな雑録
No.81 ミズクラゲ 2013年4月1日
クラゲ多し
定置網の選別箇所に立ち寄ると、ちょうどクラゲの中から魚を抜き出す作業に苦労しているところでした。ここ1週間ほどクラゲの多い状態が続いているとのこと。より分けられたクラゲを見るとアカクラゲとミズクラゲが混じっています。漁業者にとって、クラゲは「百害あって一利なし」、まさに厄介者といえます。
南伊勢町贄浦 平成25年3月28日撮影
アカクラゲ 傘の直径 20cm 南伊勢町贄浦 平成25年3月28日撮影
アカクラゲは傘に赤褐色の放射状の模様があり、その名のとおり赤みを帯びたクラゲです。触手には毒があり、皮膚に触れると痛みやかゆみを生じるといわれます。
ミズクラゲ 傘の直径 15cm 南伊勢町贄浦 平成25年3月28日撮影
こちらはミズクラゲ。無色透明の体で、円盤の中に4つの円(生殖腺と胃)が見えることが特徴です。分類上とくに難しいことはないのですが、漁業者の呼び名が問題で、贄浦では「もちくらげ」と呼び、「みずくらげ」は、全く別のクシクラゲ類を指します。確かに、鏡餅のような体をしていますので、「もちくらげ」と聞いても「ミズクラゲ」への変換は容易なんですが、実物を見ずに聞いた通り「みずくらげ」とメモすると現実と異なる記録を残す危険があります。クラゲといえど、実物と現地の呼び名を一つ一つ確かめていくことが大切です。
ミズクラゲは内湾で発生すると言われており、熊野灘に面した贄浦には伊勢湾などからミズクラゲやアカクラゲが流れてきたと考えられます。
マンボウ 南伊勢町贄浦 平成25年3月28日撮影
こちらはクラゲの出現とは直接関係がないマンボウです。4個体の全長は、それぞれ73、77、83、87㎝で、近頃これぐらいの小型のマンボウをよく見かけます。マンボウはクラゲを食べるとも言われており、クラゲの流入はマンボウにとっては良い餌に巡り合えるチャンスかもしれません。
(2013年4月1日掲載 資源開発管理研究課)