おさかな雑録
No.71 ノクチルカ シンチランス(Noctiluca scintillans )2012年7月19日
夜光虫(ヤコウチュウ)の正体
「ノクチルカ シンチランス」 桃取水道にて2009年5月14日採集
渦鞭毛藻の仲間で直径100~2,000μmと大型です。色は透明~薄いピンク色。細胞は球形で,風船のような形をしています。殻や葉緑体はもっていません。遊泳せずに,触手をゆっくり動かす様子が観察できます。
また夜間に発光する最も代表的なプランクトンで,夜光虫とも呼ばれます。夜間に刺激を受けると青白い光を発します。
発光する「ノクチルカ シンチランス」 安乗漁港 2009年10月30日撮影
魚介類をへい死させることは稀です。ただし,細胞内に大量のアンモニアを含んでいるため,アンモニアに弱いイカなどの軟体動物に対しては有害なので,港内や濾過せず取水した生簀などには注意が必要です。三重県では春季から秋季を中心に大量発生して赤潮を形成します。
ちなみに夜光虫とよく似たイメージを持つ「ウミホタル」は,節足動物です。
大発生し赤潮となった「ノクチルカ シンチランス」水産研究所前 2010年8月4日撮影
(2012年7月19日掲載 水圏環境研究課)