おさかな雑録
No.68 ヒラマサ 2012年5月24日
似て非なるもの
ヒラマサ 尾叉長59cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年5月21日撮影
熊野灘でブリのシーズンが終わりを告げる頃、入れ替わるようにヒラマサが現れます。この2種は外見はとてもよく似ていますが、味わいや旬は大きく異なります。
ブリ 尾叉長67cm 南伊勢町贄浦 平成21年4月30日撮影
ヒラマサはブリと比べるとスマートで、体の割りに尾びれが大きく、いかにも泳ぎが得意そうな体型をしています。また、鰭や縦帯の色は黄色みが強くなります。2種を並べるとなんとなく違うように見えますが、1尾だけだとブリかヒラマサか、迷うかもしれません。
ヒラマサ 尾叉長59cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年5月21日撮影
まず、簡単に両種を見分けるには、体側の縦帯に着目します。ヒラマサでは胸鰭の基部は縦帯上に位置します。そのため、胸鰭は必ず縦帯と重なります。
一方、ブリでは胸鰭は縦帯の下側に位置し、たいていの場合胸鰭と縦帯との間に銀白色の体が見えています。この特徴は瞬間に捉えることができるため、覚えておくととても重宝します。
ブリ 尾叉長67cm 南伊勢町贄浦 平成21年4月30日撮影
じっくりと魚を確認できる場合、上顎の後端も注目すべき特徴で、ヒラマサでは丸く、ブリでは角張ります。
左 ヒラマサ 尾叉長59cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年5月21日撮影
右 ブリ 尾叉長67cm 南伊勢町贄浦 平成21年4月30日撮影
このように、じっくり見ていけば両種の区別はそれほど難しくはありません。
ヒラマサはブリと比べるとあっさりとして非常に歯ごたえのある身質をしています。そのため、〆てすぐに食べると味わいが物足りないのですが、ブリよりも身の劣化が起こりにくく、長期間熟成後に美味しさのピークがくるため、流通関係や飲食店、小売店には人気があります。また、泳ぐ力が強いために釣り人には特に人気のある魚でもあります。
ヒラマサはブリと比べると漁獲量は非常に少ないのですが、このところ比較的頻繁に水揚げがあるようです。ねらって食べることができるのは今がチャンスかもしれません。
(2012年5月24日掲載 資源開発管理研究課)