おさかな雑録
No.66 アカイカ 2012年4月12日
でっかいイカ
アカイカ 外套長40cm 南伊勢町贄浦産 平成24年2月22日撮影
市場には、エビ、カニやタコ、イカなど、魚以外のさまざまな生き物も水揚げされます。その中には、日頃目にしない種類もしばしば見られます。先日もまき網の選別場所で大きなイカを発見。第一印象はスルメイカのお化けといったものでした。半ば抱きかかえるようにしてしげしげと見つめていると、選別台の上から「このイカ、食えるのか?」という声がかかりました。食べられない種類ではないと即答したものの種名までは自信が持てず、例によって研究室に持ち帰って調べました。
アカイカ 外套長40cm 南伊勢町贄浦産 平成24年2月22日撮影
このイカは胴が比較的細長く、鰭は小さめで、スルメイカにもよく似ていますが、第3腕が振り袖のように広がっています。(上の写真、赤い矢印)。
アカイカ 触腕の大吸盤 外套長40cm 南伊勢町贄浦産 平成24年2月22日撮影
また、触腕の大吸盤には角質環上に90°ごとに大型牙状歯がみられます(上の写真の赤矢印)。これらの特徴から、このイカはアカイカということがわかりました。
アカイカは比較的深い海にすむ大型のイカで、食用としても重要な種とされています。流通名はムラサキイカやバカイカと呼ばれることもあるようです。
ちなみに、当初の質問であった「食えるのか」に対する答えとしては、「刺身や炒め物など、生でも火を通しても、普通のイカとして十分美味しい」ということがわかりました。質問者に伝えると、「干物でもうまかった」とのことでした。
なお、三重県の産地市場で「あかいか」というと、このアカイカとは全く別種のケンサキイカのことを指します。ケンサキイカは味も値段も最高級なので、このアカイカだと思って注文したら、高いやら美味しいやら、いろいろと驚くことになるかもしれません。まあ、本当のアカイカはまずお目にかかることはないと思いますが・・・。
(2012年4月12日掲載 資源開発管理研究課)
おさかな図鑑 スルメイカやケンサキイカの画像はこちらを参照ください