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平成23年10月07日

おさかな雑録

No.56 ヨコワ(クロマグロ幼魚) 2011年10月14日

マグロの幼魚

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ヨコワ 標準体長36.7cm 南伊勢町贄浦産 平成23年9月12日撮影

 クロマグロは春に産卵し、熊野灘では夏に幼魚が来遊し成長します。白い破線状模様が体の背腹方向に周回していることから、ヨコワと呼ばれます。クロマグロの成長は著しく早く、秋には味わいも増してヨコワとしての旬を迎えます。また、クロマグロは近年養殖が盛んに行われていますが、その種苗の一部として、夏にヨコワを漁獲して利用しています。

  マグロ類の中で熊野灘に出現するものは、クロマグロのほかにキハダがあります。キハダの幼魚はシビコとかキメジなどと呼ばれ、市場ではヨコワとは明確に区別されています。

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シビコ 標準体長33.2cm 南伊勢町贄浦産 平成23年9月12日撮影

 といっても、数十センチメートル程度の幼魚では成魚の特徴が現れておらず、図鑑では胸鰭の長さや体の模様で区別できると書いてあるものの、胸鰭の長さはどちらか一方の種しかない場合には判断に迷う可能性があり、体の模様ははっきり現れていないことも多いため、現場での区別は結構難問といえます。実は筆者もいろいろと悩んでいたところ、このほど両種を見比べる機会に恵まれました。実は写真を見比べれば一目瞭然なのですが、胸鰭の先端の形がポイントになります。すなわち、とがっていればヨコワ、丸く広がっていればシビコで、これだと一匹しかなくても判断は容易です。 なお、写真では腹側が青く光っているものがありますが、これは筆者の着衣の色が反射しているもので、本来は銀白色です。

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ヨコワ(左)南伊勢町奈屋浦産、シビコ(右)南伊勢町贄浦産 矢印は胸鰭先端 

 平成23年9月12日撮影

 マグロ類の成魚は体型や胸鰭の長さ、背鰭や臀鰭の長さや色、目の大きさ等によって区別します。和歌山県那智勝浦町ではマグロ延縄漁船の水揚げが盛んで、クロマグロ、キハダに加え、暖水性の強いメバチも見られます。参考までに成魚の写真を掲載しておきます。

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クロマグロ 和歌山県那智勝浦町産 平成21年6月2日撮影

特徴:胸鰭や背鰭、臀鰭が短い。体は黒みを帯びる。

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メバチ 和歌山県那智勝浦町産 平成21年6月2日撮影

特徴:胸鰭は長く第2背鰭基部を超える程度。目が比較的大きく、体型は丸っこい。

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キハダ 和歌山県那智勝浦町産 平成23年8月10日撮影

特徴:第2背鰭と臀鰭が伸張し黄色い。胸鰭は長いが第2背鰭基部を超えない。体は黄色みを帯びる。

 ところで、今回紹介したシビコの胸鰭の形ですが、上の成魚の写真をみるとその特徴が消失しています。丸い形がいつ発現していつ消失するのか、はっきりしたことは言えませんが、少なくとも標準体長30cm程度では頼りにして良い特徴と考えられます。

 (2011年10月14日掲載 資源開発管理研究課)

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