おさかな雑録
赤いハンマー? 白いハンマー?
鈴鹿水産研究室前の砂浜海岸に打ち上げられていたサメの幼魚を,市民団体の方が持ち込んでくださいました。死後数日たっているため,新鮮なものではありません。 奇天烈な頭の形を持つシュモクザメ科,日本では3種類が知られています。
シロシュモクザメ 白子海岸 平成23年1月11日撮影
これはシロシュモクザメでした。アカシュモクザメは吻の前縁(口の前の縁)の中央部が凹んでいます。ほかの違いは,第二背鰭基底長<臀鰭基底長であればアカシュモクザメ,背鰭基底長≒臀鰭基底長だとシロシュモクザメになります。このシュモクザメ,なんど測定しても第二背鰭基底長<臀鰭基底長でした。アカ? シロ? どっち??? と悩んでしまいました。
*鰭基底長:鰭基部(付け根)の長さ
シロシュモクザメの頭部と第二背鰭と臀鰭 平成23年1月11日撮影
同僚らは背鰭基底長と臀鰭基底長の問題があるけど,頭部の特徴から,シロシュモクザメだろうとのこと。更に,サメの専門家である長崎大・山口先生から「シロシュモクザメ」と判定をいただいたので,納得できました。
シロシュモクザメの口 平成23年1月11日撮影
意外に思われるかもしれませんが,伊勢湾にもサメはいます。多くのサメの歯はとても鋭くて,なぞるだけで指を傷つけます。散歩や潮干狩りで打ち上げられたサメを目にした際,「小さくて死んでいたとしてもサメの口には気をつける」,覚えておくと良いです。
「サカナと口がきけたらなぁ」と思うことがあります。名前が分からないサカナには「君の名前は?」,病気のサカナには「どこが悪いの,症状は?」,突然,豊漁になったサカナには「親が多かったから?」と・・・。これらに答えてくれると,謎は随分解決します。でも,サカナが知能を持っていることになり,とてもややこしいコトになりそうです。
(2011年4月7日掲載 鈴鹿水産研究室)