おさかな雑録
この魚、珍しいのだろうか?
マンボウ(?)、ヤリマンボウ 南伊勢町贄浦産 平成22年11月5日撮影
市場で何気なくマンボウ類の入ったコンテナを見て、いやにゴツゴツとした姿が目に付きました。最新の研究によってマンボウが複数の種を含むことが明らかになっており、そのうちの1種には新たにウシマンボウという和名が付けられています。ひょっとするとこれがウシマンボウかとカメラを構えたところ、今度はもう1尾のマンボウ類の肌がやけにピカピカときれいなことが気になりました。何か変だぞと体の後ろ(マンボウ類では尾鰭ではなく、背鰭と臀鰭が変化したもので、舵鰭と呼ばれる)を見ると、少し後方に突出しています。なんと、これがヤリマンボウだったのかと驚きました。自分のイメージでは、もっと細長く、それこそ槍のようにとがっていると思っていたので、むしろ拍子抜けしたのです。これでは今まで見ていたとしても気がついていないかもしれないなあと思いました。
マンボウ 平成22年11月11日撮影 ヤリマンボウ 平成22年11月26日撮影
そして後日、今度は2尾のヤリマンボウがコンテナに入っていました。立て続けに目にしたわけですから、今まで見逃していたのかもしれないとの思いはますます強くなりました。魚屋さんに少しお話を伺うと、やはりちゃんと見分けて区別しており、「ミズマンボウ」と呼んでいるとのこと。また、ヤリマンボウはマンボウに比べると目にする機会が少ないそうです。ヤリマンボウ、自分としては確かに初めて出会ったと感じた魚ではありますが、実は何度も目の前を通り過ぎていたかもしれません。これまで見たことがないといっても、それが珍しいかどうかの判断は容易ではないというよい経験になりました。
ヤリマンボウ 全長110cm 南伊勢町贄浦産 平成22年11月26日撮影
なお、当初頭をよぎったウシマンボウについては、資料も手元になく、魚体はヤリマンボウの下に重なっていてよく確認することができなかったため、今回は検討を見送っています。
マンボウ 南伊勢町贄浦産 平成22年11月11日撮影
(2010年12月3日掲載 資源開発管理研究課)