おさかな雑録
No.28 クサヤモロ 2010年8月27日
くさやと名がついても臭くないですよ
クサヤモロ 標準体長17cm 南伊勢町奈屋浦産 平成21年7月16日撮影
クサヤモロ 標準体長29cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年5月12日撮影
くさやは臭い食べ物として有名ですが、その名を冠した魚がクサヤモロです。クサヤの本場では重要な加工原料となりますが、志摩度会海域においては、夏場に幼魚が混獲されることがある程度で、あまり頻繁に見かける魚ではありません。
クサヤモロ 標準体長29cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年5月12日撮影
クサヤモロ 標準体長29cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年5月12日撮影
クサヤモロ 標準体長16.2cm 南伊勢町産贄浦産 平成21年9月2日撮影
クサヤモロは頭頂の鱗の範囲が目の中央より前方に達すること、体側中央に青色縦帯があること、尾鰭の後半が黄色みを帯びること、稜鱗が側線直走部の後半分を覆うことで区別できます。なお、体側中央の青色縦帯は、死後不明瞭になることが多く、水揚げ直後でないとわかりにくいかもしれません。また、特に幼魚の尾びれの色はモロと似ていることがあるため、両者の区別には頭頂部の鱗および側線直走部の稜鱗を確認することをお勧めします。
くさやは魚を発酵した調味液に漬け込んで干物にしたもので、伊豆諸島が産地として有名です。くさやの原料となる魚はアジ類が使用されることが多く、とくにこのクサヤモロが重用されるようです。くさやは独特のにおいが強く、食べ慣れない人にとってはしばしば抵抗感を生ずることがあるほどですが、これは漬け込む調味液のもので、クサヤモロのにおいではありません。 三重県内ではくさやは生産されないので、クサヤモロもごく普通の干物などに加工されます。(2010年8月27日掲載 資源開発管理研究課)