おさかな雑録
青いアジ
マルアジ 標準体長22.7cm 志摩市安乗産 平成22年6月25日撮影
マルアジはもっともマアジに似ている、いわゆるアジらしい姿をした魚です。漁獲量も、私たちが目にする機会も比較的多く、マアジではないアジの代表格といえるのではないでしょうか。マアジとマルアジ、両種は一見すると確かによく似ているのですが、市場の評価ではマルアジはかなり低く、青アジと呼ばれ選別も厳密に行われます。一般にもマルアジという標準和名より青アジという呼び名の方が通りがよいかも知れません。
マルアジ 標準体長8.8cm 南伊勢町贄浦産 平成22年7月16日撮影
マルアジの特徴は、小離鰭があること、稜鱗は側線直走部の全体を覆うこと、胸鰭は第2背鰭起部直下に達すること、頭頂部の鱗の範囲は目の中央より前方に達すること、体型はマアジに比べやや円筒形に近いことです。とはいえ、10cm足らずの魚ではマアジとマルアジは本当によく似ていて、これらを正確、迅速に選別するのは慣れないと難しいと感じます。名前に青と付いているように、背側面は緑がかった青色のこともありますが、体色は変化しやすいもの。色だけにとらわれると間違う可能性が高くなります。特にマアジとは尾柄部にある小離鰭、あるいは体側の稜鱗の範囲を確認するのが見分けるコツです。
マルアジ 標準体長8.8cm 南伊勢町産贄浦産 平成22年7月16日撮影
ところで、マルアジの属するムロアジ属は日本近海に7種生息するといわれています。他のムロアジ属は体型が細長いものや、特徴的な色彩を持つものが多く、ほとんどの種はマアジやマルアジとは一見して容易に区別できます。これからしばらくの間、ムロアジ属を含むアジ科の魚を重点的に紹介していきますのでお楽しみに。
(2010年8月3日掲載 資源開発管理研究課)