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平成22年07月21日

おさかな雑録

No.25 アカアジ 2010年7月21日

珍しいアジ

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アカアジ 標準体長9.0cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年7月8日撮影

 一般にアジというと、「マアジ」を指しますが、県内の市場にはマアジ以外のアジ科の魚が何種類か水揚げされます。「マアジ」でないアジ科魚類は市場価値が低いものが多く、スーパーなどの店頭でみかけることもあまりありませんが、マアジと同じように春から夏にかけて熊野灘に幼魚が来遊します。夏はマアジだけでなく、アジ科の魚類全般がにぎわいを見せる季節といえるでしょう。

 さて、先日まき網の選別場所でこれまで見たことのないアジ科魚類を見つけました。尾柄をみると、背鰭と臀鰭の最後がその直前と離れる、「小離鰭」を持っています。この特徴をもつ魚はムロアジ属である可能性が高いのですが、ムロアジ属に思い当たる種がありません。持ち帰って調べるとやはりムロアジ属で、インドマルアジという、本州では比較的珍しい種であることが分かりました。(後にアカアジの幼魚と判明しました)#

アカアジ 南伊勢町奈屋浦産 平成22年7月8日撮影

 インドマルアジの特徴は、頭頂にある鱗の範囲が目の中央を結ぶ線に達しないこと、稜鱗は側線直走部を全て覆うこと、胸鰭先端が第2背鰭起部直下に達することとされています。

 このほか、この個体が幼魚であるからかもしれませんが、体はやや黄味を帯びて7から8本の暗色横帯があり、胸鰭や尾鰭は黄色を呈しています。この色彩がよく目立つため、一緒にしてあった他のムロアジ属の幼魚よりも、むしろ体型の大きく異なるギンガメアジの幼魚と似ていると感じました。ギンガメアジはギンガメアジ属に属し、成魚は大型で体高が高くムロアジ属とは大きく異なるグループです。また、このような模様は幼魚の時だけに現れる特徴として知られています。インドマルアジこの魚も幼魚の時だけ成魚とは異なる色彩をもつのか、成魚もこのような色彩になることがあるのか、ぜひこの目で確かめたい。今後の市場調査に楽しみがひとつ増えました。#

ギンガメアジ 標準体長7.6cm 南伊勢町奈屋浦産 平成22年7月8日撮影

(2010年7月21日掲載、10月7日訂正 資源開発管理研究課)

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