おさかな雑録
No.17 クロマグロ 2010年3月29日
熊野灘北部にクロマグロ来遊
平成22年3月26日撮影
熊野灘北部の贄浦定置網でクロマグロが水揚げされました。40キログラム程度で、クロマグロとしては決して大きなものではありませんし、クロマグロ自体それほど珍しい魚でもないのですが、やはりその存在感は大きなものがあります。近隣の奈屋浦や錦も含めると、数日間で10尾弱入網したようなので、ほんのささやかではありますが、熊野灘北部のマグロフィーバーといったところでしょうか。
平成22年3月25日の海況
さて、クロマグロが来遊したのには理由があって、主としては海況の変化があげられます。かなり長い間冷たい水に覆われていた熊野灘北中部にも黒潮からの暖水が流入し、短期間で海況ががらりと変わりました。クロマグロはこの暖水とともに熊野灘を北上したと思われます。この暖水流入によって熊野灘沿岸各地ではブリの入網など、漁模様に変化が認められました。が、暖水に一様に覆われてしまうと変化のない海況となり、定置網の漁は振るいません。定置網は自ら動くことができないため、「潮が動く」ことが重要で、海況頼みの「待ち」の要素が強い漁業といえます。
(2010年3月29日掲載 資源開発管理研究課)