おさかな雑録
親イカナゴ漁の解禁打ち合わせ
伊勢湾のイカナゴ(コウナゴ)といえば,幼魚を対象にした春の漁獲が有名ですが,冬には鳥羽市の漁業者がすくい網と船曳網で体長8~14cmほどの親魚を漁獲します。このうち船曳網漁業では毎年,必ず試験操業をして“親魚の産卵終了”を確認してから解禁しています。産卵前の親魚を漁獲してしまうと,春のイカナゴ漁に甚大な影響を及ぼすので,資源管理のため重要な確認作業といえます。
「打ち合わせ」と「確認後のサンプル」 平成22年1月25日撮影
その打ち合わせが,1月25日に鳥羽市で行われました。伊勢湾のイカナゴは三重県・愛知県の漁業者が中心になって資源管理されているため,当日は三重県だけでなく,愛知県の漁業関係者も参加します。
伊勢湾口付近の“出山”と“鯛ノ島”で朝に試験漁獲された魚が,打ち合わせの部屋に持ち込まれ,三重・愛知の両県職員が解剖していきます。産卵が終了し解禁となる基準は『産卵済みメスの尾数/メスの尾数=8割以上』です。当然,漁獲物にはオスも含まれるので,“お腹が空っぽ=産卵済みメス”ではありません。慎重に適切に判断していきます。 漁業者は「結果はまだか?」といった様子で解剖をみていますが,焦りは禁物です。
「産卵前メス:卵ぎっしり」と「産卵後メス:わずかな卵が残る」 平成22年1月25日撮影
「放精前オス」と「放精後オス:メスと違い白い線状の組織に」 平成22年1月25日撮影
解剖結果を鈴鹿水産研究室のイカナゴ担当者が両県の漁業者に説明し,親イカナゴの解禁日が話し合いによって決められます。そのほか終漁日や1隻あたりの漁獲量の制限も確認されます。このように両県職員と漁業者によって,イカナゴを枯渇させないための取り組みがなされています。
(2010年1月26日掲載 鈴鹿水産研究室)