おさかな雑録
No.4 イカナゴ資源管理 その1 2010年1月21日
イカナゴの資源量を推定する調査
伊勢・三河湾のイカナゴ漁業(冬期の親イカナゴ漁業は除く)の解禁の目安は,体長が35mmになる時で,例年3月初め頃です。 *イカナゴ=地方名ではコウナゴ・小女子
漁業者・加工業者はもちろん,資源管理を進めている国・県も,解禁日設定や漁模様の予想のために,『今年は多そうなのか? 成長はどうなのか?』がとても気になります。 1月初旬から2月下旬にかけて,解禁前のイカナゴの資源動向を把握し,関係者に提供することは,この時期の三重県水産研究所鈴鹿水産研究室と愛知県水産試験場漁業生産研究所の大切な仕事になっています。
三重県と愛知県の両水試は重複しないように調査日程を調整,三重県では原則月1回の伊勢湾観測と併せて行っています。通常の観測は1日で終わるのですが,イカナゴ仔稚魚を採集するためのボンゴネットを曳網するので,2日を要する行程です。
「ボンゴネット投網」と「船上でのサンプル処理」 平成21年2月6日撮影
今年の三重県による調査は1月15日が初日でした。船上にてアルコールで保存されたサンプルを研究室に持ち帰り,イカナゴ仔稚魚を手作業で選別します(ソーティング作業)。まだ『糸くず』の様に小さいので,様々なプランクトンや他の仔稚魚から仕分けるのは根気のいる作業になります。
「ソーティング作業」と「ソーティング前のサンプル・○内がイカナゴ」 平成22年1月16日撮影
近年は,伊勢湾産イカナゴのファンも増えてきているように感じます。周囲でも家庭で『くぎ煮』に加工して『春の味』を楽しむ方が増えてきています。漁業関係者はもちろんこのような伊勢湾の魚を愛する方々のためであれば・・・と思えば,鈴鹿おろしが吹き荒れる海上作業や研究室でのソーティング作業も少しは楽になります。
「イカナゴ仔稚魚」と「ソーティング後のサンプル」 平成22年1月16日撮影
(2010年1月21日掲載 鈴鹿水産研究室)