平成21年2月18日
イカナゴ情報(H21-2号)
三重県水産研究所
鈴鹿水産研究室
2月5日~6日に伊勢湾全域において、イカナゴ仔魚の採集調査を実施しましたので、その概要を報告します。
図1に各測点における仔魚採集尾数を示しました。今回の調査(図右側)では、前回愛知水試が1月28日~29日に行った調査(図左側)と同じくイカナゴ仔魚はほぼ湾全域で採集されています。しかし、今回は湾外や湾口付近での採集はほとんど無く、後続群は見られませんでした。
図1 ボンゴネットによるイカナゴ仔魚採集量(図中の単位は尾/m2)
今回湾内で採集された仔魚の平均体長は16.3㎜で、1月28日~29日に愛知水試が採集した平均体長11mmと同じ群が成長したものと見られます。図2に体長組成を示します。
図2 採集されたイカナゴ仔魚の体長組成
今回湾内全測点の平均採集尾数は1尾/㎡で、2月上旬としては平成4年(1992年)以降で最も少なくなっています(表1)。仔魚が湾全域に拡散した時点の採集密度は今年1月下旬で3尾/㎡でした。これは昨年(1月中旬:55尾/㎡)、一昨年(1月中旬:228尾/㎡)をかなり下回っています。
イカナゴ仔魚の体長も10mmを超えると、採集に使用したボンゴネットから逃避するようになって、採集数は少なくなりますが、このことを考慮しても今期の仔魚の出現数はかなり少ない模様です。
表1 ボンゴネットによる仔魚採集量(湾内全点平均値)
表2にボンゴネットによる仔魚採集量とその年の新仔漁への加入量(尾数)の関係を示します。仔魚採集量は分布密度、湾内定着時期のE、M、Lは上、中、下旬を、Jan.は1月、Feb.は2月を表します。また分布密度と加入量のグラフと関係式を図3に示します。この関係式に今年の分布密度を代入すると84億尾となりますが、他の状況も考慮すると今年の新仔加入量は40億から50億尾程度ではないかと考えられます。
表2 ボンゴネットによる仔魚採集量と加入量の関係(加入量予測データ)
図3 仔魚採集量と新仔加入量の関係(1990-2008)
図4に昨年(上段)と今年(下段)のボンゴネットによるイカナゴ仔魚採集状況を示します。今年は昨年よりも数が少ない状態で推移しています。
図4 1月中旬から2月上旬の仔魚採集尾数の比較(図中の単位は尾/m2)
上段:2008年(平成20年)、下段:2009年(平成21年)