伊勢湾貧酸素情報
平成20年度貧酸素情報
(第4報)
平成20年11月7日
三重県水産研究所 鈴鹿水産研究室
例年ではすでに解消しているはずの底層の貧酸素水塊は,津市から鈴鹿市の沿岸部(水深20m付近)を中心に分布している。1ppm以下の無酸素状態や硫化水素の発生もみられる。
11月6日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表層で18.6~20.8℃,10mで19.5~22.3℃,底層で20.4~22.8℃の範囲にあり,平年値と比較すると全層で1~2℃程高くなっている。塩分は表層で26.63~32.06,10mで30.21~32.39,底層で30.91~33.92の範囲にあり,平年値並みかやや低くなっている。
DO(溶存酸素量)は表層で7.5~10.1ppm,10mで3.6~8.4ppm,底層で0.1~7.3ppmの範囲にあり,底層の湾中央から三重県側を除いて平年値よりもやや高くなっている。
底層の貧酸素水塊(DO値2ppm以下)の範囲は先月3日の時点(下図左参照)と比較してかなり縮小しているが(下図右参照),津市(贄埼前)から鈴鹿市(白子前)にかけて低い部分が残っている。一部の観測点では底層で採水した際に強い硫化水素臭がした。
今後は,天候の悪化や季節風による擾乱で貧酸素水塊は解消に向かうとみられるが,その過程で海水の上下混合や沿岸浅所への波及があると,硫化水素が魚介類に悪影響を及ぼして衰弱やへい死が発生する可能性があり,注意が必要である。
*本年度は愛知県水産試験場と協力して貧酸素情報を収集しております。愛知水試ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/suisanshiken/でも画像を見ることができます。
溶存酸素量(10月3日) |
溶存酸素量(11月6日) |