漁海況長期予報
2025年 1~6月までの予測
12月19~20日に、北海道から鹿児島県までの各都道県水産研究機関および水産研究・教育機構が海況・漁況に関する情報を持ち寄り、今後の見通しを立てましたので、その概要を紹介します。
(予測対象)海況および熊野灘のマイワシ、ウルメイワシ、さば類、マアジの漁況
海況
黒潮は大蛇行が継続し、流路はA型基調で推移するでしょう。
熊野灘沿岸の水温は「平年並」~「高め」で推移し、黒潮の接近など暖水の波及時には「かなり高め」となる見込みです。
【解説】 12月下旬現在、黒潮は遠州灘沖の30°N付近まで南下し、御前埼沖を北上して、御蔵島付近を通って北東へ流去しています(A型:大蛇行流路)。 今後は、黒潮系暖水が波及しやすい状況が続くと予測されることから、熊野灘沿岸の水温は「平年並」~「高め」で推移すると予測されます。また、黒潮の接近や内側反流の波及など、暖水の影響が強まったタイミングでは、一時的に「かなり高め」となる見込みです。 |
マイワシ
14cm以上の1歳以上を主体に、来遊量は低水準で推移するでしょう。
【解説】
10年平均(7,400トン)を大きく下回りました。8月と11月にウルメイワシに混じって、ややまとまって漁獲さ
れ、漁獲主体は12~16cm(被鱗体長)でした。本海域における漁獲量は2020年から減少し続けており、今期も
黒潮大蛇行の影響による来遊条件の悪化が継続することにより、産卵親魚の来遊が減少し、来遊量は低水準と予測されます。
ウルメイワシ
【解説】
2024年7~11月期の中型まき網による漁獲量は2,889トンで、前年同期(2,636トン)および同期過去10年平
均(3,057トン)並で、漁獲主体は11~18cm(被鱗体長)でした。前期の漁況から、来遊量は2歳以上では前年
を上回り、1歳魚では前年並と判断されることから、総じて前年並~上回ると予測されます。
さば類
ゴマサバは30~40cmの2歳以上が主体に漁獲され、来遊量は低水準で推移するでしょう。
【解説】
2024年7~11月期の中型まき網によるマサバの漁獲量は20トンと期間を通じてまとまらず、前年同期(2ト
ン)を大きく上回り、同期過去10年平均(612トン)を大きく下回りました。漁獲主体は、18~24cm(尾叉
長、以下同じ)および31~33cmでした。ゴマサバの漁獲量は736トンで、前年同期(1,216トン)を下回り、
同期過去10年平均(1,989トン)を大きく下回りました。漁獲主体は、22~29cmおよび35~37cmでした。今
期も黒潮大蛇行が継続し、黒潮続流(千葉以東の流れ)の北偏など海況の影響を強く受けることが見込まれるた
め、マサバの来遊量は低水準と予測されます。ゴマサバは資源量が低水準であるため、今期の来遊量は低水準と
予測されます。
マアジ
解説
2024年7~11月期の中型まき網による漁獲量は427トンで、前年同期(170トン)を大きく上回り、同期過去
10年平均(397トン)並でした。漁獲主体は、12~14cm(尾叉長、以下同じ)および19~21cmでした。前期
の漁況から、来遊量は1歳魚では前年並~上回り、2歳以上では上回ると判断されることから、総じて前年を上回
ると予測されます。
※ 今回の漁海況長期予報のうち、海況とマイワシについては、3月下旬頃に見直しを行い、再度2025年4~7月分の予報を行う予定です。
参考サイト
我が国周辺の水産資源の現状を知るために(資源評価結果や各海域の長期予報が掲載されています)