第1回ブリ標識放流の再捕状況
水産研究部 資源開発管理グループ
結果の概要
学会報告(講演要旨)
2004年3月12日の放流後2ヶ月以内に10尾中の6尾が熊野灘の定置網で再捕されました(表1の通り)。うち2尾は現場漁業者および関係者のご理解、ご協力によって再放流することができました。回収された2個体のデータを解析し、夜間は表層近くを遊泳し、明け方に潜って日中は深場基調で遊泳していることが多いという結果が得られました。結果の一部を図1に示します。
放流後1年近く経過した2005年2月28日に熊野灘北部の阿曽定置で再捕報告がありました。その後、さらに4尾の再捕報告があり、そのうち1尾は2004年3/16に早田沖で再放流した個体でした。3/23にも阿曽定置で再捕があり、これで放流した10尾中10尾(のべ11回)が再捕されました。
放流後2年近く経過した2006年3月7日に高知県室戸市佐喜浜定置から2尾の標識ブリの再捕報告があり、そのうち1尾は2004年4月15日に三重県の島勝定置で再放流したブリであることが判明しました。もう1尾は2005年3月24日に片田沖で放流(第3回調査)した個体でした。
これで第1回の調査で放流した10・ヘ全て回収されました(のべ12回)。
表1.2004年3月12日に志摩半島片田沖で放流したブリの再捕記録一覧
再捕日 | 経過日数 | 再捕場所・漁法 | 備考 |
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2004.3/16 | 4日 | 尾鷲市早田定置 | 3/16早田沖にて再放流 |
2004.3/17 | 5日 | 紀勢町錦定置 | タグセンサー破損 |
2004.3/23 | 11日 | 和歌山県宇久井定置 | データ回収済み(下図) |
2004.4/4 | 23日 | 和歌山県宇久井定置 | データ回収済み |
2004.4/15 | 34日 | 海山町島勝定置 | 4/15島勝沖にて再放流 |
2004.4/22 | 41日 | 南島町方座定置 | タグ不良 |
2005. 2/28 | 353日 | 南島町阿曽定置 | 下に魚体の写真 |
2005. 3/7 | 360日 | 南島町阿曽定置 | 2004.3/16再放流個体 |
2005. 3/11 | 364日 | 志摩市片田定置 | 放流漁場で1年後再捕 |
2005. 3/11 | 364日 | 尾鷲市早田定置 | データ回収済み |
2005. 3/23 | 376日 | 南島町阿曽定置 | これで全10個体が再捕 |
2006. 3/7 | 725日 | 高知県室戸市 佐喜浜定置 |
2004.4/15再放流個体 |
以下の写真は約1年ぶりに再捕された標識ブリの様子です。
2005年2月28日に阿曽定置網で再捕された標識ブリ。放流時の8kg級(尾叉長77.9cm)から体重10kg(82.5cm)に成長しました。 | |
(背側の様子) 放流時に背鰭の両側に付けた黄色いダートタグは脱落していました。 傷口は完治し、形跡も見られませんでした。 |
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(腹側の様子1) 腹腔内に埋め込み手術をしたアーカイバルタグは脱落することなく、傷口も完治していました。 センサー部分は放流時と同じ状態で、体外へ出ていました。 |
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(腹側の様子2) 腹腔内のタグ本体には膜が厚く覆っていました。精巣(写真の白い部分)をやや圧迫していましたが、内臓など体内に異常は特に見られませんでした。 |