2004年03月12日
アーカイバルタグ(記録型標識)を装着したブリを放流しました
水産研究部 資源開発管理グループ
ブリの標識放流について
ブリの回遊生態に関する調査研究は、日本海側では北陸三県を中心にデータ記録式のアーカイバルタグを用いた調査が実施されていますが、太平洋側ではこれまで同タグを用いた調査は行われていませんでした。
本調査は、三重県科学技術振興センター水産研究部と水産総合研究センター中央水産研究所黒潮研究部が共同で行い、太平洋側を南下するブリに同タグを装着して放流することにより、本種の回遊状況を明らかにしようとする初めての調査です。
アーカイバルタグには回遊中の水温、水深、照度が記録され、これらの情報から位置を推定することが可能で、その魚の回遊経路を知ることができます。
ブリは日本海側の対馬暖流系群と太平洋側の太平洋系群に分けられ、日本海側における過去の調査では、大型ブリの多くは春期に九州西方へ産卵のために移動した後、日本海へ戻ることが明らかになっていますが、本調査では、太平洋側におけるブリの南下回遊経路や産卵場を明らかにすることを目的とします。
今回の放流状況
3月12日の朝、志摩町片田沖の大型定置網に入網した尾叉長80cm前後のブリ10尾を用いました。アーカイバルタグを装着後、12:30に片田漁場の南西約2km沖にて放流しました。標識ブリには腹側にセンサーの出たアーカイバルタグ、背中側に黄色い矢尻型のダートタグ2本が付けられています。
報告のお願い
標識の装着されたブリを漁獲された場合には、以下の項目について報告お願いします。可能であれば魚体を冷蔵保存して下さい。その魚の年齢、性別、成熟度を調べます。
- 漁獲年月日
- 漁獲場所(可能であれば緯度、経度)
- 標識の番号(アーカイバルタグはケーブルを切断せずに保管お願いします。)
- 漁具・漁法
- 尾叉長と体重(可能であれば魚体を冷蔵保存して下さい。買い取り致します。)
- 漁獲された方のお名前、住所、電話番号(記念品をお送りします。)
連絡先 …標識ブリを漁獲されましたら、ご連絡お願いします。
三重県科学技術振興センター 水産研究部 資源開発管理グループ
〒517-0404 三重県志摩郡浜島町浜島3564-3
Tel:0599-53-0016、Fax:0599-53-2225
2004年3月12日、片田定置網に入網したブリ。 朝の操業では8~9kgの大型ブリが約120尾、4.5~5kgのワラサ級が約860尾入網しました。 この中の大型ブリ10尾にアーカイバルを装着しました。 左の写真は昼の操業での様子です。 |
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(標識装着作業1) ブリの尾叉長を測定した後、アーカイバルタグを装着するために、メスでお腹を切ります。 麻酔はしていません。 |
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(標識装着作業2) 腹腔内にアーカイバルタグを埋め込みます。 タグの本体部分を体内へ入れます。 センサー部分は体外へ出ています。 |
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(標識装着作業3) タグの脱落防止および傷の早期回復のため、縫い合わせます。 |
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(標識装着作業4) 余分な糸を切り、アーカイバルタグの装着作業は約1分で終了。 |
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(標識装着作業5) 背中にも目印となる黄色いダートタグをつけて、放流します。 |