経肛門投与したアジュバント添加Edwardsiella tarda粗リポ多糖に対するマダイの免疫応答
平成15年度日本水産学会大会 講演要旨
河原栄二郎・緑川真知子・北吉直子・楠田理一(福山大生命工)
・田中真二(三重科技セ)
【目的】マダイの腸管免疫を明らかにするため、E.tarda粗リポ多糖(LPS)にアジュバントを添加して経肛門投与し、抗体価と補体活性、腸管と頭腎白血球の殺菌活性について調べた。
【方法】罹病マダイ由来のE.tarda株を培養後、フェノール-水法でLPSを抽出するとともに、ホルマリン不活化菌体(FKC)を作製した。体重約30gのマダイにLPSをアジュバント添加あるいは無添加で経肛門投与した。また、LPSおよびFKCを腹腔内接種して比較した。対照区にはPBSを経肛門投与した。2および4週後、FKCを用いて血中の抗体価を、またウサギ赤血球を用いて補体活性を測定した。腸管と頭腎白血球の殺菌活性はFKCを用いてNBT還元法で測定するとともに、PMAで刺激して、フローサイトメーター(FACS)で分析した。
【結果】免疫2および4週間後、抗体価はアジュバント添加および無添加のLPSの経肛門投与区よりもLPSおよびFKCの腹腔内接種区で高い値となった。補体活性はアジュバント添加LPSの経肛門投与区で高くなった。また、腸管および頭腎白血球の殺菌活性はNBT還元法では、いずれの経肛門投与区および腹腔内接種区ともに対照区と比較して高い傾向を示し、とくに免疫2週間後のアジュバント添加LPSの経肛門投与区で高い値となった。FACS分析では免疫2週後に、アジュバント添加LPSの経肛門投与区で殺菌活性の強い頭腎白血球集団が認められた。したがって、アジュバント添加LPSの経肛門投与は、とくに補体活性および頭腎白血球の殺菌活性を上昇させると考えられる。