平成17年2月18日
イカナゴ情報(H17-3号)
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
2月14~15日に伊勢湾全域において、イカナゴ仔魚の採集調査を実施しましたので,その概要を報告します。
図1に各測点における仔魚採集尾数を昨年同時期のものと比較して示しました。前回同様、イカナゴ仔魚はほぼ湾内全域の測点で採集されましたが、湾内全測点の平均採集尾数は前回調査時(16尾/m2)より減少し3尾/m2となりました(表1)。
図1 ボンゴネットによるイカナゴ仔魚採集量(単位は尾/m2)
表1 ボンゴネットによる仔魚採集量(湾内全点平均値)
湾央~湾口域では体長5~8㎜の新たな加入群が採集され、湾口部ではふ化直後の仔魚も未だに採集されましたが、その数は多くありませんでした。湾央~湾奥では10~25㎜の大型の仔魚がまばらに採集されました(図2)。この大きさの仔魚は成長に伴いだんだんとボンゴネットでは採集できなくなるため、ボンゴネットを使った今回の調査では湾奥に分散した初期加入群の主群のサイズや量的な評価はできませんでした。
伊勢湾内の水温は平年より1~2℃高めで推移しており、ボンゴネットに混入するプランクトンの状況から餌条件も良好と考えられ、イカナゴ仔魚の成長速度は平年より早いことが予想されます。
図2 採集されたイカナゴ仔魚の体長組成
過去、湾内に仔魚がほぼ定着した段階のネットによる湾内平均採集量とその年の加入尾数との間には図3のような関係があります。これに今期の1月下旬の採集量(16尾/m2)を当てはめると、初期資源尾数は90億尾となり、今期の漁況は近年では低水準となると予想されました。しかし、今期の漁況予測は、後期加入群の加入水準の評価が難しいため、例年よりも不確定要素が大きいと考えています。
図3 仔魚分布密度と新仔加入量の関係
今期は高水温の影響で産卵期が長期化した結果、仔魚の加入に大きなピークを見いだすことが難しい状況です。今漁期の漁獲対象の主群を慎重に見極め、試験曳きの日程を調整する必要があると考えます。