伊勢湾貧酸素情報
平成19年度貧酸素情報
(第4報)
平成19年9月26日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
湾中央部深所を中心に広範囲にわたって1ppm以下の貧酸素水塊が形成されている。その範囲は昨年同期より狭いが,平年同期に比べて広い。
9月25日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表層で26.3~28.7℃,10mで25.2~26.2℃,底層で21.7~26.2℃の範囲にあり,全層ともやや高めから高めであった。塩分は表層で16.16~30.74,10mで29.75~31.98,底層で29.01~33.57の範囲にあり,表層で平年並みからやや高め,10mで平年並みからやや低め,底層で平年並みであった。
DO(溶存酸素量)は,表層で4.6~11.0ppm,10mで1.8~6.8ppm,底層で0.1~5.5ppmの範囲にあり,表層では平年並みからやや高め,10mではやや低めから高めであった。
底層では16測点のうち10測点で2ppm以下の貧酸素水塊が観測された。四日市沖と伊勢湾口部をのぞいた伊勢湾のほぼ全域が貧酸素状態となっており,貧酸素水の範囲は平年に比べてかなり広い。9月25日の定線観測では,伊勢湾のほぼ全域で渦鞭毛藻 Gonyaulax polygrama による赤潮の形成が認められた。同種の赤潮は長期化すると貧酸素を引き起こすことが報告されている。また,依然として水温躍層が形成され上下混合が起こりにくい状態が認められており,引き続き貧酸素水塊の動向に注意する必要がある。
*本年度は愛知県水産試験場と協力して貧酸素情報を収集しております。愛知水試ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/suisanshiken/でも画像を見ることができます。
底層溶存酸素量水平分布(9月25日)
赤潮による着色がみられた海域