伊勢湾貧酸素情報
平成18年度貧酸素情報
(第1報)
平成18年7月27日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
伊勢湾では大量に流入した河川水が広範囲に分布し,下層の貧酸素化が顕著である。今後水温の上昇と共に被害の拡大が懸念されるため注意が必要である。
7月20日の調査船「あさま」の定線観測によると海水温は,表面で19.9~24.8℃,10mで17.9~20.3℃,底層で15.8~19.6℃と,全般に平年よりもかなり低めであった。塩分は表面で2.96~27.88,10mで31.14~33.31,底層で32.02~34.30であり,調査前のまとまった降雨の影響で,野間と津を結ぶ線から北側では表面の塩分は10以下となっていた。この伊勢湾に流入した大量の河川水は三重県側に沿って湾口部に向かって流出していたため,表面では平年より低く,10mと底層では湾口部の中・底層から流入した湾外水の影響でやや高くなっていた。
DO(溶存酸素量)は,表面で5.4~8.6ppm,10mで0.4~4.0ppm,底層で0.0~5.0ppmの範囲にあった。全層にわたり平年より低く,底層では湾口から愛知県側に沿って湾外水が流入し,それに押される形で,湾中央部の2ppm以下貧酸素水塊が三重県側に押しやられている。
底層における3ppm以下の範囲は平年よりも広く,底層から押し上げられて,10mでも三重県沿岸の鈴鹿市から明和町にかけて2ppm以下の貧酸素水塊が分布していた。(下図2ppm以下貧酸素水塊)
今後,梅雨が明け日照が増大し水温も上昇すると,赤潮の発生や,貧酸素と低比重が相まって,魚貝類のへい死などが一気に起きる可能性があり,注意が必要である。
*本年度は愛知県水産試験場と協力して貧酸素情報を収集しております。愛知水試ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/suisanshiken/でも画像を見ることができます。
底層溶存酸素量水平分布(7月20日)