伊勢湾貧酸素情報
平成17年度貧酸素情報
(第4報)
平成17年8月10日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
貧酸素水塊(2ppm以下)は湾奥を中心として南北に細長く分布し,前年同期より大きく,平年同期に比べて同じかやや大きい。
8月4日の調査船「あさま」の定線観測によると, 水温は,表面で26.0~29.0℃,10mで20.5~24.8℃,底層で18.1~23.7℃の範囲にあった。表面では平年並から高め,10mと底層では一部の測点では平年並みであったが,多くは平年より低めであった。塩分は表面で25.43~31.98,10mで31.64~33.15,底層で30.81~34.23の範囲にあった。全層にわたって平年より高めであった。
DO(溶存酸素量)は,表面で5.4~7.6ppm,10mで2.5~5.5ppm,底層で0.1~4.6ppmの範囲にあった。表面では平年よりも低く,10mでは湾口部でやや低い他はほぼ平年並み,底層では湾奥と湾口で平年より低めであった。
底層で2ppm以下の貧酸素水塊は,湾口部の愛知県側から湾内へと侵入した外海系水に圧迫される形で,湾奥部に押しやられている。さらに貧酸素水塊の一部は,三重県側の沖合にも分布していたが,三重県側沿岸部の浅所のDOは高くなっていた。このため,貧酸素水塊の分布範囲は平年と異なり,南北に細長い形となっている(下図)。
貧酸素水塊の範囲は前年同期より広く,平年同期並かやや大きい。
先月から,表層付近の高温傾向と中・底層の低温傾向で,上下混合が起こりにくい状況が続いており,今後急速に底層の酸素量が低下する可能性もあり,三重県沿岸域への波及も懸念され注意が必要である。
底層溶存酸素量水平分布(8月4日)