伊勢湾貧酸素情報
平成16年度貧酸素情報
(第1報)
平成16年6月8日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
伊勢湾中央部の底層に伊勢湾中央部の底層に,溶存酸素量2ppm以下の貧酸素水塊が出現しはじめた。その面積は平年並みであり,近年としては狭い。
6月4日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で20.1~22.6℃,10mで16.6~20.1℃,底層で14.2~19.1℃の範囲にあった。表面では平年よりやや高め,10mでは松阪市から鳥羽市にかけての三重県側で平年よりやや低め,湾奥や愛知県側では平年よりやや高め,底層では湾中央部の深所でやや低めであった。
塩分は表面で21.08~31.45,10mで31.52~32.84,底層で31.41~33.54の範囲にあった。表面では湾奥から三重県側にかけて平年よりやや低め,愛知県側では平年よりやや高めであった。10m及び底層では平年よりやや高めであった。
DO(溶存酸素量)は,表面で7.0~10.2ppm,10mで3.3~7.3ppm,底層で1.6~5.9ppmの範囲にあった。底層では湾口部で平年より低めとなっているが,湾中央部の深所で発生する貧酸素水塊の形成は顕著ではない。
調査時には河芸町沖と四日市市港でHeterosigma akashiwoを主体とした赤潮が分布していた。
伊勢湾中央部の底層における2ppm以下の貧酸素水塊が今年になって初めて確認された。その面積は,平年同期と比べてほぼ同じ,前年同期よりもやや狭かった。
ただし,平年値と比べて,表層の水温は高めで塩分は低め,底層の水温は低めで塩分は高めと,鉛直混合が発生しにくい状況にあり,今後,底層の酸素量が急激に減少する可能性もあるため,その動向を注視する必要がある。