伊勢湾貧酸素情報
平成15年度貧酸素情報
(第6報)
平成15年10月17日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
貧酸素水塊は,依然,湾奥部および湾中央部の三重県側海域に広く分布。
10月16日の調査船「あさま」の観測によると,水温は表面で20.0~21.3℃,10mで20.1~22.0℃,底層で20.6~22.2℃の範囲にあり,湾全域の全層で平年並であった。
塩分は表面で25.41~32.40,10mで30.35~32.51,底層で31.31~33.46の範囲にあり,湾全域の全層で平年並であった。
DO(溶存酸素量)は,表面で5.5~9.2ppm,10mで3.2~7.5ppm,底層で0.2~6.8ppmの範囲にあった。底層では湾奥部および湾中央部の三重県側海域で平年より低め,湾中央部の愛知県側海域および湾口部で平年並であった。
今回の観測では赤潮は確認されなかった。
底層における貧酸素水塊は前回(10月1日)調査時より規模を縮小したものの,依然,湾奥部および湾中央部の三重県側海域に広く分布していた。三重県側沿岸のうち,松阪市以南の海域では急激なDOの回復がみられた。これらの海域において,今後苦潮が発生する可能性は低いと考えられる。
前回調査時に比べ,上下層の混合が急速に進行していた。表層から海底上数mの層までは水温,塩分の変化が少なく,海底付近まで混合が進行していることがわかった。貧酸素水塊はこの混合層より下側にごく薄い層で形成されていた。今後,短期間で海底付近まで混合が進み,貧酸素水塊は消滅するであろう。湾奥部および湾中央部の三重県側海域では今しばらく苦潮の発生に警戒が必要である。