伊勢湾貧酸素情報
平成15年度貧酸素情報
(第4報)
平成15年9月18日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
貧酸素水塊は,湾奥部~湾中央部にかけての三重県寄りの海域に偏って分布。特に津市~伊勢市沿岸の貧酸素化は顕著で,溶存酸素量(DO)は1ppmを下回っていた。
9月16日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で24.2~27.2℃,10mで 22.4~24.5℃,底層で19.3~22.3℃の範囲にあった。表面では湾奥部~湾中央部の三重県側海域で平年並,愛知県側海域で平年より低め,湾口部で平年並~やや高め,10mでは湾全域でやや低め~低め,底層では湾奥部~湾中央部で平年並~低め,湾口部でやや低め~かなり低めであった。
塩分は表面で25.49~30.75,10mで27.50~32.84,底層で32.41~34.10の範囲にあった。表面では湾奥部で平年より高め,湾中央部~湾口部で平年並,10mでは湾中央部の三重県側海域でやや低め,その他の海域ではやや高め,底層では湾口部でやや高め,その他の海域では平年並であった。
DO(溶存酸素量)は,表面で5.3~11.4ppm,10mで3.3~7.5ppm,底層で0.1~6.0ppmの範囲にあった。表面では湾全域で平年並,10mでは湾全域で平年よりやや高め,底層では湾中央部の三重県側海域でやや低め,その他の海域では平年並であった。
今回の観測では,湾奥部でやや水色が悪かったものの,顕著な赤潮は確認されなかった。
8月上旬に通過した台風10号による時化で,一時的に貧酸素水塊の規模が縮小したが,その後,急速に復活,規模を拡大した模様。底層の貧酸素水塊は湾奥部~湾中央部の三重県寄りの海域に偏って分布し,特に津市~伊勢市沿岸の貧酸素化は顕著であり,溶存酸素量が1ppmを下回っていた。残暑が厳しく,上下層の水温差は依然顕著であり,今しばらくは貧酸素水塊の規模縮小は見込めない。また,津市~伊勢市沿岸では,西風によって貧酸素水塊が接岸するいわゆる苦潮(にがしお)が発生しやすい状況にある。今後の動向を注視する必要がある。